●強くてニューゲーム
「ダブリの先島です。どうぞ先輩と呼んで尊敬して下さい。タメ口利いたら体育館裏な!」
冒頭は、朝のホームルームで転入の挨拶をする光。5年前もそうだったように、光は『気負う』と喧嘩腰の挨拶をしてしまう悪癖があるようだ。5年前はリーダー格としてまなか達を守るために、今回は5年の歳月に負けないために気負ってしまった光。
ただ、地上を敵視していた5年前と違い、おふねひきを通して地上を受け入れていたので、今回はクラスメイト達に反感を持たれないような言い方ができた。
でも、光は『いつものフリ』でそんな悪癖まで演技できるほど器用じゃない。前回、狭山に会ったり、漁協に顔を出した時はいつものフリをしようとしてロクに何も言えなかった。
だから、光がこんな挨拶ができた=気負っているという事は、光が何かに向かって歩き出している、前を向いているという事の裏返し。勿論、前回ちさきと会えたおかげで歩き出せたばかりで、まなかを助けたいとか具体的にどうするのかはまだまだこれからなんだけど・・・・。
「光はいつもの光だった。いつもの光の『フリ』をする光だった。それなら私もいつもの私の『フリ』をしようと思った」
そんな光を見て、光が前に歩き出している事に全然気付いてない美海。後のシーンではさゆの気持ちに全く気を回せなかったし、思った以上に美海はポンコツさんだった(笑)。
それはさておき、光の2回目の転入挨拶。更にこの他にも色んな2回目(詳細は各々のシーンで)が出てきて、今回は『強くてニューゲーム』、『二周目』を強く感じる回となっている・・・・気がする。
あと光の挨拶を聞きながら、美海とさゆが映るカットで、教室の壁の青い部分がかなり剥げかかっている。5年前から老朽化が進んでいる事が示されていた。
また、光が美海の叔父という話が出た時、峰岸が映される。この時峰岸は友達から義理の叔父となら結婚できると聞いて、下校のシーンでそれを美海に話す事になる。
●OP考察
14話レビューでは見落として事を何点か。
台詞の後「どうして?」の歌詞のところで、『浜中の制服』を着て(美海が色々貼ってない)おふねひきの旗を持った光が空(海)へ手を伸ばす。制服も旗も5年前の気持ちの象徴。つまり、光がまなかを求める暗示。完全に美海の失恋フラグ・・・・。
まなかが裸で丸まってるシーンの最後で涙を流すまなか・・・・。
「ゆらゆら水面に浮かんだ」
そのすぐ後、この歌詞の時に、ぬくみ雪を足で踏み付けまくる美海。ちさきもさゆも、その後の光、要、紡も雪のないところを歩いている。ただ、美海だけがぬくみ雪・異常気象・冬眠に抗うとは考えにくいし、ちょっとどう解釈すれば良いかわからない。
また、飛ばされていた美海の赤い傘が飛んできて、それを美海が見上げる時、眩しい太陽の"光"に手をかざしてしまう・・・・。
更に、その赤い傘を誰かが受け取る。でも、美海もちさきもさゆもみんな長袖。手を上げて袖が下がってるにしても、ここまで袖が見えないのは明らかに不自然。よって、この手はまなか。つまり、まなかが無事に帰ってくる伏線!・・・・だと良いな、ホントに・・・・光、美海との三角関係はその後考えるという事で・・・・。
●ホントに紡とちさきは・・・・
その後、光と美海が一緒に下校したり、その途中で峰岸と話す美海を見て、光が美海は峰岸が好きだと誤解したり。そしてその誤解を知った美海が家に帰るまで延々それを否定し続けたり、っていうか2人でイチャつきながら帰ってくる。
そんな2人が家の玄関に入ると、紡が帰るところだった。あかりは、光の制服がないと聞いて紡がお古の制服を持ってきてくれたと言う。
「着られるようなら使って下さい。卒業した時のものだから、少し大きいかもしれませんが」
そして"光の方を向いていたのにわざわざあかりに向き直って、あかりに"こう言う紡。
15話レビューで書いたように、紡は前回の最後で嬉しそうなちさきを見て、ちさきが今でも光の事を好きだと誤解している。一方ちさきも、ちさきの好意には全然気付かないのに、そんな事だけは察した紡にムクれて、光と会った事について何も話さなかったから・・・・。
だから、わざわざ制服まで持ってきたのに、紡は光を避けてしまった・・・・まあ、紡とちさきがこんな感じだから、要の参戦が間に合ったと言えば間に合ったんだけど・・・・勝てる見込みはほとんどないけど、でもその隙のせいで余計に諦める事もできなくて、みたいな・・・・。
