●白純は獣でなく人間
左手の親指を根元から噛み切って手錠を外した式。しかし右手はそのまま。殺人衝動に、白純の誘惑になんとか耐えているが、半分まだそれに囚われている。
それを見た白純は「あんたは最高だ、完璧な殺人鬼だ」と絶賛し、戦って自分を殺すよう式に迫る。しかし式がそれを断ると黒桐を殺したと式に告げる。
「俺が殺してやったんだ。お前が自由になれるように。幹也の奴はさ、最後まで善人ぶって説教を垂れやがった。俺とお前は正反対なんだと。笑わせるわ。こんなにも似た者同士・・・・」
そして饒舌にこう語る白純。高度な言葉を解しコミュニケーションを取れるのは人間のみ。破綻して崩壊寸前でも思考力を保っていた白純はまだ人間だった。
「良いよ、殺ろう」
その白純にこう答えた式。ここで人間である白純を殺す事を決意した。仮にこの後の戦闘中に白純が起源に飲まれ獣になっていたとしても、式は人を殺すつもりで斬っているので完全な殺人。また、後で述べる織の意識が戻った事からも式が人を、白純を殺したのは間違いない。
●背景に映る式の心
式と白純がはじめた辺りから、窓の外が雪になる。8話レビューで書いたように、黒桐によって溶かされ12話のように雨になっていた式の心が、黒桐を失い悲しみに凍てつき白純を殺すと決意した表れ。
「黒桐、君がいて笑っているだけで幸せだった。君がいて歩いているだけで嬉しかった」
暗い戦闘シーンに比べ、回想の中で黄金色にさざめく川面をバックに夕日を受け川縁を歩く2人が
「いつか同じ場所にいられるよと、君は笑った。その言葉をずっと誰かに言って欲しかった」
降りしきる陽光の中大樹の下で話す2人が、余りに眩しく煌いていて式にとってどれだけ大切な存在だったかが対照的に強調されている。また大樹は安心できる巨大なもの、心の支え。黒桐の言葉がどれだけ式の支えになっていたかが伺える。
またこう言った後、一瞬式の雰囲気が変わる。この時織の意識が戻ったのだと思われる。
●白純は幸せ者
「それは本当に夢のような日々でした。ありがとう、でもご免なさい。全てをなくしてしまうのはわかってる。それでも・・・・それでも、お前を殺したこいつが許せない」
だからこそ、その黒桐を殺した白純を許せない。そして式はこう言って白純の右手、両脚を切断し、心臓に止めの一撃を突き立てた。
勿論、白純も人生を踏み外した不幸な方の人間ではある。しかし、霧絵はおそらく天涯孤独でだからこそ友達を求めて意図せず人を殺してしまった。そしてその罪に負けて自殺し、その死を誰にも受け止めてもらえないまま逝ってしまった。
一方白純は「弱い人は嫌い=強くなろう」と極めて身勝手な理由で殺人を犯し、その罪を重ねてきた。しかし、その迷走の果て、自身の望み通り式を殺人者に引き込んで望んだ死を迎える事ができた。何より、その死を式が、そして黒桐が一生背負って生きてくれる。霧絵に比べてなんと幸せな死だろうか・・・・。
●雪が溶けて朝になる
そして12話レビューで書いたように
重傷ながらもなんとか式のところにやってくる黒桐。2人が話す内に段々夜は明けていき
「式!・・・・君を、一生放さない!」
と言って式を抱きしめる黒桐に応える式。雪でも雨でもなく、陽に照らされ光に満ちた式の世界が今はじまった。
●バカップル爆発しろ(笑)
穏やかな春の日、桜の舞い散る小道を歩く2人。
「静音ちゃんの言う通りになっちゃったなぁ。ほら、」
「未来視の女の事だろ、覚えてるよ」
静音はおそらく9/28から公開されている新劇場版にでる子。気になる方は、こちらの
公式サイト様
をご覧下さい。
「何って、松葉杖の代わりだよ。慣れるまでの1週間は式に任せるからよろしく」
「そうだね。もう何年も前から、僕は勝手に君が好きだった、今も。だから、式が嫌がっても勝手に世話を焼くって決めたんだ・・・・」
これからは支え合って生きていきたい・・・・完全にイチャついてますね(笑)。
「あれ、どうしたのさ式。こういう台詞って駄目なんだろう?今まで散々苦手だって言ってたじゃないか」
「そうでもないよ・・・・だからね、幹也。今の"しき"はそういうの嫌いじゃないって言ったんだよ」
そして式も完全なデレで返す。もう甘過ぎて口から砂糖が出てきそう・・・・まあこんな幸せな風景を見たくて13話観て来たと言っても過言ではないんだけど、お約束だから・・・・バカップル(黒桐だけ)爆発しろ!(笑)。
●織の意識が戻った意味
でも、ここで注目するのは式の1人称が私でも俺でもなく"しき"だった事。それが意味するのは、
今の"しき"は、織の意識が戻り、式と織2人で1人に戻っている
だと思われる。
「ようやく思い出した。お前昔っからその手の冗談を真顔で言うんだよな。白状するとそういの"しき"は凄く苦手だった」
だから4話のこの台詞も"織"ではなく"しき=式+織"だと思われる。織のいないこの時点でその話をしていると思うとちょっと切ない・・・・。
そして織の意識が戻った意味は、式が殺人の罪を受け入れそれを背負う覚悟ができたという事。今までは殺人衝動に惹かれ、それに揺り動かされ嵐の海を彷徨う小船のようだった式。だから、殺人から逃げるだけで、それに向き合う事ができなかった。
黒桐を殺したい衝動に駆られた時、式自身さえ否定し自殺しようとし、ついに殺人者である織を抱えきれなくなった。それで今まで織の意識は消えていた。でも白純を殺してしまって、その死・その罪を背負って黒桐と生きていく覚悟を、もう2度と殺人を犯さないという強い決意をする事ができた。それにより織を受け止められるようになった・・・・と思われる。
式が殺人者だと視聴者を騙す気全開だったので(笑)、レビューを書くのが大変だったりしましたが、だからこそどうなるのかドキドキしながら13話を観る事ができました。パっと見のイメージと違い、大真面目だった本作を少しでも伝えられていれば良いなと思いつつ、最後は本編と同じく式のこの台詞で〆たいと思います。
「私が欲しかったものは、ナイフでもなんでもなくて、ただその掌だったんだ。この先どんな事があったって、私はこの手を離す事はないと思う。だからこれで私の物語はお終いだ。私は今の自分も、昔の"しき"も受け入れて日常を過ごしていく」
スポンサード リンク
スポンサード リンク
殺戮を行ったり式をprprした挙句自らの命と引き換えに式に最初にして最後の殺人をさせることに成功したというのはある意味白純の勝利と言えなくもないと思います。
>今の"しき"は、織の意識が戻り、式と織2人で1人に戻っている
当たらずとも完全には間違っていないと思います。
式の人格の謎については今回放送されていない終章で明かされます。
1995年の雪の日に黒桐が初めて会った「シキ」は何者だったのか、という伏線がそこで回収されます。
今は体調が治りきってないし、まだ更新も1日分遅れてるので、
それらが落ち着いたら、残りの話も見てみようと思っています。
シキの話や、荒耶の最期がどんな感じなのかも気になりますし。
こんな感じですが、よろしければまたお越し下さい。