【有頂天家族5話】弁天は矢三郎が好き?矢三郎は可哀想な狸【感想レビュー】


有頂天家族2の記事も始めましたので、よろしければご覧下さい。
【有頂天家族2】一期のまとめと二期の予想
【有頂天家族2】第1話 感想・考察
【有頂天家族2】第2話 感想・考察



有頂天家族 第05話「金曜倶楽部」

●金曜倶楽部の実態は?

 1話から度々名前が出ていた「金曜倶楽部」が、ついにタイトルにまでなった今回。しかし、タイトルに偽りあり、金曜倶楽部の重要な部分の大半をまだ隠していると考えられる。そう考えられる理由を見ていきたい。

 まず、冒頭の宴会に集まるシーンを見る限り、どう見ても弁天が一番偉い。奥の襖が開いており、奥の部屋から入っているので床の間は画面手前、つまり弁天が一番上座。見切れている画面右側が床の間の可能性もなくはないが、その間取りなら普通この部屋の左の襖を開けて入る筈。また、やって来る順番も弁天が一番遅くどう見ても弁天が一番格上。

 更に今回登場した4人は
恵比寿
毘沙門
大黒
布袋
:大阪の銀行の偉い人
:ホテル千暁閣(?)の社長
:京料理の千歳屋の若主人
:大学教授
:俺は牛肉の方が良いのぅ
:谷崎が"狸なんぞ"食うかなぁ?
:他の料亭で狸鍋を作る訳にはいかんでしょう
:(鍋と同時に愛玩動物としても)狸が大好き

このように全員単なるおっさんで、山に化けるような下鴨父を狩れるとは到底思えない。むしろ淀川(布袋)以外は狸鍋が好きな訳でもないし、淀川も泣いて命乞いをしたら鍋にはしなさそうだ。

 父の仇や狸鍋の習慣をやめさせる敵役として明らかに貧弱。弁天さえなんとかすればすぐにでも狸鍋を止めそうだ。よって「弁天」がいるなら「金曜倶楽部」をわざわざ登場させる理由がない。

 なら味方だろうか?しかし、今のところの敵は夷川(海星除く:重要)と弁天。そして夷川は馬鹿、金曜倶楽部を味方にしないと勝てない程の敵には到底見えない。また、後に述べるが弁天も矢三郎に好意を持っており、味方である可能性が高い。これらより、物語的に金曜倶楽部を味方にする必要性を感じない。

 また、敵味方以外にも、今回の宴会はおっさん達がだべってただけ。とても年頃の娘が興味を持つとは思えないし、鞍馬天狗達を好きに使える弁天が金目的とも考えられないつまり、弁天が金曜倶楽部に入る動機が見当たらない。

 よって、金曜倶楽部は敵としては弱すぎて、味方にしないといけない程強い敵も存在しないし、弁天が金曜倶楽部に入る動機も見当たらない。なら残る可能性は・・・・。

●弁天とジジイ、仲間にするならどっち?

 もう残る可能性は、今回登場しなかった金曜倶楽部のメンバーが巨悪である事、それ以外にない。特にいなくても素性に言及のあった「寿老人:高利貸し」が敵だと考えられる。

 その根拠は高利貸しのイメージと、冒頭の矢三郎の独白で
「狸の天敵、金曜倶楽部とは彼らの事だ」
と言うところ。5人は弁天の方を見ているが、1人だけ弁天を見ていない。よって、その1人が寿老人で目線が敵である暗示。寿老人は退魔師の長だとかなんだかで、実は金曜倶楽部で一番偉い。そして寿老人は狸鍋大好きの変人で、弁天も弱みか何かを握られており逆らえない、と考えると全てが丸く収まる(期待)。

 更に後で述べるように、弁天が矢三郎に好意を抱いている、味方である可能性が高まった・・・・って言うか、僕は悪女萌えとか全くないので、いい加減弁天を悪女として見ると色々辛い・・・・海星はもう最終回の矢三郎との結婚式とかではじめて姿が映りそうな勢いだし(泣)。

 だから、能登さんボイスの美人と!訳のわからんジジイ!どっちを味方にするか!?僕は100:0で能登さんボイスの美人と仲良くなりたいです!!(握り拳)。

●弁天は矢三郎が好き?

