【有頂天家族2】一期のまとめと二期の予想
【有頂天家族2】第1話 感想・考察
有頂天家族 第08話「父の発つ日」
「俺が恋した相手は、まだ大変若い狸で、更には許婚がいたからだ」
矢二郎はロリコンだった、ようこそこちら側へ!(笑)。
●写像の演出
「その許婚というのは自分の弟矢三郎だった。そう、俺が恋した相手とは夷川海星だ」
水溜りに映る矢二郎の写像。鏡や水面に映った写像は相手に触れないし声も発せられない、別世界の住人。その写像越しに相手を見る演出の意図は遠い、別世界に生きている。更にその水溜りを海星が踏んで、矢二郎の写像が掻き消される演出が重なる。これらの演出が2人の関係の遠さを強調している。
しかも、海星の足元が映った次の瞬間には矢三郎が映る。海星はあんなに遠いのに、障害となる矢三郎はこんなにはっきり(壁として)存在している。やっと海星が映ると思ったのに、矢三郎が映りやがって憤懣遣る方ない視聴者なら矢二郎の気持ちが良くわかると思います!(笑)。
また許婚の書類に署名する総一郎を苦々しく見る早雲より、早雲は許婚の件を快く思っておらず、ほぼ総一郎の一存で決まった話だと思われる。
●電車に化けた意味
「俺は、当時洛中を震撼させていた、偽叡山電車に化けて父上を乗せて四条界隈を走り回った」
矢二郎が化けたのは、偽叡山バスでも偽叡山戦車でも偽叡山ボートでも偽叡山飛行機でも象でも百鬼夜行でもなく、偽叡山"電車"。何故わざわざ電車なのか?バスだと普通過ぎて、戦車だと有事過ぎて、水上を移動するボートや百鬼夜行は非科学的過ぎて、飛行機や象は非常識すぎるから?
勿論そんな訳はなく、ここに挙げた全てのものになく、電車にしかしないもの、それは"レール"。矢二郎がわざわざ電車に化けたのは「敷かれたレールから外れたい」という思いから。敷かれたレールとは勿論"海星と結ばれない人生"。
「それは俺と父上が繰り返してきたお気に入りの遊びだった」
そしてレールの演出は総一郎にもかかる。総一郎の場合は「自分が敷いてしまったレールを外したい」といったところ。早雲と反目しながら自分の一存で矢三郎と海星を許婚にしたが、それが矢二郎を苦しめてしまった。
電車はそんなレールを外れたい2人の強い思いを暗示している。
●矢二郎に自分を重ねる矢三郎
「俺は父上を殺してしまったのだ。散々皆に言われてきた通りだと思った。俺は全く駄目な狸だった」
色々あって、赤玉をカラクリ人力車で送りながら矢三郎が回想した矢二郎の台詞。わざわざこの部分を思い返したのは、矢三郎も散々皆に阿呆と言われ、その通りの駄目な狸。5話レビューで書いたような「可哀想な狸」。その自分を重ねているのだと思われる。
●総一郎は故意に捕まった?
