●金と銀
今回まず考えるのはサブタイトル「銀竹」について。"金銀財宝"という言葉があるように、金と銀はしばしばセットで語られる。よって、今回のサブタイは、前回のサブタイトル「凪黄金」を受けてのもの。
でも金と銀では思いの向きが全く逆。エジプトのファラオやインカ帝国の王達が、黄金のマスクや杖を身に着けたように、金は富と権力の象徴。外にその力を示すもの。また持たざるものはそれに惹かれ、憧れ、強い興味を外(黄金)に向ける。
よって、8話レビューより、「凪黄金」は"未来を理解し、受け入れてくれた秋人や桜"を黄金の宝物のように思う未来の気持ち。そしてそんな黄金に照らされ、未来は凪いだ海のように穏やかな心になれたのだった。
一方、銀は内に向かう色。例えば、吸血鬼や狼男は銀の武器でしか倒せないといった感じに、昔から銀には魔除けの力があるとされてきた。そして"昔話や神話の化物=人間のエゴや欲望"の表れ。よって、銀は"人間のエゴや欲望を滅ぼす=内面、精神を高める"色。
だから、銀には信念や理想といった、自分がどう在りたいかという思いが込められている。
●雨が描く、銀の竹
そして竹は、真っ直ぐに伸びる、たわまぬ思い。つまり「銀竹」とは、竹のように真っ直ぐな、未来の強い信念・理想。
今回、そんな銀の竹を描いたのは空から零れた雨粒達。雨粒の軌跡が、天に伸びる真っ直ぐな竹を描き、雨の中を走る未来は、生い茂る銀の竹林を駆け抜けているようだった。
そして雨は涙の暗示でもある。傘を捨て"雨が描く銀の竹林を走り抜ける=未来の信念を貫く=秋人を殺す"という事は、未来が"雨=涙"でびしょ濡れになるという事でもあった・・・・。
●未来の信念・理想とは?
これらより、未来は単に命を助けられた恩を返すために動いている訳じゃない。そして、未来の信念はおそらく
"唯のような犠牲者を出さないために妖夢を狩る事"。
最初は、半ば"境界の彼方"と戦って殺されるつもりで、未来は虚ろな影以上に危険な"境界の彼方=秋人"を殺しにやってきた。
でも、実際に会ってみると、瀕死にさえならなければ秋人はほとんど人間と変わらなかった。更に4話レビューや、7話レビューで書いたように、秋人は未来に手を差し伸べてくれて、そんな秋人によって未来の心は救われた。そして、前向きに異界士として"生きようと"もう1度思う事ができた。因みに、銀の竹のような思いはこの時点で生まれたのだと思われる。
だから未来は、彩華や愛と知り合った事もあって、秋人を倒す必要はないと考え直した。ところが、その秋人が
もし凪が終わって、秋人が本当に妖夢になってしまったら、唯のように多くの人達が殺されてしまう。だから未来は、自分を生き延びさせてくれた唯のためにも、自分を立ち直らせてくれた秋人のためにも、異界士としての責任を果たそうと思った。
そして"目が眩みそうな黄金=秋人(が与えてくれた幸せ)=眼鏡"を外し、"魔(=黄金)を払う銀の竹=雨=涙"でずぶ濡れになりながら、未来は秋人を殺そうとするのだった・・・・と予想してみる(笑)。
以下は時系列順に細かい色々。
●未来を警戒していた彩華
色々あって、愛を抱えて新堂写真館の(?)屋根の上で秋人と向き合う未来。そこに彩華がやってきて、未来は愛を彩華に渡す。愛を受け取った後、彩華は厳しい目を未来に向ける。すると未来は一瞬顔を曇らせるけど、すぐ笑顔を作り、それを見た彩華は愛と共にその場を離れるのだった。
前回、泉は弥勒から彩華を助けたし、彩華は秋人の事も知らされていたし、彩華と泉は結構付き合いがあると思われる。
「新堂彩華や。妖夢やけど襲わんといてーな」
2話ではじめて未来に会った時、こんな挨拶をしたのも、未来が唯を亡くす原因となった妖夢に復讐心を抱いている事を事前に知っていたから。
更に彩華は、泉が"境界の彼方=秋人"を倒すために未来を連れてきた事も知っていたと思われる。もし泉が話していないなら、これまでの付き合いから泉達の様子を見て、なんとなくそれを察したのだろう。
だから前回、彩華が未来を家に帰らせたのは、実は未来を警戒していたから。そして今回も、未来がこのまま秋人を殺すかもしれないと思い、彩華は未来の本心を確認した。でも未来は笑顔を作りその意志はない事を彩華に伝え、それを見た彩華は、愛を連れてこの場を離れるのだった。
ここのアイコンタクトには、おそらくこんな意味が込められている・・・・筈(笑)。
●美月はツンデレ
「ありがとう・・・・ヤキイモ」
色々あって、博臣と協力して強力な妖夢を倒した後、美月はこんな事を言う。でも、「ありがとう」と「ヤキイモ」の言い方が明らかに違う(気がする)ので、照れ隠しにヤキイモに言った体を繕ったのだろう・・・・そんな美月が可愛過ぎる(笑)。
●境界の彼方=???
