●淡く照らされた室内で
前回に続き、今回も回想シーンから。夏休みが終わり、9月になっても春希は1人ギターの練習を続けていた。黄昏の薄暗い教室で。
一方、一番西にある冬馬の音楽室には夕日が届いていて、冬馬がいる窓際は淡い琥珀色に照らされている。冬馬が相手を春希だと知って、淡い恋心を抱きながらセッションしていた事が演出されている。
また、冬馬の音楽室には新たにギターが置かれていて、冬馬が春希に教えるためにわざわざギターを持ってきていた事がわかる。
●はじめてのプレゼント
そんな9月のある日、登校していた冬馬が駅の改札をくぐると、春希が冬馬を待っていた。そして春希は大切な話があるからと冬馬を公園に誘う。
まず春希は、夏休みに冬馬がギターを教えてくれた事にお礼を言う。
「そんな事もあったっけ。良く覚えてないな」
でも、音楽室にギターまで持ち込んでいるのに、冬馬はこんな風にうそぶいて、春希に本心を明かさない。
一方、冬馬はそうでも俺は凄く嬉しかったと、本当に嬉しそうに話す春希。そしてしばらく雑談した後、
「気に入ってくれると良いんだけど」
春希はこう言って、冬馬に紙袋に包まれた英文法の参考書を手渡すのだった。好きな女の子に、勉強嫌いの自称不良に渡すプレゼントが、参考書・・・・ホント朴念仁だけど、本当に冬馬の事を考えてのプレゼント。きっとその誠意が冬馬にも伝わって、だから冬馬は・・・・。
●綿は雪の暗喩
その日、家に帰って仰向けにベットに身を投げ出す冬馬。その時、近くの戸棚に押し込められている、曜子から冬馬に贈られた犬のぬいぐるみが映される。
曜子への怒りから、足をもいで、胴を裂いて、中の綿が溢れ出している。そして溢れ出した綿に覆われた犬のぬいぐるみは、まるで雪に埋まっているかのよう。
内に秘めていた曜子への白い気持ち、憧れなどがすれ違いで冬馬から溢れ出て、雪となって冬馬を覆っている、そんな事が暗示されている。雪の詳しい解釈は10話レビューに書いているので、宜しければご覧下さい。
●サブタイの意味
そしてベットから起き着替えようとしたところで、春希から貰った参考書をどこかに置き忘れてきた事に気づく冬馬。一度はそのままにしようとしたけど、夜中の3時に、諦められず外に出て心当たりを探し回る。
そして雨の中傘も差さず探し回って、やっと参考書を見つけた冬馬は、川原の草むらに仰向けに寝転がり、雨に濡れながら幸せそうに笑うのだった。雨=涙の暗示だけど、その涙はきっと嬉し涙で・・・・。
後のシーンより、参考書には冬馬を気遣って春希が書いてくれた手紙が挟んであった。その手紙に、春希の優しさに、曜子に空けられた心の空白を埋めて貰った冬馬は、犬のぬいぐるみを夜通しで繕うのだった。
これがサブタイの「雪が解け」の部分。雪でなく、母へのわだかまり(の綿)だから、"溶け"ではなく"解け"の字を充てたのだろう。
●犬?猫?