「丸くて可愛いから、(矢三郎は)しばらくダルマのままでいらっしゃい」
「大きな月が出ているわね。丸いものが好きよ、私」

 これらは弁天が矢三郎に言った台詞。"丸いもの=月=狸=矢三郎"が好きという暗喩。

「お月様が欲しいな。ほら、取ってきてご覧、"矢三郎"!」
「月が綺麗だとなんだか悲しくなっちまうのよ、私は」
「そうしたら好きなものがなくなってしまうんだもの」
「そして彼女は手にした酒を飲みながら、何故か、悲しい、悲しいと呟いた」

 金曜倶楽部の宴会を抜け出し、屋根の上の渡り廊下(?)を歩く弁天と矢三郎。そのシーンで弁天が月と同時に映りながら言う台詞。月は好きなものに対する素直な気持ち、本心を示す演出だと考えられる。いつもは弁天→矢三郎の呼称は"貴方"なのに酔った勢いで出た"矢三郎"が、本心ではもっと親しくなりたい弁天の心を表す。更に3つ目の台詞を言う時は、画面に矢三郎まで映っており"好きなもの=矢三郎"がなくなると切ないという弁天の本心を強調している。最後は矢三郎の台詞だが「悲しい」と呟いたのは弁天。本当に矢三郎が鍋になると悲しいと思っていると考えられる。

「能無しなのね。なんにもできないのだから。貴方はとても可哀想な狸ね」
「酔ってないわよ、あれしきの事で」
「私に食べられる貴方が可哀想なの」
「でも、いつかきっと私は貴方を食べてしまうわ」
「食べちゃいたい程好きなのだもの・・・・でも好きなものを食べたら」

 月が映らず、含みのある、本心でない弁天の台詞がこちら。2つ目は酔っ払いの定番(笑)。3〜4つ目は"私=金曜倶楽部"。弁天が手を下さずとも寿老人が矢三郎を捕らえ、その鍋を作ってしまう。そうしたら、きっと弁天は矢三郎を食べさせられる。5つ目は、矢三郎が好きだが食べたい訳ではない。これらの台詞には、そんな意味が隠されていると考えられる。

●渡り廊下の意味

 弁天と矢三郎が歩く、屋根の上の渡り廊下。それは、何処かと何処かを繋ぐもの、つまり弁天と矢三郎を繋ぐ絆を暗示する演出。しかし、通路は狭く、至るところに錆が浮かび、高所にある為、非常に不安定で脆い。弁天が大手を振って、包み隠さずは話せなかった事を表す演出。だが、逆に言えば弁天が可能な範囲で必死に訴えた矢三郎へのサイン。矢三郎は金曜倶楽部(=寿老人)に狙われているが、弁天では助けられない、それが悲しいと。性悪はもとより、ツンデレでもない、巨悪を前に何もできない弁天の精一杯・・・・。

「お月様が欲しいな。ほら、取ってきてご覧、"矢三郎"!」

 弁天が矢三郎にこう言った時、渡り廊下を繋ぐ橋のようなところに立っていた。酒の力を借り(酒に飲まれ?)言ってしまった一言。こう言った時の弁天は凄く嬉しそうだった。弁天から矢三郎に精一杯伸ばした心の架け橋。

 橋は1段高く渡り廊下にいる矢三郎とは隔たりの演出にしかならない。しかし、矢三郎も共に(心の架け)橋に上がり弁天に応えたなら、渡り廊下より1段上の、強い絆を結べただろう。


 なのに、それに無粋な返しをする朴念仁矢三郎。

「能無しなのね。なんにもできないのだから。貴方はとても可哀想な狸ね」

 矢三郎は化けるのが上手い"狸"なのだから「今はこれが精一杯」と模型の月に化けるなりやり方は幾らでもある。なのにできないと即答した矢三郎。なんとかしようと努力さえしなかった。面白く生きる事はできても、真剣に相手の思いに応える事はできない、だから矢三郎は"可哀想な狸"。

 これらが弁天は味方だと思った月や渡り廊下の演出。こう考えるとメチャ萌えるし、この演出解釈で多分合ってる筈、合ってると良いな、合ってて欲しい(笑)

