今回注目するのは、帰って来たベテラン制作・矢野エリカと、問題児・平岡 大輔の関係です!
●車内の会話
まず、矢野と平岡が車でタイタニックに向かうシーンが、もう何だか凄いことになってるんですw。
「久しぶり、ウチで何社目?」
この矢野の台詞やそのあとの会話より、二人は知り合いで、それは以前一緒のアニメ制作会社で働いていたからです。
「(前略)前の会社もそれで辞めたんでしょ」
「俺のことはいいだろ。たく、思ったより早く帰ってきたな」
最初の問題は二人がこう言い合う時、車外から半透明な黒い窓越しに二人を映す視点に替わることです。
大事な話なら、相手の家に出向いて直接話すべき。電話で告白するなんてダメ、そんな話を良く聞くと思います。それは実際に姿を見せることが誠意として伝わるからです。
だから逆に実像が映らない、黒い窓越しのこの演出は、ここの台詞は嘘か、少なくとも裏の含みがある暗示なのです。
「(まーねー。何かアニメの仕事って不思議だよね。離れてる時間が長くなるほど)戻りたくなっちゃう」
「戻ってきた奴はみんな同じこと言うな」
更にこの時も車のドアに書かれたムサニのロゴが映され、二人の実像が映されません。
これらより、矢野は父親の看病のために前の会社を辞職しています。そしてその皺寄せが平岡にいって、平岡はこんな性格になってしまいました。
だから、前の会社を辞めたのは平岡の性格のせいですが、大元の原因は矢野にあるのです。そのため矢野は黒ガラス越しにしか平岡の問題を指摘できませんでした。そして平岡も黒ガラス越しに敢えてその含みに触れなかったのです。
よって、そんな負い目が、かつて平岡を見捨てたとの自責の念があるので、矢野は「戻りたくなっちゃう」とドア越しにしか言えませんでした。
そして平岡もそんな話を聞いたこともないのに、もしくはそんな言い訳では全然納得してないのに、上っ面だけ矢野に合わせたのです。
そう思って観ると、この前後の矢野(の中の人)の演技にも凄い含みがあるように聞こえてきます。
「みゃーもり、どう思う?」
「ド新人、要領悪い、クソ真面目」
「ふふふふ。ま、入って一年半だしね」
特に矢野がこう笑いながら言う時の自虐感が凄いです。かつて平岡を見捨てることになった自分の不甲斐なさへの自虐なのか、かつてあおいと同じような新人だった平岡をこうしてしまった自責なのかはわかりませんが・・・・。
このエリカの台詞を聞いて、僕の脳内法廷では1000:0で矢野の無罪が確定しました!w
「あいつ、まだこの仕事に夢見てんだよ。(中略)ああ〜いるな〜性懲りもなく」
更に二人がこう話す間、後部座席から前を見る視点になり、座席に隠れて二人がほとんど映されません。
よって、ここは矢野の、仕事に夢を見ていた平岡に戻って欲しいという含みと、それをわかっていながらとぼけている平岡の演出・・・・って気がします。
「私、そういう人が好き」
「俺は嫌いだな」
そして互いにそっぽを向きながらこう言い合う二人の横顔が映された後、
「だろうね」
と車の後ろから車を見る視点で、こんな矢野の台詞が流れるのでした。言葉とは裏腹に平岡に元に戻って欲しいと思っている、期待している矢野の想いが・・・・。
そんな訳で、この二人のシーンで、矢野はチラチラ平岡を見ますが、平岡は一切矢野を見ません。赤信号で止まってる間もずっと・・・・。
●矢野の思い
「平岡君・・・・みゃーもりのこと、宜しく」
だから、矢野はタイタニックから即退散しようとした平岡を正面から見ることができず、その想いを搾り出すように告げることしかできませんでした・・・・。
矢野が完全な被害者で、平岡が開き直ってるだけって線もあったのですが、この演出が決め手となって、上のような解釈になりました。不信感を持ってる相手なら、わざわざあおいのことを頼んだりしないでしょうし。
とりあえず、情状酌量込みで平岡は執行猶予ですが、矢野の無罪が確定してるので、とっととスネるのをやめて素直になって下さいw
