【境界の彼方10話】未来に萌えたよ、萌え尽きた、真っ白にな…【感想】


境界の彼方 #10「白の世界」

●伊波家と泉

 冒頭は、ダンボールが積み重なり、引越ししたてのような部屋で膝を抱えて座り込む未来。

「やめられるなら、やめられるならとっくにやめてます!やめようともしました。異界士をやめて、妖夢を倒すこともやめて、普通に暮らそうとしました!でも私の中を流れるこの呪われた血は、普通じゃない。この力は・・・・」

 1話で未来はこう言っていた。そして7話より伊波家では唯と共に妖夢と戦っていた。よって異界士をやめようとしたのは唯が亡くなってから。唯が亡くなってから、未来は伊波家を出て普通に暮らそうとした。でも、それが上手くいかず未来は部屋でうずくまっていた・・・・。

 だとすると、伊波家が未来を殺そうとしていたという話がひっかかる。そもそも忌み嫌われた一族の子を引き取った時点で、それなりの覚悟はあっただろう。まして唯が亡くなった原因は妖夢・虚ろな影との戦い。それに殺そうとしていたなら、家を出る事を許さない筈・・・・。

「名瀬泉と申します・・・・貴方に知らせたい事があって、電話しました」

 そしてそこに泉からの電話がかかる。"知らせたい事=伊波家が未来の命を狙っている"だったのか?そうだったとして、それは本当なのか?なんと言っても弥勒が言ってた事だし、ちょっと気になる・・・・。

●OPの電車

 とにかく泉の電話を受け、未来は秋人達の町に電車で向かう。そして、それが綺麗にOPへと繋がっていく。

 1話レビューで書いたように、電車が走るのは敷かれたレールの上。呪われた血に縛られた異界士の(、そして泉の策謀の)レールの上を進んでいる。

 でも、最後に未来は電車を降りる。そのレールを外れ、未来が新しい自分の道を見つける暗示・・・・と信じたい・・・・。

●真夏の陽

 OP明けて、青く高い夏空に向かって伸びる厚い積乱雲。その上から刺すように鮮烈な夏の陽が降り注いでいる。

 後の未来の台詞より、夏の世界は未来の血が秋人に見せている夢。前回、秋人から"境界の彼方"を追い出すために、秋人の体に流し込まれた未来の血。その僅かな残りが秋人に夢を、未来の思いを見せている。

 だから刺すように鮮烈な夏の陽は、それくらい熱い未来の秋人に対する恋心・・・・。

●嘘には2種類あって・・・・

 そんな真夏の自室で目覚める秋人。そのベッドの傍には未来が付き添って眠っていた。そして秋人が目覚めた事で未来も目を覚まして、

「妖夢化して大変でしたけど、幸い"誰も傷つかずに済みました"から」

陽の射さない暗い台所でオムライス(未来談)を作りながら、こんな事を言う未来。しかも後半は秋人を映しながら。

 大事な話は、電話でなく実際に会いにいってする。姿を見せるというのはそれだけ大事な事。逆に、姿を映さないという事は、嘘を言っている演出。しかも暗い台所=後ろ暗い気持ちなんて演出つきで・・・・。

 その後、出来上がったオムライスは酷い有様。今回の冒頭もだけど、未来が食べるのは出来合いの弁当とかばかり。料理をしてるのを見た事がない。だから未来の腕が正確に反映されていた・・・・夢の中だし、そんなところは嘘を吐いても良いんじゃないかな(笑)。

●真夏の陽とクモ

 そして秋人の部屋で2人がイチャついていると、桜が玄関から入ってきてこんな事を言う。

「そんな事もわからないの?・・・・神原先輩が倒れてから、未来は片時も離れず、ずっと看病していた・・・・まだ気づかない?」
「何が?」
「未来、この人駄目かも」

 ここは未来が見せている夢。8話で未来の気持ちを秋人に気づかせようと色々やってたし、未来は桜の事をこんな風に思っているのだろう。うん、大体合ってる(笑)。

「何言ってるんですか?何言ってるんですか!」
「はっきり言った方が良い」
「何をですか?何をですか!」

 そんな桜を慌てて玄関の外に引っ張り出して、未来はこんな風にまくし立てる。照れる未来がとっても可愛い(笑)。

「何やって・・・・って、暑っ!?」

 そんな2人を追って秋人も玄関を開けるけど、外の鮮烈な陽射しに驚くのだった。それは未来の思いの熱さで・・・・。

「な、夏ですから・・・・」
「・・・・夏か」

 未来はこう言って秋人に背を向けてしまうけど、そこで映されるのは巣で獲物を待つクモ。それは、未来の気持ちに気づいて欲しくてこんな風景を見せる未来の姿・・・・。

 秋人に気づいて欲しくて、こんなお芝居をする未来がホントに可愛い・・・・もうずっと夏編で良いんじゃないかな・・・・。

●冬の世界1

 そして場面は、見なかった事にしたい冬編に。後の未来の台詞より、ここはおそらく"境界の彼方"の内部。未来が消滅した訳ではなかった!(断言)・・・・夏編が現実世界で、冬編は未来が見た悪夢とかでも良いけど・・・・。