●波中の制服
「そういや"波中の"制服、おふねひきの前に漁協でみんなに脱がされて(意味深)、そんでどうしたっけ?」
一方、制服の話が出るとこんな事を言う光。制服と言われ"波中の"ものを真っ先に思い浮かべた光の心は、今でも海(海村、まなか)に寄り添っている。
しかも、そんな光の心を表す波中の制服が、まだどこかに保存されている、その内出てくると言う(意味深)な伏線・・・・(意味深)をそれ以外の意味に取った人は僕と一緒に反省しましょう(笑)。
つまり、
波中の制服=5年前の光の象徴。
それは光が、まなかが好きで、冬眠を回避しようと、地上と海村の架け橋になろうとしていた光にもう1度戻るという暗示・・・・OP考察でも書いたけど、完全に美海の失恋フラグ・・・・。
一応、逆にその制服を捨てて美海を選ぶと言う大逆転フラグの可能性もない訳じゃないけど・・・・。
また次回予告より、光がしばらく紡のお古を直した浜中の制服を着る=しばらくは5年のギャップを埋めるために海の事にまで気が回らない暗示。
その後、光が紡の制服を試着したり、それで光がパンツ姿になって美海を異性として全く意識してなかったり、紡の制服が大きかったので翌日みんなで光の制服を買いにいく事になったり。
その夜、光を引き取ってくれた至にあかりが感謝を伝えたり、その流れでキスしようとする2人を晃が阻止したり(笑)。
でも翌朝、熱を出した晃をあかりと至が病院に連れていき、光と美海だけで制服を買いにいく事になる。
張り切る美海とは対称的に、光は「別に新しい(浜中の)制服とか要らねーし」と言っていくのを渋る。今も光の心は海に寄り添っていたから・・・・。
●美海がポンコツさんすぎて・・・・
なんだかんだと渋る光を強引に誘う美海。でも光に「デートかよ」と言われると、動転した美海はさゆを呼んで3人で出かけようと言い出して・・・・光が戻ってきて舞い上がっている美海に、さゆの気持ちを考える余裕なんてなかったから・・・・。
場面は変わって、10時9分、駅前広場で美海達を待つさゆ。きっと10時の待ち合わせに、美海達は10分近く遅刻している。なのに美海は、光と嬉しそうに話しながら"歩いて"やってくる。更に、さゆの方から声をかけても、美海は全く気付かず光と喋り続ける。
さゆは光と
更に、電車の中で、美海は5年前(8話で)光達と町にいった時の話をする。さゆは一緒にいっていない、美海と光にしかわからない2人の思い出話を、大好きな光と楽しそうに・・・・。
まあ、この後もまだまだこんな調子で、いつもの『フリ』をするとか言ってた美海がポンコツさんすぎて、さゆが余りに可哀想・・・・。
また、8話を見るとちゃんとイカ墨チップスが描かれていて細かい伏線が張られていた。あと、教室の壁と同じく、8話と比べると電車の壁の痛みも進行していた。
●美海の靴と、まなかの呪いの魚
「おーここも変わったなー」
更に、町も8話と比べ空き店舗が増えだいぶ寂れており、それを見た光がこんな感想を漏らす。
でも駅前の商店街でもあの空き店舗って、行政と一緒に再開発とかするレベルな気が(笑)。
そして歩いていると、美海の靴からおならのような音がする。これは1話で
『まなかがかけられた魚の呪い』
を受けての伏線。
まなかは呪いの魚が教室でおならのような音を出したおかげで、紡と親密になる切っ掛けができた。そして光は、魚を紡に見られても平気だったまなかを見て、まなかの思いに気付く事になる。
だから、この靴がきっかけで光も美海の気持ちに気付く事になる・・・・筈。そしてその読みが当たっているなら、15話レビューで書いた"ウミウシ=美海"と合わせて、『二周目』は美海がまなか枠になって進んでいくのかなと、割と本気で思ってみたり・・・・。
また、まなかは6話などでちさきと光に気を回し2人にキレられた。だから次回以降美海も、さゆと要をくっ付けようとして2人にキレられる・・・・とか?
●ホントに光しか見てない美海
そして、靴の事でもまたイチャつく美海と光を見て、さゆは益々不機嫌になって・・・・仕立て屋に入っても美海は、店員と話す光の方をずっと見つめてて、さゆは。
「私、なんでこんなところにいるんだろう?」
と呟かずにはいられなかった・・・・。
●世界の危機?
