「三度、彼は元来た道へ引き返す。」
夏祭りの帰り、電車を降りてから結衣が母親の電話を受けるまで、八幡と結衣は夜道を歩く。そして道端の自動販売機、街灯1、街灯2を通り過ぎていく。自販機や街灯の明かりはクリアしてきた人付き合いの段階を示す。最初は八幡が先を歩いており、まず自販機を先に通り抜ける。
八幡
「(雪ノ下にとって)触れて欲しくない事は触れないでいるべきだ」
結衣
「でも私はもっと知りたいな。お互い良く知ってもっと仲良くなりたい。困ってたら力になりたい」
それが2人が最初にクリアした人付き合いの方法。そしてここで結衣が八幡を追い抜く。他人と仲良くなろうと行動してる結衣が先にいった事を示す。描写はされないがここで街灯1を通り過ぎたと考えられる。その街灯は八幡が結衣を助けた、結衣が部活に交友を広げた段階のもの。それを過ぎ街灯1と2の間の闇の中で
結衣
「ヒッキー、もしゆきのんが困ってたら助けてあげてね」
八幡
「いやそれはないんじゃないか」
(雪ノ下が困る事も、助けを求める事も、そして俺が踏み込む事も)
自分では叶えられない願いが、間違っていると気付いてる筈の現状認識が、闇の中に消える。そして街灯2の明かりに数歩踏み込み光と影半々になりながら結衣が、街灯の外の闇の中で八幡が話す。
結衣
「ヒッキーは助けるよ。だって私の事も助けてくれたじゃん」
八幡
「言っただろ、お前だって知ってて助けた訳じゃない。俺にそう言うの期待すんな」
結衣
「事故がなくったってヒッキーは私を助けてくれたよ。そんでこうやって一緒に花火いったと思う」
八幡
「それはないだろ。そもそも助けようがない」
結衣
「ううん、だってヒッキー言ってたじゃん。事故がなくても1人だったって。私もこんな性格だからさ、いつか悩んで奉仕部連れてかれてた。でヒッキーに会うの。そしたらヒッキーが、またああやって、くっだらないバカな斜め下過ぎる解決法出して助けてくれるんだ、きっと。それでさ・・・・それで・・・・きっと私は・・・・」
カットされた街灯1の下で光と影半々に包まれるべきは八幡。前向きな考えからではなかったが、結衣が言うように八幡は確かに結衣を助けたのだから。しかしここは街灯2。八幡が結衣を助けた話で八幡の姿を思い出させながらも、喋っているのは結衣。光と影が表すのは、不安を抱きながらも告白しようとした、段階を進めようとした紛れも無い結衣の姿。
頬を染め、潤んだ瞳で最後の一言を言おうとした時、しかし携帯が着信を知らせる。それを無視し尚言葉を続けようとする結衣に「でなくていいのか」とそっぽを向く八幡。あんな顔見たら抱きしめるしかないだろ、この男なんつー朴念仁なの・・・・?仕方なく携帯に出る結衣。
結衣
「電話、ママからだ。(通話) ウチ、そこだからここで良いよ。送ってくれてありがと。じゃ、じゃあね。おやすみ」
それが街灯2の光に包まれて結衣がした会話だった。八幡がアレな今、進める段階はここまでと言う事か。しかし結衣は先に向かって歩いていく。一方八幡はクリアしてきた筈の道を引き返す。まさにサブタイトル通りの展開となる。
翌日、間違っている、自分が嫌いだと思いながらも雪乃へのわだかまりを解消できない八幡。そんなモヤモヤのまま次回に。
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