 冬の学校。部室で秋人の手を自分で頭に乗せる未来。でも、その手は力なく未来の頭からずり落ちて・・・・。

●思い出の妖夢石

 再び場面は夏に。秋人と未来が部室にいくと、また未来の盆栽が増えていた。そして並べてある盆栽の一番手前には、4話で秋人と一緒に倒した虚ろな影の妖夢石(偽物)が置いてあった。

 そんな石ころを、わざわざ夢に登場させたのは、それが2人で虚ろな影を倒した思い出の品だから。たった200円の石ころでも、秋人との思い出の品なら、数万円をつぎ込み、手塩にかけた盆栽に勝る価値があると・・・・それくらい秋人の事が好きだと未来は伝えたいのだろう・・・・。

●未来の美月像

 その後プールにいくと、桜はプールの中で浮き輪に掴まって、美月はプールサイドのパラソルの下でくつろいでいた。2人の水着姿が眩しい!こんな状況でなければもっと・・・・。

 そしてサングラスをかけている美月を見て、ペラペラとその良さを語りだす変態が1人(笑)。そんな秋人を見て、ムクれて顔を横に逸らす未来も可愛い!こんな状況で(略)。

「秋人・・・・これに懲りて、もう1度自分の事を見つめ直す事ね。もうこりごりだわ、こんな思いをするのは・・・・」

 そして一通り秋人を罵倒した後、こんな事を言う美月。

 ここは未来が作り出した夢。よって未来も、美月が秋人の事を好きだと思っているようだ。だから美月は、パラソルで"太陽=未来の秋人への恋心"を避けている。きっと秋人の事が好きな未来を、美月は疎ましく思っているのだろうと、未来が思っている事が伺える。

 そして互いに気があるように見えなくもない秋人と美月。そんな美月がサングラスをかけたら秋人はどんな反応をするのか、未来は気になっていたのだろう。そして結果は予想通りで・・・・。

「それと、そこの変態も一緒に部室に運んでおいて」
「おい、変態」
「なんだ、変態」

 最後に美月がこう言って、秋人は、プールの外の茂みから潜望鏡で美月を見ていた博臣とこう罵倒し合う・・・・未来も博臣の事をシスコンの変態だと思っているようだ(笑)。

●冬の世界2

 場面はまた冬に変わり、雪道を歩く未来と秋人。そこで滑って転ぶ未来。でもそんな未来に目もくれず、足を引きずるように機械的に進む秋人。その姿からは全く意志が感じられなくて・・・・。

●夢の終わり

 そして場面は夏、夕暮れの部室に。ここで映る蚊取り線香は、残された時間を示す砂時計のようなもの。

 だから残された時間はほとんどなくて、秋人が未来を晩御飯に誘うと、もう時間がないと言う未来。「どういう事?」と言う秋人の問いに答えず、

「先輩は、先輩は、どうして私に優しくしてくれるんですか?」
「・・・・僕に似ているから・・・・」

こんな事を聞く未来に、こう答える秋人。それを聞いて未来は美月流に喜びを伝え、またコントを繰り広げる2人。

 でも楽しい夢の時間はそこで終わる。突然部室の窓に前回の秋人と未来の戦いが映り、未来は秋人の中には世界を滅ぼすと言われる"境界の彼方"という妖夢がいたと告げる。未来は最初からその討伐が目的だったと。

 でも、未来は秋人を殺せなかった、殺したくなかった。だから、凪を利用して自分の血の力で秋人の中から"境界の彼方"を追い出して、力を使い果たした未来は消えてしまった。

 だから秋人はまだ眠っていて、ここは夢の世界。"境界の彼方"を追い出すために秋人の体に流し込まれた未来の血。その僅かな残りが秋人に夢を見せていると未来は告げる。


●枯れたひまわり

 そして未来がそう言ったところで、2人の周囲がひまわり畑に変わる。上で書いたように、太陽の光は未来の恋心。なら、"太陽=恋心"に向かう花・ひまわりは、正直に恋に生きる者の暗示。

 だから、(例え周囲にバレバレだとしても)恋心を偽り続けてきた未来のひまわりは枯れてしまっている。

 だから、夢の中だけズルして秋人にキスをしようとしても、枯れて頭を垂れたひまわりでは、秋人に届かなかった。

 更に、自分の恋心を偽っていたのは秋人も同じで、2本の枯れたひまわりが互いに届く事はなかった・・・・。


「夢だからできると思ったけど、やっぱり難しいですね・・・・さよなら」

 そしてこう言って未来は消えてしまうのだった・・・・。

●刺され芸?

