●暗い廊下は、沈む雪菜の演出
冒頭は、かずさの家の外観、かずさの家の地下防音室に続く階段、地下防音室で練習する春希達が順に映される。家の外のシーンから春希達の演奏が流れているのは、防音室の扉が開いていて、音が外に漏れているから。また、最後に入って扉を閉めなかったのはおそらく雪菜。
「どうしたんだ?調子良くないな」
そして冬馬にこう声をかけられた雪菜が、開いた扉を背にして映された。開いている扉の先には、1mくらいですぐ闇に閉ざされ先が見えない廊下が続いている。そんな廊下を背負い俯く雪菜からは、隠そうとしても滲み出る暗い不満や不安といったものが伝わってくる。
前回の最後で春希のトラベルセットを見てから、雪菜はずっと沈んでいるようだ。
●渋滞と、青/赤のライト
OP明けて、冬馬の家から帰る春希と雪菜。春希が色々声をかけるけど、雪菜はずっと沈んだまま。そして陸橋の上にきたところで2人は少し会話する。
この時、陸橋の下の道路は渋滞で大量の車が非常にゆっくり走っている。回りくどくてまどろっこしい言い方だけど、でも言いたい事は溢れている。そんな雪菜の気持ちが上手く表されている。
「誰にでも面倒見がいいのは美点だけど、ちょっと見方を変えると、八方美人とも取られかねないよね」
「いつでも真面目で一生懸命なのもポイント高いけど、人によっては、堅過ぎてついていけないってのもわかるよ」
また青のライトや信号は安全、肯定の気持ち。後半にわざわざそれを否定するケースを付け足しているけど、これらの台詞は言ってみれば雪菜のノロケ。何この面倒くさ可愛い子(笑)。
「あーあ、なんだかなぁ。急に色々とわかってきちゃった・・・・そうだよね、そんなものだよね。だから、そこまで気にする必要、ないよね」
でも赤のライトは危険、否定の気持ち。かずさと春希が恋人なら、雪菜の入り込む場所はなくて、雪菜が求めた3人での居場所は幻で・・・・そんな気持ちが伝わってくる。
ただ、春希はそこまで詳しい事はわからない。でも、雪菜の言葉と涙を見て、雪菜の悲しみは感じ取れた。そんな歯がゆい状況を下の赤ライトの渋滞が良く表していた。
「北原君は、女の子が1人で夜道を帰るのに、送ってもくれない最低な男の子だって・・・・」
更に駅についてからも、送っていくと言う春希にこう言って帰っていく雪菜・・・・面倒くさいけど、これくらいのヤキモチは可愛いもんだよね(笑)。
●部屋の明るさは心の明るさ
そしてシーンは、机の上の小さいランプを点けただけの、薄暗い雪菜の部屋に。暗い部屋は暗い雪菜の心の表れ。
「やだもう恥ずかしい。それじゃあ私、2人が仲良くしてる事に嫉妬して、拗ねてるだけの痛い女の子みたいだよぉ」
「いや、そんな風には全然思ってないけど」
「全然ってのも微妙なんだけどなぁ」
冬馬から話を聞いたという春希にこう言う雪菜。ホントあざと面倒くさい・・・・まあ、これくらいは可愛い範疇だけど(笑)。
「好きってどこがよ・・・・」
「人には言えない恥ずかしい趣味を持ってるところとか、俺なんかのバカに付き合ってくれる、頭の悪さとか」
でも、春希に好きなところを言われて、部屋の電気を点ける雪菜。春希と話して、わだかまりが解け、心が明るくなった事がわかる。
●ピンクと白の人形
「でもさ俺、小木曽のカッコ悪いところ好きなんだけどな」
少し戻って、春希がこう言った時、雪菜がベットから落ち、その拍子に壁に飾ってあったピンクの人形がベットに落ちる。この人形は、ピンクと白の2体1組で壁に飾ってあったもの。
この人形の解釈がとても悩ましい・・・・考えられるのは2通り。
1.ピンク=雪菜、白=春希
2.ピンクと白は、雪菜が心に秘めていた2つの思い
1.のケースは、中学の一件で友達を作らないようになった雪菜。そんなカッコ悪い・みっともない(本人談)状況だったので、白=春希の隣から落ちて1人になっていた。でも、その顛末を春希に話した事で"壁=春希の隣"に戻る事ができて、寄り添う人形はまるでこれからの2人のようで・・・・
「私の事は、雪菜が良いからね・・・・雪菜、が良いからね・・・・雪菜が良いな・・・・雪菜でなきゃヤだな」
雪菜の強い要望で、2人はここから互いを名前で呼び合うようになる。
1.のケースで幸せに終わっておけば良い気はするけど、"白=春希"と最初から寄り添っていた事になるのが、ちょっと引っかかるので・・・・。
2.のケースは、中学の一件からずっと友達を作る事を避けていた雪菜。でも春希と話したのがきっかけで、その思い・友達を作りたいという気持ちが本格的に表に出てきた。電話で、中学の話をはじめた時から、この人形をずっと抱いていたのがその表れ。
「今まで上手く隠せてたよね?猫被れてたよね?・・・・でも、北原君が全部元に戻しちゃった」