●細かい色々

「大阪の日本橋で中古カメラ屋を手伝っている」
「今は大阪で趣味の中古カメラ屋をやっている」

 上は1話でバーをやってた狸に矢三郎が言った台詞。下は3話の金光坊の台詞。矢三郎は金光坊のところに逃げ込んでいるようだ。

「矢二郎さんは、私好き・・・・時々相談にもいく・・・・弁天も、あそこには顔を出すという噂だけどね」

 これは海星の台詞。3話レビューで書いた海星ツンデレ説や、2話レビューで書いた矢二郎の役割は概ね合っていたようだ。

 雑多で目立たないのもは幾らでもあるのに、わざわざダルマに化けた矢三郎。母親にもう水に流れているかもと能天気な事を言っていたし、いい加減逃げるのに飽きてわざと、見つかるとわかって化けたのではないかと思われる。

 矢三郎が化けた弁天が肩を見せた時の反応の大きさや、弁天に対する態度などから淀川が一番弁天に入れ込んでいる。昔、矢三郎の母にやったおにぎりを自分で作っていたし淀川は未婚かもしれない(妻がいれば母の足の手当てをする間におにぎりを作る筈)。予告で月夜(=好きの暗示)を飛ぶ弁天の両手は矢三郎と淀川に繋がっていた。月の示す好きは"弁天⇔矢三郎"と"淀川→弁天"だろうけど、淀川も弁天にかなりお熱のようだ。

●元ネタ

 これくらい全部知ってるし(ドヤァ)と言えたらカッコイイけど、勿論ググりました(笑)。

「とある文人が言っておりますよ。牛は、藁を食うのだから、これは牛鍋ではなく、藁鍋だと」

 "とある文人=内田百"のようです。百閧ヘ持病の動悸の他に腎臓を患う。 その為、主治医が牛肉を禁じたところ、 百閧ヘこんな屁理屈を考えたそうです。

「牛肉がいけないと云はれたが、考へて見ると、牛は冬の間は藁しか食つてゐない。 牛の本質は藁である。 藁を牛の体内に入れて蒸すと牛肉になる。 藁が腎臓に悪いと云ふのは可笑しい。 医師の命令に背いて牛肉を食ふと云ふ事は、気がさすから、牛肉のすき焼きの事を、うちでは藁鍋と云ふ事にきめると云ふ 事を家人に申し渡して、私はこの頃頻りに藁を食つてゐる」(「御馳走帖」より)

谷崎順一郎(1886年-1965年)

 明治末期から第二次世界大戦後の昭和中期まで、戦中・戦後の一時期を除き終生旺盛な執筆活動を続け、国内外でその作品の芸術性が高い評価を得た。現在においても近代日本文学を代表する小説家の一人として、評価は非常に高い。

 東京生まれの東京育ちだが関東大震災などで、東京→京都→兵庫→京都と移住し、京都に長く住んでいたようです。
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2013年08月05日 22:11 by 元会長
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この記事へのコメント
はじめまして^^
考察楽しませて頂きました^^
5話って元ネタが全て解ればもっと楽しめそうなんですが、谷崎の鱧好きとか古美術店の名前が「まみあな=狸穴」くらいしか。。。^^;
「大黒さんの顔(のモデル)」とか「美味い美味いと言って喰う」とか「月を取ってきて御覧」とか「月が綺麗だとなんだか悲しくなっちまうのよ」とか、もう使い古されて何が元かわかんないですけど「アイス=氷菓子=高利貸し」とか、今回の台詞の多くが何かしら元ネタがありそうな気がしますが、出てこないところが悲しいです^^;
元ネタ解説付きの第五話とか欲しいなぁと思ったりしています^^;
原作読めば色々ネタバレするようなので、最終回見るまでは読まないでおこうと心に決めております^^
矢三郎の宴会芸を見て思ったのですが、海星は今回姿を見せているんじゃないかって?たんすの中にいるのではなくたんすに化けているだけで姿見えてるんじゃないかって。。。
「寿老人。。。お会いしたかったわ。。。」という台詞も深読みしたくなりますねぇ。
あ、長々と失礼しました^^;
Posted by 通りすがり at 2013年08月08日 23:59
はじめまして、コメントありがとうございます。

元ネタで言うと4話レビューが

茶釜+恩返し=分福茶釜
逃げの矢三郎=逃げの小五郎
そう命名された原因の納涼船合戦=蛤御門の変

と一番見つけられたのではないかと思ってるのですが、
有頂天家族カテゴリでアクセス数が一番少ない記事だったりします。
何が悪かったんだろう・・・・。

まあ、見つけられた元ネタは全部書いていくつもりなので、
宜しければまたお越し下さい(笑)。
Posted by 元会長 at 2013年08月09日 22:39



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