 ここからこれまでの回想がはじまる。

 6ヶ月前。名瀬祖父に会い、泉から秋人の事を聞き、屋上で秋人と出会った未来。

「うわっ!」「うおっ!」「え゛ぁー!」

そして3連続で刺され、体を張って笑いを取る秋人(笑)。

 その後は1話の公園での会話。

●ホットケーキと計画犯・・・・

 5ヶ月前。喫茶店で未来と話しながら、ホットケーキを食べる泉。この時、まず最初に16分割してから食べはじめる泉。

 5話でも、美月が未来とホットケーキを食べていたけど、美月は食べる都度小片を切り出して食べていた。


 よって泉は最初に計画を立ててから動く、美月は行き当たりばったり(笑)。

 だとすると、未来をいきなり秋人と戦わせた事や、ここで

「先に言っておくけど、秋人君とは距離を取っておいた方が良いわ」

と言うのが引っかかる。下手に攻撃して万が一学校で"境界の彼方"が出てきたら大惨事だし、未来だけで勝てる保障もない。未来の生い立ちを考えれば、秋人と共感する事も十分に考えられた。こんな事を言うくらいなら、そもそも戦闘以外で接触させなければ良い。

 よって、泉は最初から未来の情が秋人に移るよう誘導していた。つまり、虚ろな影の時に口では文句を言っていたけど、はじめから凪まで"境界の彼方"を倒すつもりはなかった。そして今現在、未来が"境界の彼方"の中で戦っている事も想定通り。ただ、そうだとして、最終的に何が目的なのか・・・・。

 秋人の表面に出てきてる状態で殺すと、トカゲの尻尾きりみたいになって、本体まで滅ぼせない。だから1度、秋人に憑いているのを追い出し、本体と合流したところで倒す、とか?

 意外に秋人の事が好きで助けたかった、とか・・・・実は泉姉さまは良い人説の望みもまだ・・・・ないだろうな、多分(笑)。

●虚ろな影は未来の独断

 そして2話の遮断機のところや、未来のマンションの前での秋人との会話が続く。

 その後の虚ろな影との戦いは

「少し様子を見た方が良いわ」

喫茶店で泉がこう言っていて、

「なのに・・・・先輩は追いかけてきて」

更にこの未来の独白より、未来が虚ろな影と戦ったのは独断。虚ろな影を利用して秋人を弱らせる作戦とかではなかった筈。

●泉は腹黒・・・・

 その後も回想が続き、遂に前回の喫茶店のシーン。流石に大詰めで泉でもホットケーキを食べる余裕はなかったようだ。そして未来が秋人を助けるとわかって、そう誘導してきておいて、

「栗山さん・・・・秋人君は貴方に生きて欲しいのよ。自分を殺して貴方に生きて欲しい。間違いなくそう思っているわ・・・・それでも貴方は秋人君を助けるのね」

こんな最後の誘導、そして最後の意思確認をする泉・・・・秋人を助けるにはこれしかなくて、未来が"境界の彼方"の中から生きて帰ると信じてるとか、泉姉さまが腹黒でない可能性が微粒子レベルで存在する、かも・・・・。

●笑顔が余計に・・・・

「はい。きっと先輩怒ると思います。私がこんな事したって聞いたら、『なんにもわかってない』って。あの時みたいに・・・・」

 そんな泉にこう答える未来。

「ざまあみろです・・・・」

 そして無理に作った笑顔でこう言うと、未来は秋人のところに急ぐのだった・・・・萌えたよ、萌え尽きた、真っ白にな・・・・(涙)。

●サブタイ

 その後、病室で未来の眼鏡を見つめる秋人が映される。直前の未来の笑顔が余計に未来のいない寂しさをかきたてる。

 そして冬の世界で"境界の彼方"の中心に向かう未来、病室の窓から外を眺めて腑抜ける秋人が映されEDへ。

 よって、サブタイは未来のいる冬の世界と同時に、未来がいなくなり頭が真っ白になった、喪失感に包まれている秋人を指している。といったところで、次回に続く!
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2013年12月10日 03:15 by 元会長
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