・・・・と言う訳で、矢野と平岡の恋愛方面じゃなくて仕事での関係に関する考察でしたw
●釣り人のイメージ
あと、今回はサブタイトルも秀逸でした。
"一般的イメージ"として、釣りは十分に余暇のある人が、近くの川や海岸、釣り堀でのんびりと興じる趣味だと思います。
(船で荒々しい沖に出るのも釣りですが、そんなところで「釣れますか?」なんて声はかけないでしょう)
よってサブタイの釣り人は『第一線を退き余暇のある先達』なのです。
でも、先達は一見くたびれた風体ですが、その奥には人間力のようなものが秘められています。だから(悩みを抱え途方に暮れていた)若者は、気づかないうちにそれに惹かれ「釣れますか?」と声をかけてしまったのです。
もしくはそんな先達が『貧乏ゆすりをしながら浮かない顔で釣り糸を垂れる若者』を見かけて「釣れますか?」と声をかけているのです。
悩みを抱え自分探しをするとか特別な事情でもない限り、第一線で働く若者に釣り人を気にする余裕なんてありませんから・・・・。
●話しかける口実
因みに、釣り人同士の挨拶だとすると、その関係に物語性がありません。その場合は、同じ趣味であれば何でも良く、釣りである必要がなくなってしまうのです。
むしろ、釣り人同士だと少なからず本当に相手の釣果が気になっています。これは更にマイナスです。
何故なら上に挙げた若者と先達の会話は、どちらも釣果なんてどうでも良いからです。単に話しかける口実として釣りの話をしているだけです。
「月が綺麗ですね」=「I love you」ってやつですw
そしてそこから若者の悩みを解決するために、先達の体験談とかに移っていくので、より物語性が増すのです。
●良い釣り人
だから「釣り人」に「声をかける」「物語」ってだけで、一話分の骨格ができ上がってしまいますw
そんな訳で、後半は「悩める若者=あおい」に「先達=丸川社長」がアドバイスをする話でした。
「ちょっと一緒にいって欲しいところがあるんだけど」≒「釣れますか?」
と、本当はどうでも良い話を口実にして。
また「悩める若者=あおい」と「先達=大倉」も大体同じ感じです。
●悪い釣り人?
ただ、サブタイの表の意味である、演出・池谷ひろしと矢野の場合は全然違うんですよね。
"一般的イメージ"として、釣りって思いつきでできる自給自足なんです。勿論釣りのプロ・漁師さんがいらっしゃいますが、農耕とか畜産と違って、ド素人でも川にいけば真似事はできるし、釣れる可能性も高いってイメージがあります。
だから、生活から逃げてる世捨て人が、釣りの真似だけしてるところに、知り合いがやってきて「釣れますか?」なんて皮肉を言ってくる訳です。
「全然。ここ、本当は魚なんていないんじゃないかな?」
そこで池谷は矢野にこんな返事を返します。でも、このシーンの最後でちゃんと魚が引っかかりかけて、エサだけ取られてしまいます。釣れないのは場所じゃなくて、池谷に問題があったから・・・・。
そんな池谷を見て、ああサブタイにはそんな見方もあったのかと、目から鱗な気分ですw
僕は『根がポジティブ』なので、そんなパターン思いもしなかったですと、何故か大々的にアピールしてみたくなったり・・・・ま、大々的に綺麗事を言う連中の大半は真逆の存在ですよね、変な話w
「こちら、五話の演出のヘルプを『快諾して下さった』池谷ひろしさんです」
あと、矢野が木下監督達に池谷を紹介した時のこの言い回しが素敵すぎますw
更に後のシーンでは、演出チェックを矢野に見張られてるし・・・・むしろ池谷が羨ましいみたいなw
ただ、仕事から逃げるのは責任感の大きさ、完璧主義の裏返しの可能性がなくはありません。監督が「そりゃやってくれれば文句ないけど」と言ってるので逃げなければ有能なんでしょうし。
だから、どっちもアレなんですが、タイタニックと池谷どっちがマシかって言われたら、池谷って気がしなくもなかったり・・・・?
