#1「間違いだらけのプロローグ」
#2「フラグの立たない彼女」
#3「クライマックスはリテイクで」
さて、一つ非常に気になることがあります。それは、
『ゲーム制作は本当に倫也の夢なのか?』
ということです。
●ヨシヒコは重要キャラ?
そう思う第一の理由は、1話でヨシヒコが倫也の
「俺の新たなオタク人生のはじまりに相応しい超特大プロジェクト(以下略)」
って話を全く相手にしないからです。更にそんなシーンをわざわざ二回も出しています。
倫也の表層心理では本気なのでしょうが、心の奥底の本当の思いは違う=上っ面の壮言大語は、誰の心にも響きません。ヨシヒコはそんな結構重要な暗示を担っている・・・・気がします。
なら、0話で夜這いをかけられ、縛られた倫也が
「みんなを強引に引き込んだり、無茶振りしまくったのは悪いと思ってる。(中略)けど、本当にそれだけだった?嫌なことしかなかった?楽しくなかった?一生懸命頑張って、少しずつ少しずつ、でも確実に夢が形になっていくのを目の当たりにしてさ・・・・(後略)」
と一見真剣にサークルの意義を訴え、みんながスルーするギャグシーンに見えますが、1話でヨシヒコの演出を見ると見方が大幅に変わってきます・・・・。
●本気が感じられない
第二の理由は、昔からの夢と言う割りに、倫也はたった数行のとても企画書なんて呼べない代物を書くのがやっとでした。あまりにド素人すぎます。今まで、ゲーム制作のための努力を一切してないとしか思えません。
第三に、3話で企画書を書こうとしますが、余りにも注意力が散漫です。本当にゲームを作りたいのでしょうか?
第四に、同じく3話で詩羽に本気でゲームを作る気なら「メンバー全員を引きずり込みなさい」と言われたのに、倫也はゲーム制作より恵の都合を、北海道に家族旅行中だという都合を優先しました。スマホで話す機会があったのに・・・・。
●2話冒頭に恵がいない理由
そんなことを考えていたら、二話冒頭のシーンの演出意図がとても気になります・・・・何故なら、収録室(?)にもミキサー室(?)にも恵がいないからです。
影が薄いキャラなら、どこかの画面端にほとんど見切れて映っていた方がオイシイはずです。なのに敢えて恵を映さない演出意図は何なのでしょうか?
収録室は演技をする場所です。つまり、特に倫也と英梨々がツンデレな性格のせいで演技をしている=本心を偽っている暗示だとしたら・・・・
「ある春の日、俺は運命と出会い、『昔からの夢を思い出した。笑えて萌えて感動するギャルゲーを作ること。そして誰もが胸をトキメかせるメインヒロインを生み出すこと』。そうあの時の彼女のような。(後略)」
「前回のあらすじでいきなり大嘘吐いてんじゃないわよ!」
『』で括った部分も嘘なら、英梨々の突っ込みが一層意味深になります。
つまり、倫也は気づいてないかもしれませんが、ゲーム制作が夢と言うのは、二次元に生きるオタクなのに、恵(三次元)に心を奪われてしまった矛盾を解消するための方便、ツンデレの言い訳な気がするのです。
(1話で三次元は面倒とか言ってますし)
そして、恵がいないのは、一見すると一番何を考えてるか掴みどころのない=一番本心を偽ってそうな恵こそが、最も素直に行動しているから・・・・なのかなと思ってみたり。
●恵の表情
「加藤、俺が保障してやる、お前は地味なんかじゃない!」
そう思うのは、2話で倫也にこう言われた時、恵の表情が一番大きく動いた気がするからです。
恵はずっと自分の存在感のなさを気にし続けてきました、何とかそれを解消したいと思っています。だから、そんな自分を特別だと言ってくれた倫也が気になって・・・・。
「相変わらずのステルス性能だね、加藤ちゃん」
だとすると、0話で美智留がこう言ったあと、恵のアップがしばらく映されるのは、恵の心の静かなさざめき、ということになります。
●大天使降臨!?