よって犬(のぬいぐるみ)=かずさ。イメージ的には冬馬は猫で、雪菜の方が犬っぽい気がしてたんだけど(負け犬とかどう考えても雪菜の方がしっくりくるし)・・・・。
気紛れな猫が自分の気持ちを良く認識できないまま、多少の後ろ髪を引かれながら外国にいくのかと思っていたら、忠犬が大好きな思いに潰されそうになりながら、それでも泣きながら離れていった・・・・そんな未来が見えた気がしたけど、気のせいだよね・・・・。
●扉の隙間、赤い影・・・・
そして回想は11月、ライブのあと春希と冬馬が話した音楽室に飛ぶ。春希が寝て、1度は音楽室を出ようと扉のところまでいく冬馬。この時、音楽室の扉はほんの少ししか開いていない。
でも、そこからやっぱり春希のところに戻り、思いを押さえきれずキスをしてしまう。そして春希や雪菜への罪悪感から、冬馬は泣きながら音楽室から走り去ってしまう。
でも冬馬が音楽室を出ようとした時、扉がさっきより明らかに開いていた。更に、すぐ隣の第一音楽室に赤い謎の影が・・・・。
7話で春希が音楽室に入った時に、そもそも扉をしっかり閉めていた筈なのに、とか、
「けど、けど、私知ってたんだよ、冬馬さんが"あの時"・・・・っ」
8話冒頭で雪菜がこう言ってた、とか、じゃあ7話の雪菜の台詞って
「私が(第一音楽室に)きてからでも30分以上」
こんな事になるんじゃ?、とかが、何故か頭に浮かんできたけど、全部気のせいだよね・・・・(吐血)。
●ホテルのディナーで
翌日、雪菜に告白して付き合う事になったと冬馬に告げる春希。それを聞いても冬馬は、
「安心しろ。別に何も変わらない・・・・今まで通り3人でいてやるよ・・・・でないと、小木曽が泣くからな」
こんな事を言ってしまう。でも本当は悲しくて、苦しくて、1人になった部屋で明かりも点けず膝を抱える冬馬・・・・。
そんな時に母親・曜子から電話がかかってくる。そして久しぶりに再会するかずさと曜子。高級ホテルのレストランでディナーを食べながら、色々話す。
そして曜子は、今度のピアノコンクールで良い成績が取れたら、一緒にウィーンにいかないかとかずさを誘うのだった。
●温泉旅行の帰り
また時間が飛んで、12月のクリスマスに冬馬達3人でいった温泉旅行から帰る時の車内。雪菜が寝むってしまい、助手席で冬馬と話す春希。
昨日の旅館でも真っ先に寝ていたのに、ちょっと雪菜は寝すぎじゃないですかね?・・・・寝てる筈なのになんか凄い存在感だし・・・・。
そして春希と冬馬が色々話すけど、結局春希も寝てしまう。そこで春希にまたキスしそうになったけど、なんとかそれを思い止まる冬馬・・・・。
でも、雪菜はきっとこれを見ていて、春希が迷ってた事にも気がついて、だから、やっぱり自分が身を引こうと考えた・・・・とか?
それから春希と雪菜を降ろし、1人車を走らせる冬馬。でも去り際にバックミラーで寄り添う2人を見て、もう涙を抑える事ができなかった・・・・。
そして冬馬は赤信号で止まった車内で泣きじゃくる。赤信号は春希を諦めようと・自制しようとする冬馬の暗示。また、冬馬の心がそんな危険な状態になっている事の暗示でもあった。
●ピアノコンサートで
そして1月、ピアノコンサートの後、入賞できなかったかずさにそれでも合格だと言う曜子。何故だと問い返すかずさに
「まさかこの私じゃなくてあんなヘボ審査員達の耳を信じるの?」
と切り返す。そしてかずさはウィーンいきを決断するのだった。
9話でかずさはコンクールでの自分の演奏を「完全勝利だったよ」と言っていたけど、それは曜子に認められたから、という意味だった。だからかずさは雪菜に理由を聞かれそれをはぐらかした。正直に話すと、かずさがウィーンにいく事を話さなくてはいけなかったから・・・・。
●悪いのは・・・・
また10話で冬馬が、曜子が若い頃は周り全部を敵に回してた、みたいな事を言っていた。そしてそんな葛藤、激情をかずさが抱いていると知って、そんな音が好みだと言って、かずさを誘った曜子。
