【空の境界4話】藤乃の涙が、式の笑顔を濡らす【感想レビュー】


劇場版「空の境界」 第四話「痛覚残留 II 」

 原作未読の初見です。また以降、特に何も書いてなければ式=式(女)です。

●藤乃が自分を殺人狂でないと言う理由

「痛みがわからないなんて誰にも気付かせたくなかった。藤乃は普通なんだと思わせなければ、私はきっと潰れてしまうから」
「違います、私はまともです。貴方とは違う!」

 冒頭は体育祭の回想。黒桐と藤乃は過去に会った事があった。上は黒桐が怪我をしてる藤乃を診ている時の藤乃の独白。下は3話で藤乃が式に言った台詞。これらより、藤乃は異端視される事を非常に嫌っている。

「浅上のお嬢さんはちょっと変わっててね、触れずに物を曲げちまう事ができたんだよ。それを気味悪がって村の連中から酷い嫌がらせを受けたそうだ」

 これがその理由。後のシーンの浅上に出入りしていた医者の台詞。能力のせいで迫害された子供時代のトラウマ。余談だけど、医者の部屋は昼間からカーテンを閉めており薄暗く、隅には空いた酒が大量に置いてあった。また自分は浅上の旦那様に言われた薬を渡しただけと言った事からも、闇医者であると思われる(まあ一般人に渡して良い薬もあるけど、そんなのはわざわざ医者に言わず薬局で買うだろうし・・・・)。

「とても嫌だけど、私が人殺しだと知られてしまったら・・・・だから私、貴方を殺さないといけないんです、啓太さん」

 そして、そのトラウマが啓太を探し殺害しようとする表の理由。自分が殺人狂でないと思い込む事ができた"藤乃の"大義名分。しかし、迫害された過去がある事自体が不幸・・・・しかもそれのせいで自分が殺人狂になっていると自覚できなかった。あらゆる意味で不幸なトラウマ;;

「大丈夫?痛かったら言ってね(意味深)」

 話を戻して、怪我をした藤乃を運ぶ黒桐の台詞。この台詞を聞いて()を付けてしまう僕はもう駄目かもしれない・・・・(笑)。

●藤乃の黒桐への想い

「思えばあの日から・・・・先輩、私・・・・」

 これに続くのは(肉体的な)痛みや能力関係の話ではない。もしここで藤乃に"思い込みでも"痛みが戻っていれば能力も復活していた筈。ならゴミども啓太達は最初の1回目で殺されていた。また後に瀕死になった藤乃が

「もっと生きて・・・・痛い。もっと話して、痛い。もっと思って、痛い。もっとここに・・・・痛・・・・い」

と言いながら思い浮かべたのは全て黒桐の姿だった。

「傷は耐えるものじゃない、痛みは訴えるものなんだよ」

黒桐の言葉通り、やっと実感できた生への想いを懸命に訴えた藤乃。なら、続く藤乃の言葉は決まっている。

「先輩が好きだと言痛かった(言いたかった)」

 しかし"思えばあの日から"より、藤乃は今までそれを認識する事ができなかった。それをこんな形で認識する事になるとは余りに不憫・・・・甲斐性なし黒桐が恋する胸の痛みをはっきりと与えられていれば、藤乃は救われていただろうか?

●式の親の人物像

「浅上藤乃は、人工的に感覚をなくされた。まるっきり式の反面という事だ。ふふふふ・・・・藤乃の父は、感覚を閉じる事で能力を封じる事にした。必死になって能力者を発現させようとした両儀とは、全く逆の順結だ。しかし悲しいかな、そうした事によって余計藤乃の能力は強まった」

 この台詞より橙子は式の(多分)親と面識がある。3話レビューで書いた"両儀"の答えは"両儀=式の親"が正解の模様。

 そして式の親は、式の能力を覚醒させる為に(多分)あらゆる事をやっていた。よって橙子の使い魔代わりになる事も親公認だと考えられる。戦闘経験を積んで強くなれさえすれば良い。3話の

「さて、嵐が来るのが先か、嵐が起こるのが先か・・・・式1人では返り討ちに遭うかもしれないぞ、両儀」

からもそんな親の姿が透けて見える。1話の事件前も、3話で式が言った"境界から外れた"能力者を親公認、なんなら親の命令で殺していたのではないだろうか?

●藤乃は脳筋(笑)

「考えてもみろ、腹部をナイフで刺されたら傷はひとりでに治るものか」

 色々あって、車を運転中の橙子の台詞。3話レビューで魔術さんは優秀とか言った気がするけど・・・・この娘とか、某消臭魔法も使えない大天使とか、攻撃呪文しか使えない脳筋魔術師なら脳筋と最初に言って(笑)。

●左手の使い方

「貴方の方が上手ですね式さん・・・・でも"見えない"のなら・・・・っ!」

 色々あって、いよいよ相見える式と藤乃。どうやら藤乃は見えてないと曲げられないようだ。だから見える壁などを無差別に破壊しだす藤乃。「無茶苦茶だなお前」と言いながら一気に距離を詰める式。

 しかし、まだ短剣の間合いに届かない。そこで式は左手を前に出す。多分左手を出したのは藤乃の視界を遮る為(ホーリーランドでも手をそんな風に使ってたし)。当然、左手は藤乃に見えているので藤乃に捻じ切られる。でも、多分それは想定内、左手を犠牲に間合いに入った式は藤乃に短剣を突き出す。しかし、紙一重で藤乃にそれを避けられてしまう。

●藤乃生存!