「総一郎は落ちどころを間違えた訳ではないのだ」
それからの矢三郎との話の中で、総一郎の死をこう評した赤玉。
「なんとかしてみよう。上手くいくかどうかわからんが、ひとまず一切を俺に任せるが良い。しばらく辛抱して暮らせ」
そして総一郎は矢二郎にこう言っていた。もしこの問題に何の手も打てずに死んだのなら落ちどころを間違えてないだろうか?自分の鍋が美味いだろうか?なんて事より、矢二郎の事を心配し何がなんでも逃げようとした筈だ。それが叶わず不本意に死んだのなら、狸のバーの奥、黄泉への通り道(?)での赤玉との会話で、矢二郎の事を優先して頼んだ筈だ。
よって総一郎は、矢二郎の問題に関して打てる手は全て打って死んだと考えられる。
「(天狗さえ化かす)そんな父が恐れているものが1つだけあった。それは、自分の息子達が離れ離れになり、或いは互いに憎み合う事だった」
「てんでバラバラの兄弟を繋ぎ止めているのは、海よりも深い母の愛と、偉大なる父とのさよならである。1つの大きなさよならが、残された者達を繋ぐ事もある」
更に矢二郎や矢三郎の台詞より、その打てる手の中に自分の死も含まれていた。総一郎が何処まで予見していたのかまだわからないけど、少なくとも総一郎が死ねば早雲が許婚の約束を破棄してくるのは容易く想像できる。つまり、総一郎は矢二郎の、ひいては4兄弟の絆を繋ぐ為に敢えて捕まった。
しかし、矢二郎と別れてからせいぜい数時間、会える人数は限られている。どれだけの手を打って味方を増やしてくれているのかわからないけど、家族への信頼やら賭けたもの(=命)やらが重過ぎる・・・・。
・・・・なので狂言死の可能性をちょっと疑いたくなる。本体はまな板に同化して、尻尾を狸の体に化けさせたとか・・・・でもそれで生きてましたってのも微妙な気がするし・・・・うーん・・・・わからん!(笑)。
●その他細かい色々
総一郎と一緒に酒を飲み酔い潰れた矢二郎だが、酒で潰れようと人の姿のままだった。矢二郎でそうなら、総一郎が酔い潰れ狸に戻ったとは考え難い。また5話より弁天も鞍馬天狗も矢三郎の変化(へんげ)を見破れなかった。よって赤玉など余程高位の天狗でないと狸を見破れないと考えられる。
勿論、寿老人が高位の術者であり、偶然通りかかる可能性も微粒子レベルで存在するし、虎視眈々と隙を狙っていた可能性もなくはない。また早雲など敵対狸が監視していた可能性もあるにはある。だが、もし狙われていたなら総一郎がそれに気付かないだろうか?人望が厚そうだし、そんな陰謀があれば総一郎が気付かなかったとしてもすぐ耳に入って来たのではないか?
そして誰も気付かない程の少数の監視なら、暴走電車として走り回った2人を見失う可能性が高い。逮捕されてない=サイレンを鳴らして追跡できる警察を振り切っている。そんな2人を追跡できたなら相当な術者。そんな手練を単なる監視役に使うだろうか?狸でも(僕が思いつく限り)夜目が利いて速いフクロウで時速72km。警察振り切ってるなら時速100kmは余裕だろうし、スタミナ的にも厳しいだろう(飛行機なら流石に音でバレるだろうし)。よって相当実力の高い狸でないと見失うだろう。
更に問題の夜は別段大した夜ではない。矢二郎の説得に失敗した訳でもなく憂さ晴らしに2人で騒いだだけ。そんな日に敢えて深酒をしなくてはいけない理由が全くない。
LV1
深酒をする理由が全くないのに偶然潰れるまで飲みたくなって、
LV2
そこに偶然高位の術者である寿老人が通りかかって、
もしくは総一郎を狙う勢力がいたのに誰も気付かなくて、
警察すら振り切る暴走をしたのに、単なる監視役が追いついて来て、
LV3
矢二郎の事が未解決なのに自分の鍋は美味いか?なんて事だけを心配した。
・・・・不自然すぎる(笑)。
あとはイメージ的にこの作品内の人間は本当に一般人。法術やら陰陽道やら仙術は使用しそうにない。それでも5話レビューで寿老人を術者としたのは、そうでもしないと総一郎が捕まるとは到底思えなかったから。酒に酔って捕まっただけなら、虫に化けて逃げるなり、檻に化けて姿を隠すなり幾らでもやりようがある。お札や法術の編みこまれた変化(へんげ)封じの檻とかが不可欠になる。
でも今回それより遥かに納得できる仮定が出てきた。総一郎は故意に、自分から捕まった。寿老人が術者ってより余程世界観に合っている気がする。
●ツンデレと覚醒フラグ
話を戻して、赤玉の部屋からワインを持って帰る矢三郎。あの赤玉が4話で墜落してでも飲んだワインを手土産に渡した。総一郎と矢二郎の事で凹む矢三郎をかなり気遣っている。珍しくド直球な赤玉のデレ。
そして川辺でそれを飲み色々回想する矢三郎・・・・
覚醒フラグ来たーーー!?
そんなフラグ(未定)が出たところで今回のレビューは終わり。
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