「昔に比べると、地上の学校も生徒が減ってるそうですねぇ」
また、仕立て屋の店員がこんな世間話をする。仕立て屋の壁もだいぶ傷んでるし、学校の壁も、電車の壁も、町も寂れている事が描かれている。ここまで繰り返し描かれると、本当に世界が滅びに向かっている伏線・・・・な気がしてくる。
●怒ってしまうさゆ
その後、光は店員に波中の制服を頼みかけて、やっぱり浜中ので良いと力なく訂正する。それを聞いた美海は、波中の制服にして下さいと強引に割って入り、店員が承諾するとそのまま店の外に出てしまう。さゆも店内にいる事を完全に忘れているかのように・・・・。
そして店の前に佇み溜息を吐く美海。そこでさゆも店から出てきて、舞い上がってる美海につい意地悪を言ってしまう。
「じゃあ言うけど、叔父さんと姪って結婚できないんだって。三親等だから」
「・・・・どうしてよ?喜んでくれたよね?良かったねって、言ってくれたよねさゆ。なのにどうして!?」
でも、美海はさゆの気持ちがわからずこう言い返してしまう。
「どうしてわざわざ買い物に呼ぶの?二人で良かったじゃん?イチャイチャ見せびらかしたかった!?」
「イチャ・・・・そんなのしてない!」
「してる!自分は良いよね!好きな人、目、覚めて。美海ばっかり!良い事とか良い事とか全部美海じゃん!ずるいよ!私今日一体何しにきたの!?」
そう言われ、もうさゆは自分の暗い気持ちを美海にぶつけずにはいられなかった・・・・これはさゆが怒っても仕方ない。むしろ、良くここまで何も言わずに我慢してくれたよね・・・・。
●美海はホントにポンコツさん
一方、仕立て屋に残っていた光はやっぱり制服を作るのを止めると詫びて店を出てしまう。まあ、光が迷いながらも美海が無理矢理作って貰った制服なんて、中途半端すぎて解釈に困るし(笑)。
「さゆのバカ!」
「美海のバカ!」
そして光が外に出ると、大声で2人がこう言い合っていた。自分が悪かったと気付いているのに、もう気持ちを抑えられなくて謝れなかった美海。まあ中2なら仕方ないけど・・・・。
光達が成長してたせいで、中2なら仕方ない、なんて気持ちは久しぶりな気がする。流石二周目(笑)・・・・まあ、5年経ったのに相変わらず・・・・と思わせてくれる2人がいるけど(笑)。
●二周目の造船場
光に喧嘩を見られて「先帰る」と走り去る美海と、しゃがみ込んで泣き出すさゆ。仕方なく光は家に電話を入れ、さゆと次の電車を待つ事にする。
そこに狭山が車で通りかかり、光達は狭山に送って貰う事になる。その道中で遠慮なく狭山に思った事を言う光。15話で漁協にいった時とは大違い。ここからも、光が前を向いて歩き出している事が窺える。
帰る途中に造船場にさしかかり、光は5年前(5話で)美海が家に帰らずここにいた事を思い出す。そして光は、ちゃんとさゆに声をかけて造船場に向かう。美海のポンコツさが目立ってしまう(笑)。
「なんで・・・・追っかけてくる事ないのに・・・・」
「うわー自意識過剰?俺はおふねひきん時に脱いだ制服探しにきただけですけどー?・・・・ウソウソ、喧嘩したんだって」
そして造船場にポツリと佇む美海に声をかけ、こんなやり取りをする2人。『気負って』2人を仲直りさせようとしてるから、つい喧嘩腰で言いはじめてしまったのかなと思ってみたり。
5話では、美海はあかりが母親になったら、また別れるのが恐くなると思い、家を飛び出した。そして今回はさゆと喧嘩して。光はその両方で美海を探し連れ戻す事になる。やっぱり、『二周目』にしか見えない。
●光が鈍感イケメンすぎて・・・・
「女ってすぐ喧嘩するよな。そんですぐ仲直りするのな。訳わかんねー」
「・・・・無理かも。仲直り」
意訳:すぐ仲直りできるよ、と言う光に、悲しそうにこう答える美海。こんな言い方ができるひー君がイケメンすぎる(笑)。これでもう少し鈍感でなければ・・・・。
「まなかとちさきだって、結構喧嘩してたぜ」
(中略)
「どうやって仲直りするの?」
「さー、どうだっけなー。要が取り持ってたのかもな」
でも光こう言うと、再び目を逸らし黙ってしまう美海。
「しゃーねーなー、やってやるよ要役」
そこで光はこう言って美海に手を差し伸べる。5年前と変わらない大きな手を。光はずっと冬眠してたのに、美海は同い年になったのに・・・・。
画面一杯に光の手が映されるのは、美海にはそれだけ光の手が大きく=頼もしく見えた演出。
だから美海は啜った鼻の頭を手で押さえると、光が差し出している手を握り、そのまま告白しようとする。でも、鼻を押さえた時に、手に付いていた赤錆が鼻に付き、それを見た光は
「お前、鼻赤ブタになってんじゃん」
「バカー!」
と笑い出してしまい、美海は涙目でこう叫ぶのだった・・・・。
●海に落ちる美海(2回目)
でもその時、傍にあった老朽化したクレーンが倒れ、その衝撃で美海が海に落ちてしまう。5話の時と同じく、海に落ちた美海を助ける光。これも二周目のイベント。
何故か美海をエナが覆ったので、助けると言うとアレなんだけど・・・・。
「海の中で見る光は、いつもの光と変わらない筈なのに、いつもより眩しい、特別な"光(light)"だった」
この美海の台詞より、光が希望になったと解釈すれば2回助けたとも言えるし・・・・。
そして2回助けるといえば、これは紡がまなかを1話と13話で引き上げた事に対応してる。ただ、地上に憧れ、ままならない海の中で迷子になってたまなかを引き上げたのと違い、あかりと光(=海)を思って迷ってた美海を海上(地上)に引き上げた光。特に2回目は美海にエナがあるのに引き上げてるし・・・・どう解釈すべきか迷うところ・・・・。
●美海のエナは?
