【有頂天家族2】一期のまとめと二期の予想
【有頂天家族2】第1話 感想・考察
【有頂天家族2】第2話 感想・考察
有頂天家族 第10話「夷川早雲の暗躍」
●弁天は悪?
冒頭、塔の上で風に吹かれる弁天。人々の暮らす地上から離れた塔の上が示すのは孤独。風に揺られる髪は同様に揺れる心の演出・・・・迷いを振り切り完全な悪役になるにしても、迷いがあって善悪の中間になるにしても、ちょっともう萌えられないな・・・・と考えたところで、問題にぶつかってしまった。それは
弁天は悪だろうか?
総一郎は狸。1般的に人間が狸を食べても悪人にはならない。牛でも鶏でも狸でも、人間が生きる為に食べるのは仕方ない・・・・でもそんな傲慢な基準の人間が善悪を語れるのか・・・・?
勿論、視聴者は下鴨家目線で見る訳で、弁天は紛う事なき"悪役"ではあるけど"悪"かというと、そうとも言い切れない。
更に弁天の直前におにぎりを食べる淀川が映っている。6話レビューで挙げた
「天敵がいない。死んで焼かれて灰になって、微生物に食われて、土に還るぐらいだ。でもそうなると、僕には寂しいという気持ちが起こるな。いきなり微生物に食われるのは寂しいんだな。どうせ死ぬのなら、あんまり痛くさえなければね、僕は狸に食われるのが良いんだ。病院で皺くちゃになって死ぬよりも、狸の晩御飯になる方が良い。病院で死んだって誰の栄養にもならない。そんなのは寂しいね。狸が腹を膨らましてくれる方がよっぽど良いな」
から、既に淀川はそんな人間の傲慢さに一石を投じている。
そんな2人が続けて映され、冒頭からちょっと悩ましい。もう1話早ければショートカットにした弁天がメチャ美人!と素直に萌えられたのに・・・・。
●早雲はどうなる?
更に悩ましい問題が続く。早雲の台詞より、早雲が総一郎と敵対したのは、下鴨母を総一郎と奪い合ったから。そして遂には総一郎を鍋にしてしまった。早雲は動機も行動も弁護しようのない完全な悪。
8話レビューでちょっとだけ早雲の暗躍の可能性も書いてたけど、あまり本気では考えてなかった。何故なら、早雲がここまで悪に染まってると、もう夷川との関係修繕は望めない。海星も
●最終話はどうなる?
でも、そうはならない!・・・・気がする。根拠は3つ。まず
「そんな事だろうと思っていた。あんまり思ったままなので、かえって驚いたくらいだ」
という矢三郎の台詞より、矢三郎は早雲が黒幕だと予想していた。なのに今の今まで早雲を放置していた。良く言えば器が大きい、悪く言えばいい加減。またこれに関連して
「現代の狸社会において、偽右衛門を真剣に志す狸が何処にいるだろう?何事にも束縛されない、自由気ままな狸の生活と、揉め事がある度に、昼も夜もなく駆り出され、なにくれと采配を振るわなければならない、偽右衛門の生活。それらを天秤にかけ、清く正しい狸達は自問する。偽右衛門という伝統的称号は確かに名誉だが、しかし、安楽呑気な生活を捨ててまで、拾う価値があるか?と」
こんな冒頭の矢三郎の独白のように、狸達の
2つ目は、作品内で問い詰めない事が多い。
1.魔王杉の事件の犯人が弁天と矢三郎だと(多分)知っていても何も言わない赤玉。
2.同じくそれに薄々気付いていても何もしない金光坊。
3.父を食べた淀川に何も言わない矢三郎。
4.自分を殺した早雲について赤玉に何も言わない総一郎。
5.総一郎が死んだ=捕らえられるのは弁天だけ。でも何も言わなかった赤玉。
敢えて何も言わない、有耶無耶のまま人間(?)関係が回る事が非常に多い。だから今までの雰囲気的に早雲だけ吊るし上げたりはしない気がする。
3つ目は偽右衛門選挙の立会人が赤玉になった事。まあ、これだけで相当強い根拠なので前回から薄々は思ってたんだけど・・・・。
