今回とにかく気になったのは、Bパート最後の『尻切れトンボの演出』です。ほとんどの人が「んん〜!?」ってなるほどのモヤっと感が、効果的に演出されていたと思いますw
●尻切れトンボの演出
本来は、第三飛行少女隊PVのBGMの最後、
チャンチャンチャンチャンチャンチャンーーージャーーン!!!
特に最高潮のジャーーン!に合わせて、広がる雲海の上を駆け抜ける飛行編隊などの印象に残る絵と「今秋放映開始!」の文字を出してこそ、視聴者に良いPVができたと思わせることができるのです。
そして、その直後にリアル飛行機と花火の演出を入れることで、PVが暑い夏の夜に咲き乱れる大輪の花火のようだったと、更に余韻を増幅することができるのです。
なのに、最高潮のジャーーン!に被せてリアル飛行機の音を入れ、しかも絵までPVではなく、それに気を取られたあおいに変えています。
視聴者は、PVとリアル飛行機と花火、どれに感情移入すれば良いのか、気持ちが迷子になってしまいます。
また、花火の方も最後の爆発音が『パン!』ではなく、『パ』で途切れているし、同時に聞こえていた打ち上げ音の『ぴゅ〜〜〜』も爆発する前に途切れます。
もうモヤモヤするったらありませんw
●迷子のあおい
その演出意図を考える前に、木下監督はリアル飛行機や花火の音に気づいたでしょうか?
僕は気づいてないと思います。何故なら、監督が泣くほど感動しながらPVを観てる演出が入っていたからです。
また、監督がBGM収録に立ち会い、脳内で空を飛んでいたシーンも、監督がどれだけ真剣に三女を作っているかを強調する演出だと思います。
つまり、監督はそれほど熱く、強い思いを込めて三女を作っています。
なら逆に、あおいはそこまでの思いを三女に持てていないことになります。だから木下監督が泣く演出は、逆に飛行機や花火に気を取られてしまったあおいを引き立たせるためのものだと思います。
そして視聴者が、PVとリアル飛行機と花火、何を見ているのか全然わからない『尻切れトンボの演出』が、そんなあおいを効果的に演出していました。
●バラバラな制作進行
すると屋上でPVを見るシーンで、色々と意味深に見えるものがあるんですよね・・・・。
ビルの屋上で綺麗な夜景を見ながらディナーの・・・・流し素麺にタローのビールで夏気分が高まりますw
・・・・なんてことではなく、まず、あおいが一人ぼっち、そんな印象を受けます。多分、原画(?)のモブと話すシーンが1回あるだけで、あとは誰とも話しません。
佐藤は寝てたとしても、どうして同じ制作の安藤つばきと話させなかったのでしょう?
また、PVがはじまってすぐ、映写機を中心にそれを見る面々が映されます。
作監のゴスロリ様と井口、演出の山田と円、制作の佐藤と安原、原画の絵麻と久乃木 愛、っていうか原画は向かって右側に、みんな所属チームで固まっています。
なのにあおいは原画達の端に一人で立っています。左右方向の真逆に佐藤と安原、かなり離れた中心付近にタロー、平岡に至っては映ってさえいません。もう制作進行はバラバラです。
●座席に表れる心
更に周囲との関係性だけでなく、あおいが立っている位置自体に非常に問題を感じます。
学生の時、席決めでどんな席が良かったでしょうか?まん前の中心、教卓の目の前ですか?それとも、
『一番後ろの窓際』ですか?
多分、この二つが対極だと思いますが、あおいは『一番後ろの窓際(から二列目)』を選んでるんですよね・・・・。
●あおいと矢野の差
しかし、あおいは弁当を買って佐藤達を労ったり、アドバイスをしたり、十分頑張っているように見えます。何が問題なのでしょう?矢野や本田との差は何なのでしょう?