「もっと生きて・・・・痛い。もっと話して、痛い。もっと思って、痛い。もっとここに・・・・痛・・・・い、ぐふ・・・・っ。
痛い、痛いです、先輩・・・・すごく、痛くて、こんなに痛いと私、泣いてしまう。藤乃は泣いて、良いんですか・・・・?」

 今にも死にそうな大怪我を負いながらこう呻く藤乃の顔にもう笑みはない。自分が死にかけることで死を見つめ、殺人狂から元に戻った藤乃(断言)。そんな藤乃の傍に来て式が言う

「痛かったら・・・・痛かったら痛いって、言えば良かったんだ、お前は」

 その言葉に藤乃が重ねたのは黒桐。かつて黒桐が言った言葉と同じだったのだろう。"居たかったら居たいって言えば良い"それは藤乃を受け入れるという事。

 また式と藤乃が戦ったのは巨大な橋の中。藤乃が渾身の力で曲げ無茶苦茶になったが、橋は落ちなかった。歪でボロボロな橋だが、やっと取り戻した痛みで訴えた、藤乃の思いを架けた橋。それが式まで届いたのは演出的にも明らか。穏やかな顔になり涙を一筋流す藤乃。救いはあったよ!

 また、単に無痛症に戻っただけなら、いつ痛覚が戻り殺人を繰り返すかわからない。しかし、3話で式は同類なら「出会った瞬間殺しあう」と言っていた。なら逆に同類でなくなったら一目でわかる筈。よって、式が藤乃を殺さなかったのが藤乃が元に戻った何よりの証。

●式が人を殺す理由

「もう1つ白状するとさ、俺も今回ので罪を背負ったと思う」

 色々あって雨宿りしながら話す式と黒桐。"今回ので"?今までは罪を負ってなかった?式はなんだかんだ言って殺人をしてなかった?しかし、式の言動を総合して、式がまだ人を殺してないとは考え難い・・・・なら罪とは?藤乃を殺さなかった事・・・・?

「けど代わりに1つだけわかった、自分の欲しいものが。とてもあやふやで、危なっかしいものだけど、今はそれに縋っていくしかない。その縋っていくものが、自分が思ってる程酷いものじゃなかったんだ。それが少しだけ嬉しい。ほんの少し、ほんの少しだけお前寄りの殺人衝動」

 では今までの式の殺人衝動とはなんだったのだろうか?それを式が藤乃に言った以下の台詞から考えたい。

「良いよ、浅上、お前は最高だ。もう無駄な事なんだって、わかってるけどさ・・・・いこうか、お前の手品の種は、もう見えた」

 "もう無駄"とは何が無駄なのか?直死の魔眼で死期が見え、もう手を下さなくても死ぬとわかってるから、戦って多少死期を早めても無駄?しかし、無駄とわかっていて、殺したいから殺すのでは式の言う大義がない。殺人でなく殺戮、と否定した藤乃と同じになってしまう。また、こんな動機では"お前(黒桐)寄りの殺人衝動"に繋がらない。

 よって、手強く片手を失う程の相手との戦いが最高。強敵と戦うスリル、高揚感、強敵を倒した時の快感、式(男)がいた時の式はそれを求めていた。だが式(男)がいなくなり、1〜2話で橙子が言った様に伽藍洞となった式は、もうその充足を感じられない。だから、(人を殺しても満たされないから)もう無駄な事、ではないだろうか。

「結局お前は楽しんでるんだよ、人を傷つけるのが、たまらなく好きなのさ。だからその痛みも永遠に消えない・・・・言ったろ俺とかとお前は似たもの同士だって」

 そう考えると式のこの台詞も、伽藍洞となった虚無感が永遠に消えない、と繋がって来る。

 そんな式が新しく殺人に見出した意義。それは自分と同様に手遅れになり痛みや虚無感が止まらない者を殺して解放してやる事ではないだろうか?

「思えばそれが、彼女が目覚めてから、はじめて僕に見せた本当の笑顔だった」

 台詞を言い終え、雨の中で微笑む式。雨は涙を表す演出。式はいまだ伽藍洞。そして縋るしかない、思ってる程酷くない自分の殺人衝動を見つけ少しだけ嬉しいと言った・・・・(心情的に)とても満面の笑みとは言えない、式は笑いながら泣いている。それに藤乃の泣いていいですか?が掛かってるようで、もう色々切な過ぎる・・・・。

 次は幸せな女の子がデルトイイナー(棒)と思いつつ次回に・・・・。


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2013年07月27日 22:22 by 元会長
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