赤玉が贔屓して矢一郎を押すだろうか?そんな事をするとは到底思えない。では早雲をみすみす当選させるだろうか?口では悪態を吐きつつツンデレな赤玉がそうするとも思えない。
ではどうするか?おそらく悪酔いだかなんだかで選挙をメチャメチャにし偽右衛門は決まらない。その結末が一番世界観に合っている・・・・気がする。
なので早雲の、夷川の処遇も有耶無耶。兄殺しを公表する事もなく、
海星が兄殺しの娘と迫害される事もない(重要)。
でも、だからと言って早雲の罪が消える訳じゃない。また狸、矢三郎達が死を軽んじている訳でもない。総一郎の死をどれだけ悲しんだかは再三描かれているし、矢二郎に至っては今までずっと井戸の底で嘆き続けている。
そして弁天が総一郎を食べなかった事にもならない。これら悩ましい問題がどう収束するのか今から楽しみです。
以下は細々した色々。
●矢三郎の伏線
2話で矢四郎と共に金閣、銀閣に襲われた時、矢三郎は手を出さなかった。
「何故お前達は夷川の連中にあれだけ侮辱されて何もやり返さないのだ!?」
そして2人を助けた矢一郎が2人をこう叱り付ける。この後もずっと矢三郎が手を出す描写はない。
でも4話では夷川の船に即発砲しようとした。その理由は父を殺したであろう早雲が乗っていたから。
また冒頭の矢三郎の独白は毎回感情が普段より控え目になっている。しかし9話の
「当の早雲が下鴨家を目の敵にして、かえって火に油を注ぐような事ばかりしたのだから、下鴨家は"馬鹿"を見た」
の部分、早雲に関するところだけやたら感情が篭っていた。
これらは矢三郎が、父殺しの犯人は早雲だと思っている伏線だと思われる。一方で
「俺はただ、父上に憧れているだけなのかもしれん・・・・丁度、叔父上がそう思っているようにな」
こう言う矢一郎。4話でも発砲を止めようとしていたし早雲の本性をわかっていない・・・・早雲が悪に走った根本の部分は総一郎への憧れで、矢一郎は直感的にそれを感じ取ってると思いたい。
●夷川はバラバラ
早雲は矢二郎が直前まで総一郎といたのを見ており、矢二郎を総一郎を見捨てた不孝者と、叩くつもりならいつでも叩けた。しかし、今までその事を自分の息子達にも告げていなかった。
その後、総一郎を弁天に引き渡したのは早雲。万が一それが公になれば破滅は避けられない。だから早雲はその日の事について極力触れたくなかった筈。
なのに金閣、銀閣が勝手に調べ、その日の事をよりにもよって下鴨家に話してしまう。完全に自滅、清々しいまでの自殺点。矢三郎が「金閣と銀閣のダブルクソたわけ」と言うのも頷ける(笑)。
そして勿論、海星はこんなバカ達から離反してるので、夷川はバラバラ。
●器が大き過ぎた(笑)
8話レビューで総一郎は何か手を打って死んだ筈と書いたけど、予想以上の器だった・・・・自分が死んでも息子達ならなんとかするだろうと信頼しきってたようだ。親バカにもほどがあるよ(笑)。
まあ、これで海星との婚約も破棄されるとは思ってたんだろうけど。そして矢二郎が酒で前後不覚になり、井戸に篭るようになったのは想定外だったんだろうけど・・・・。
「俺は種を撒きそこそこ育てた。1匹の狸としての役目は全うしたのだ。残された日々は天啓である、つまりは儲けものである。従って、まあ、ここで貴方方に食われたところで、一向に構わない。食いたければ食うが良い」
だとすると、6話のこの台詞が改めて浮かんでくる。淀川の狸に食われて死にたいという話にも繋がる、野生での生死観。自分を殺すような弟なら、息子達をどんな目に遭わせるかわかったものじゃない、死んでも死に切れないと思ってしまうのとどっちが良いのだろう・・・・?
そんな感じでなんか最初から最後まで悩みつつ次回に続く(笑)。
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