また、3話では、英梨々と詩羽が倫也の部屋を訪れます。この時、クリエイターである英梨々と詩羽、そうでない倫也を明らかに区別するような演出をしています。
特にクリエイターに関する話をする時、一人ずつ別々に映され、同じ部屋にいるのに二人同時に映ることがないのです。2話の喫茶店での会話でも同様の演出が少し入っていました。
なので、何か倫也と二人の間に壁を感じてしまいます。
これも倫也の夢がゲーム制作ではないと思う理由の一つです。まあ、なりたくても才能、適性がないという暗示の可能性もありますが・・・・。
また、英梨々と詩羽が倫也の本心を見抜いた上で、それでも茶番に付き合っている演出・・・・にも見えます。だとすると、0話の英梨々、詩羽、美智留の台詞
「目の前でイチャイチャしてるところを見せつけられて。けれど祝福するしかなくて、心の中では泣きながら無理して笑い続けて・・・・」
「(前略)しかも仲間にしたあとは、私達を働かせるだけ働かせておいて、飴の一つも与えてくれない」
「そうそう、トモってそういうところあるよね〜」
も本当のことなんじゃないか、って気がしてきます・・・・それでも付き合ってくれている三人が、もうホントに大天使すぎて生きるのが辛い!
「(前略)アニメの中の、ゲームの中の、そしてラノベの中の、貴方の理想の女の子は、こんな風に話して、こんな風に動いて、そして・・・・こんな風に恋に落ちたのかな・・・・」
だとすると、台本と言いつつ恵の本心が篭ってるんじゃないかとドキドキの3話の恵の台詞ですが、これを書いた詩羽が切ないです・・・・。
なので今となっては、手を繋ぎながら坂を登る倫也と恵を、坂の下で見送る詩羽と英梨々の負け犬全開の会話が癒しですらあります。熱い恋心ではなく、本心ではほとんど諦めがついている恋の残り火、そう思わないと胃薬が美味しくて止まりません・・・・w
●恋心ではないけれど・・・・
でも、それだと倫也が酷い奴すぎます。3話まで観ても、そこまで倫也に酷い印象は受けません。では、何を見落としてるのか・・・・?
それは、1話で倫也がはじめて詩羽をサークルに誘ったシーンの
「(ゲームを作れば)俺の憧れのクリエイター達(英梨々、詩羽、美智留)に近づけるかもしれないと思った」
という倫也の台詞です。3話では、倫也の部屋で倫也が、英梨々を絶対超えてみせる≒憧れの目標にしている、と言っていますし。
詩羽達は、(倫也に自覚がなくても)倫也が恵に恋をしてしまったことから逃避するためにゲームを作ろうとしているのを見抜いています。でも、まだ未練を断ち切れない片思いの相手が、自分を憧れのクリエイターとして目標にしてくれてもいる。せめてその想いだけでも残したい・・・・そんな感じでしょうか。
・・・・凄く・・・・
●イチャイチャ
一方2話では、倫也と恵が一緒にゲームをしますが、二人一緒に映ることが多いです。なので3話と比べるとどうしても同じ目線、同じ感覚、同じ想いの演出に見えてしまいます。
何だかんだと言い訳を探しながら(表層意識では認識できてないかもしれませんが)気になる相手と一緒の時間をすごしたいという・・・・。
●タイトルの意味
これらを踏まえると、タイトルが非常に意味深に思えてきます。
『(倫也による)冴えない彼女(=恵)の育てかた』
一番素直に考えるとこうなんですが、
『冴えない彼女(=恵による、倫也)の育てかた』
『(恋愛下手な)冴えない彼女(達による、倫也と恵)の育てかた』
今のところこのトリプルミーニングって解釈が一番しっくりきます。
といったところで、ニコ生で続きも配信されることを祈りつつ、ひとまずレビューを終わりますw
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