春希との恋に苦しんでいるのも知っていて、それに全く触れず連れていこうとしている。かつての曜子のように、かずさが激情に飲まれる方に誘導するかのように・・・・。
もし曜子がディナーの時に、かずさの背中を押していれば・・・・なんて事を言ったら、春希がもう少し勇気を出していたら、冬馬がもう少し素直になっていたら、雪菜が3人に固執してなかったら、ときりがないんだけど・・・・。
●サブタイの意味 その2
そして場面は現在に。
「私って、いつもそうだ。自分なんかどうでも良いって、適当な事ばかりやって。なのに意地を張って、気持ちと逆の事ばかりやって、気がついた時には何もかも失ってる」
「やっと友達になれたな、北原。言いたかった事全部言えたもんな。なんでもわかってる間柄になったもんな。友達になった瞬間、絶交、しちゃったけどな・・・・」
冬馬はこう言って春希の下から去ろうとするけど、春希は意を決して冬馬に近寄りその体を抱きしめる。ダメだと思いつつも、それを拒めない冬馬。
「ダメだ、ダメだよ・・・・」
更にこう言う冬馬に強引に唇を重ねる春希。冬馬も春希を抱き返し、その激情に流されそうになる。
でも、その途中で冬馬は春希を引き剥がし、春希の顔を思いっきり引っぱたくのだった。
「ふざけるな・・・・ふざけるなよ!・・・・なんでそんなに慣れてんだよ!雪菜と何回キスしたんだよー!」
そしてこう叫ぶと泣きながら冬馬は走り去ってしまう。そしてその場に崩れ落ちる春希。そんな2人に静かに雪が降り積もるのだった・・・・。
これがサブタイの「そして雪が降るまで」の雪。折角母親とのわだかまりは解けたのに、春希とのすれ違いで雪に埋もれる2人。そしてそれは、10話で窓から積もる雪を見ていた雪菜もおんなじで・・・・。
あと2話でどうハッピーエンドに辿り着くのかタノシミダナー(棒)と現実逃避するのを止め、そろそろ覚悟を決めた方が良い気がしてきたけど・・・・敢えて
「あと2話でどうハッピーエンドに辿り着くのかタノシミダナー!!」
と言ってみたところで、次回に続く!(笑)
スポンサード リンク
スポンサード リンク
>赤い謎の影
思わず変な声が出ましたw
第二音楽室の扉の件は気づきませんでしたが、これまでの意味深な描写やセリフが色々と繋がって鳥肌が…(^^;)
>寝てる筈なのになんか凄い存在感
いつ目を開けるのかドキドキでした(^^;)
車のシーンは所々で冬馬の体や腕に遮られて寝顔が見切れてましたが、これも計算ずくの演出なんでしょうね;;
(それと、今回あえて小木曽さんのセリフがゼロだったのも…)
あと2話でどうハッピーエンドに辿り着くのかタノシミダナー!!(^^;)
アニメ感想 『WHITE ALBUM 2』#11「雪が解け、そして雪が降るまで(後編)」
http://tarasite.blog.fc2.com/blog-entry-661.html
トラックバックに初めて成功しました(^^;)
先のコメント中に貼った記事リンクとの重複、申し訳ありません<(_ _)>
10話まで冬馬の春希に対する思いが(多分意図的に)描写されなかったので、ここで一気に種明かしがされましたね。
裏側がわかってハッピーエンドが見えるんじゃなく、バッドエンドがより鮮明に見えてくるというのがどうしようもないですが(泣笑)。
また、車もホントにドキドキでしたね(笑)。
いよいよ明日は最終回ですが、こんな状態からどうハッピーエンドニ タドリツケルノカ ホントウニ タノシミデス(棒)。
あとトラックバックの設定は何も弄ってないので、サーバーの相性的な問題で運次第なのかもしれないです(涙)。
こんな感じですが、宜しければまたお越し下さい。
言及リンク云々はお馴染みのサイト様以外に向けた注意書きですので、どうぞお気になさらず…(^^)
旧年は大変お世話になりました。
どうぞ今年もよろしくお願いします<(_ _)>
トラックバックの件、了解しました。
こちらこそ昨年は色々ありがとうございました。
昨年同様、今年もお付き合いのほど宜しくお願い致します。