それは道に迷ったり、電車を乗り過ごしたりした佐藤達が帰ってきて二人と話した時の
「(前略)覚えておけば、次の失敗はないから・・・・って、『私も矢野さんに言われた』」
このあおいの台詞に表れている気がします。
あおいはまだ他人の受け売りで、それを自分のものにできていないのです。矢野も本田も自分の言葉になっていたからこそ、あおいを励ませましたが、あおいにはまだ自分の中にそれだけのものがないのです。
だからこの時、あおいは机に寄りかかりながら話しています。まだ自分だけでは立てない、誰かに助けて欲しい、そんな言葉にならない、もしかしたらあおい自身も表層心理では認識していない思いが、その仕草に表れていました・・・・。
まあ、僕の脳内法廷では、新人にデスクを押し付けたナベPが1000:0で有罪ってことで、万事解決ですw
●ケーキの意味
あとは、サブタイキャッチの後、元デスク本田が持ってきたケーキを、みゃーもりだけが食べないんですよね・・・・。
「(前略)俺達の余分な脂肪同盟はどうしたんだよー!?」
「そんな同盟、組んだ覚えはないです。それに俺の脂肪はこのムサニに置いていきました」
そして木下監督と本田はこんな会話を交わすわけです。
更にケーキを勧められた監督は「太るから要らない」と一度は突っぱねますが、結局一人だけ二個も食べることになるのです。
これらより『ケーキ≒脂肪≒アニメに対する夢・情熱』と解釈するのが一番しっくりきます。少なくとも、表の素直な演出でも良い暗示なのは確実です。
素直に解釈しようが、深読みして解釈しようが、どっち道あおいの不安要素の暗示にしかなりません。
(って言うか尻切れトンボとか、ボッチで一番後ろの窓際の席を選ぶとか、良くない暗示と取るのは僕が捻くれてるせいじゃないと思うんです・・・・きっと、多分・・・・そうだと良いなw)
しかも、佐藤達のように食べなくても手に持つだけで良いんです。なのに、どうしてあおいだけ、そんな良い暗示をわざわざ受け取らないなんて演出がされているんでしょうか・・・・。
●サブタイトルの意味
なので、サブタイ「私どこにいるんでしょうか…」は佐藤沙羅の台詞だけでなく、むしろ人生の道に迷っている主人公・宮森あおいのことを指していました。
まあ表の演出は、明るく元気に頑張ってる新人デスクって感じだし、もう自分の道を見つけていてアドバイスをくれそうな友達が沢山いるし、そんなに心配ないとは思いますが・・・・w
●そんな回だからこそ
あとは、そんな回なので、進みたい道を見つけているキャラが多く描かれ、対照的にあおいを浮かび上がらせていました。
ケーキ屋に転職した元デスクの本田。
仕事は中々こないけど歩むべき道は見えている、新人声優の坂木しずか。
悩みを克服し後輩指導までできるようになった原画の安原 絵麻に、レジェンド杉江w
会社を変わったけど、前の会社も無駄ではなかったと言えたみーちゃん(藤堂 美沙)。
憧れの脚本家の卵としてハーネスまで作ったりーちゃん(今井みどり)。
ぷる天の・・・・と言われながら這い上がってきた木下監督。
何か株が上がってきた(笑)タロー。
そんなこんなで、ちょっと波乱が起きそうな雰囲気ですが、それが次回のサブタイにも繋がっています。と言ったところで、
SHIROBAKO 18話「俺をはめやがったな!」
に続く!
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元会長さんの緻密な考察を読むと、自分の感想はお気楽に的外れな楽観視を連発してて恥ずかしくなってきます(^^;;)
(拍手コメントでのお褒めの言葉、嬉しかったです^^)
今回(表面的には)トントン拍子に話が進んだのは今後の転調へのフラグ…というのは自分も感じていて、元会長さんのレビューには不安を掻き立てられますw
ただ、PV上映中においちゃんが見た飛行機については、以前ずかちゃん達がファミレスで見た宝船と同じポジティブなイメージビジョンだと理解しています(^^;)
サブタイトルは引っ掛かっていました。
作中の何でもないセリフを切り取っているにしては脈絡が無さ過ぎるので、裏にもう一つの意味が込められているという指摘には納得です。
そうなると15話の「こんな絵でいいんですか?」も、リテイクの伏線でもあったんでしょうか…?
こちらこそTBありがとうございます。更に、そんなにお褒め頂いて恐縮です^^;
解釈が外れていた時に辛いので、あまり捻くれたことは書きたくないんですが、かと言って自分が感じたことを書かないならブログを書く意味がないので、結局こんな感じになってしまいましたw
(WHITE ALBUM2みたいに、一見ネガティブなものをポジティブに解釈するのは全然良いのですが・・・・)
さて、15話のサブタイについてはちょっと長くなってしまったので
【SHIROBAKO 13話〜17話】どうして『えくそだす』が前半で『三女』が後半なのか?【感想】
http://kaityou-osusume.seesaa.net/article/413906994.html
こちらをご覧下さい。
あと飛行機は、あおいが気を逸らしたことが問題で、飛行機自体に悪い暗示はないと思います。
それに、極力良かった探しをしていこうとは思ってますので、良い解釈を見つけられるよう頑張りたいです。
・・・・まあ、結果はこのざまなんですが・・・・w
こんな感じですが、宜しければまたお越し下さい。