一方、雪菜がこう言う時、壁の白い人形が映される。雪菜の中には"猫を被る"原因になった、もう1つの思いが隠されている。
「自分が作り上げた嘘のイメージに嵌って、ニッチもサッチもいかなくなるところとか」
それは春希のこの台詞などから、もう春希も察している事なんだけど・・・・もしそれ以上に深いなんらかの思いが隠されているとしたら・・・・。
●続・部屋の明るさは心の明るさ
そして素直に良い未来を想像できないのはもう1つの理由がある。それは電気を点けて明るくなった雪菜の部屋とは対照的に、春希の部屋がずっと暗いままだった事。
「俺は絶対に小木曽から離れていったりしないから・・・・絶対に絶交なんかしない。されるまで、離れていく事はないから・・・・約束する」
こんな事を言いつつ、ずっと闇の中で話していた春希・・・・有名な死亡フラグに「お前を絶対に守る!」っていうのがあるよね、別に他意はないんだけど(笑)。
●階段と太陽
次の日の朝、春希達と話した後、冬馬と階段を登る雪菜。階段は途中の踊り場で折り返し、その前後で反対方向に傾きを変えている。
「私も3年くらいそうしようと頑張ってきたけど、結局挫折しちゃった」
踊り場に登るまでの間にこう話す雪菜。それは春希達と出会うまでの雪菜の生き方。
「じゃあ私これからもここにいて良いの?貴方と、春希君の傍に・・・・」
「学園祭まで仕方ないだろ」
「学園祭が終わったら?みんな卒業しちゃったら?」
「・・・・知るか」
でも、踊り場で方向転換して冬馬ともっと仲良くなろうと一生懸命話をする雪菜・・・・口ではツンツンしてる冬馬だけど、2人は一緒に階段を登り切った。それが冬馬も方向転換する暗示・・・・だと良いな(笑)。
色々あって、テストを途中退出して音楽室でピアノを弾く冬馬。そこに春希や雪菜がやってきて、その
階段の演出と合わせて、サブタイの示すように心が触れ合った3人。Cパートでは、冬馬も春希のため(?)に倒れるまで曲を作ってた事がわかり・・・・このままハッピーエンドに向かう・・・・トイイナ・・・・。
●春希は意外に乙女?
因みに、Cパートの最初に冬馬が弾いたのはOP・・・・に聞こえる。春希が、雪菜が怒っている原因を冬馬に聞いた時の回想の最後でも冬馬はOPを弾いていた、筈。
「どうすれば この心は 鏡に映るの?」
またOPのこの歌詞のところでも、(春希の?)ノートにこの歌詞が書いてあるのが映される。OPは女性言葉で女性の心情を歌ってる感じで、なんか春希のイメージと合わなかったのでスルーしてたけど、(作中では)OPを作詞したのは春希なのかも?
テストで冬馬がキレる直前に、冬馬が以前にも書類をばら撒いた事を思い出していた春希。その時ばら撒いたのが制作中だったOPの楽譜で、それを見た春希が歌詞をノートに書いて・・・・とか?と、色々妄想が膨らんだところで次回に続く。
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部屋の電灯のON/OFFで気持ちの切り替わりを表現する演出は解りやすかったですが、渋滞については単なる背景として見過ごしていました;
人形についても「1」の解釈しか思い浮かびませんでしたが、「2」にも説得力を感じますね。むしろそれでこそ1時間の昔語りトークが活きる、という…(^^;)
>春希の部屋がずっと暗いままだった事。
これは完全に見落としてました。
ちょっとゾクッとしますね;;
雪菜は面倒くさ可愛いとしか言いようがないですね(笑)。
人形にしても春希の部屋の電気にしても、
1話があるのでどうしても悪い解釈になっちゃうんですよね・・・・。
でも学園祭までは幸せな時間が続くと信じて
なるべく幸せの兆しを探していこうとは思っています
・・・・なかなか見つからないけど(笑)。
あとタグを付けずにURLだけ貼ると以下のようになるので、
宜しければトラックバックの代わりにお使い下さい。
たらさいと様
http://tarasite.blog.fc2.com/
こんな感じなのですが、宜しければまたお越し下さい。
テストも兼ねて、記事リンク報告を…
アニメ感想 『WHITE ALBUM 2』#5「触れあう心」
http://tarasite.blog.fc2.com/blog-entry-622.html
元会長さんのレビュー、毎回楽しみにさせて頂いています(^^)
(「幸せの兆し」探し、期待してます^^;)
こちらこそトラックバックでご不便をおかけして済みません。
エラーになる原因がわかれば直したいのですが、
ちょっと原因がわからないです・・・・。
あと、なるべく明るい事を書けるよう頑張るつもりではいるんですが、
あまり期待はしないで下さい(笑)。
こんな感じですが、宜しければまたお越し下さい。