更に色々あって、秘密の部屋で祖父に報告をする泉。この時映されるのは"鏡のように上の風景を映す水溜り"。改めて思い返すと、この部屋のシーンでは、まるで"境界の彼方"を暗示しているかのような鏡面の画が、ずっと映されている気がする・・・・。
とすると"境界の彼方=名瀬祖父"という事になる・・・・だとすると、名瀬祖父は秋人を自分の身代わりにしたてあげて、異界士協会の目を眩ませるのが目的?
「気をつけなさい。異界士協会は名瀬家の失墜を企てているのよ」
この後の、泉と博臣の会話の最後で、博臣にこう言う泉。もし祖父が妖夢・境界の彼方である事が明るみに出れば、妖夢の血筋として名瀬家は失墜してしまう。だからそれを隠そうとしている?
「ええ、名瀬家も大きくなり過ぎたわね。色々五月蝿くて・・・・」
泉を更に腹黒にするなら、この台詞より、五月蝿い目の上のたんこぶの排除も兼ねて、逆に名瀬祖父を暗殺し、その事実を闇に葬ろうとしている、とか・・・・?
次点で、化物みたいな戦闘力の"境界の彼方=泉"や、OPの最後の絵、満月と境界の彼方のような鏡面が一緒に映る絵より、"境界の彼方=美月"なんて可能性もなくはないけど・・・・。
●弥勒の呪文は・・・・
またまた色々あって、封印を解いて秘密の部屋に忍び込む博臣。それに合わせて、その部屋に保管されていた"虚ろな影の妖夢石"を回収しに現れる藤真弥勒。余りにタイミングが良すぎる・・・・。
また、それを博臣に見つかって、回収が終わると爆発を目眩ましに逃走する弥勒。この時、爆発は無詠唱で起こしている。でも前回廃バスで博臣と戦った時は爆発前に何かを詠唱していた。
微妙に引っかかってたけど、弥勒の詠唱は攻撃のためじゃなく、おそらく博臣の動きを監視できる呪術的な発信機みたいなものを博臣に付けるためのものだった・・・・?
なら3話で泉と話してた時に現れた妖夢を倒す時に使った呪文も、泉に呪術的発信機を付けるためのもの・・・・だったとか?
●金 VS. 銀
色々あって、泉に何か吹き込まれた未来は、おそらく泉に渡された式神(?)の案内で、泉が結界に捕らえた秋人のところまでやってくる・・・・雨が描く銀の竹林を走り抜けて、雨=涙でずぶ濡れになりながら。
そして金の指輪を外し、力を解放し本気で秋人と戦いはじめる未来。でも秋人の顔を見る度に、黄金に輝く宝物のような秋人の思い出に目が眩む。だからそんな"宝物=秋人"の象徴・眼鏡を外し、目から銀の思いを溢れさせ、秋人に最後の一撃を突き刺s・・・・といったところで、鬼畜な引き(笑)で次回に続く!
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