●監督は良いキャラ
あと、矢野と監督が廊下で話すシーンで、監督は大量のから揚げを持っています。
17話レビューで、「本田の差し入れたケーキ=アニメに対する夢・情熱」と書いて以来、監督+食べ物の組み合わせが全部そう見えてしまいますw
だから、後に矢野が車内で平岡に「たまにいるよね、何十年もずーっと夢が醒めてない人」と言った時も、から揚げを持って幸せそうに踊る監督が浮かんできました。良いキャラだな〜と思いましたが・・・・矢野と平岡のシリアスを返して下さいw
といったところで、
SHIROBAKO 20話「がんばりマスタング!」
に続きますw
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エリカさん大好きっ子としては、タイタニックへ向かう車中のシーンは心穏やかじゃありませんでしたw
二人のかつての関係についてあれこれ勘繰らざるを得ない意味深な会話でしたが、恋愛方面でなければ仕事関係。ですよねー(^^;)
言われてみれば成程なのに、そこに思い至らないくらい平常心を失ってましたw
特に「私、そういう人が好き」のセリフは平岡氏に向けられてる気がしてなりませんでしたが、これも飽くまで仕事上の評価であるということであれば納得ですしスッキリです(^^)
サブタイトルの考察にも成程です。
確かに今回の社長のお誘いはまさしく「釣れますか?」のノリでしたね。ちゃんと今回の一番重要なシーンを切り取ったサブタイトルになっているというのは感動です(^^)
うーーーーーーん・・・・矢野と平岡の恋愛感情はどうなんでしょうね・・・・。
改めて見返してみましたが、やっぱり『矢野には』恋愛感情はない気がします・・・・。
ただ、平岡は微妙に怪しいっていえば怪しい気がしなくもない、みたいな?w
まず今回、平岡が朝礼に出ています。前回、総務の興津 由佳に注意されてはいましたが、素直にそれを聞くような平岡でしょうか?
更に、矢野がタイタニックへの案内を頼む時、平岡は雑誌を読んで仕事をしていませんでした。今まで会社にほとんどいなかったのに、仕事があった訳でもないのに、平岡は『何故か』会社にいたんです。
じゃあその理由は?・・・・矢野だったとしか考えられません。
そしてその後、絵麻が梅干を食べてるところに、後輩の久乃木 愛が相談にやってくるシーンが入る訳です。
でも、このシーンをわざわざここに入れた意味って何でしょうか?
絵麻達のシーンは、矢野が平岡を誘うシーンの前に入れて、矢野が平岡を誘いタイタニックに向かう、その二つのシーンを繋げた方がすっきりしないでしょうか?
だから、この構成は怪しいです、何か裏の意味があるのです。なら、その意味は・・・・
絵麻=矢野、久乃木=平岡、で矢野に話をしたがっている平岡を見て、酸っぱい、苦渋の表情を浮かべながら矢野は話を聞いている(聞くために平岡をタイタニックに誘った)、その暗示です。
どうしても前後のシーンは互いに影響を与え合うものなので、それを利用した演出です。
なのに、いざ矢野が話しかけてくれたら平岡は頑なになってましいました。でも、本当に話をしたかったのは平岡の方だったのです・・・・そんな気がします。
まあ、今回は全体的に推測が多いので、更に曖昧な話を続けてもと、レビューでは書きませんでしたが、もっと掘り下げるならもう書くしかないかなと・・・・w
そんな訳で、少なくとも矢野の方には恋愛感情はないんじゃないかな〜みたいな?・・・・希望的観測が入ってるだけかもしれないですけどw
こんな感じですが、宜しければまたお越し下さい。
二人の交際の有無については水島監督がツイートで否定して下さったので、恋愛感情についても「無い」ということで良さそうですよねv
平岡氏の方がどう考えていようと、エリカさんにその気さえ無ければ何の問題もありませんw(平岡サイドも「頭が上がらない」くらいにしか思ってなさそうですが^^;)
監督のお墨付きがあるならもう安心ですね!w
・・・・ただ、その、この話を振って頂いてから、11話を本気で観返してみたら・・・・何と言うか・・・・。
【SHIROBAKO】嘘?矢野の父親は病気じゃない!?【11話〜19話 感想】
http://kaityou-osusume.seesaa.net/article/414650134.html
やっぱりこんな感じになっちゃったというか・・・・。
まあ、丸川社長とタローは確定で有罪だし、本田デスク、ナベP辺りの関与も疑わしいし、ここら辺の野郎連中がみんな悪いってことで解決ですね!w
こんな感じですが、宜しければまたお越し下さい。