何より美海のエナにどういう意味があるのか・・・・まあ、美海が見た海の景色の綺麗さ、幸せの暗示っぽい演出を信じたい・・・・間違っても前期EDのデトリタス+冬眠のコンボ的なサムシングは止めて下さい・・・・。
そして光と海上に出て、美海は光に抱きつきながら泳げた事を大喜びする。5話で美海は、自分から海に飛び込んで、
「私泳げない。どうして?ママは海の人なのにどうして私は泳げない!?」
なんて事を言ってたし・・・・でも、そう思うと、次回のサブタイ「ビョーキなふたり」って紡もエナに覆われて、みたいな大穴を狙ってみたくなったり・・・・?
素直に考えたら要と・・・・ちさきと紡とさゆの4人になって2人にならないし・・・・。
話を戻して、造船場に戻るとさゆが美海の靴を持って待っていて、無事に2人は仲直りできた。そして最後は、マッパな要が堂々とトライアングルの店長に要が話しかけたところで(笑)、次回「ビョーキなふたり」に続く!
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2クールに入ってから紡のセリフに常にちさきへの想いが表れていて楽しくて仕方ないです。
15話で光に対して「なんでちさきに会いにこない」と言った紡。「ちさきは俺が預かっている」的な感じで明らかにちさきに関して優位に立ちたがっている様子ですよね。
14話でちさきが教授の布団を敷いている時「それくらい自分でやらせる」と言った紡。全然教授を敬ってない言い方!
他の男の為に下働き的な事をして欲しくないしさせたくないんでしょうね〜。
肉ウマイって言ってる所もちょっと可愛くて笑いました!
魚や野菜しか食べてない草食系なイメージしかなかったので「紡も若い男の子だったんだな〜」と思って。
はっ!長々と紡を語ってしまってごめんなさい!
近くに分ちあえる人いなくって〜...。
あっそれと、海に落ちた美海を助けたのってうろこ様じゃないかな。
OPでクレーンの上にうろこ様座ってたし、沈んでいく美海の周りウロコが漂ってたし。
それよりOPに出てくるうろこ様、腕輪してないですよね!
わざと隠してる感じ。
もしかしてあれは海神様とまなかの子なんですかね?
五年前の海神様は力が弱ってたみたいだし。
力の強い海神様の子供が地上を救うって流れになるのかな。
もう早く続きが知りたい!
私もそろそろ胃薬が必要になってきたかも...。
会長のレビュー本当に面白いですね!
これからもよろしくです!
凪のあすからは、台詞や演出や描写が丁寧で、
でも予想外の展開で先が読めなくて、面白いですね。
紡の台詞はcoyukiさんが書かれている解釈がしっくり来るし、もどかしさが倍増しますね(笑)。
確かに美海を助けたのは、うろこ様な気がしますね。
美海は、うろこ様が惚れていたあかりの娘っていう強い動機があるし。
実はうろこ様が惚れてたのはみおり(美海母)だったなんて可能性も・・・・?
まなかの娘は勿論、寝取られ展開だけはないと、全く考えていませんでした。
気付いてみると我ながら徹底的に拒絶してました(笑)。
なのでこのコメントを見て、はじめてその想定で色々考えたら、全てが余りにすんなり繋がって、一気にモヤが消えた気がします(吐血)。
仮にも神なんだから、海神と結ばれたまなかはきっと幸せになってるよね、と悟りでも開けそうな勢いです・・・・。
・・・・まあ、残り話数は10話くらいあるし、まだまだ全然諦めないけどね!(涙)。
こんな感じですが、宜しければまたお越し下さい。