なので、今回はそう言える理由を挙げていきたいと思います。
●11話の矢野(理由その1〜3)
まず11話では、湯沸かし器がひっくり返った音でムサニの社員達が給湯室に集まり、青白い顔でへたり込む矢野を見つけます。でも、
『側にスマホが落ちてません』
叔母から父親の容態が悪化したと電話があってへたり込んだにしては不自然です。
では、矢野とあおいが給湯室で話すシーンで、叔母から矢野のスマホに電話がありました。そこで容態悪化を聞いてずっと我慢してたというのはどうでしょう?
でも、数時間後に心配を抑えきれずへたり込むような知らせだったにしては、
「えっ?・・・・うん、そう・・・・」
矢野がスマホに出た時の、この『リアクションが薄すぎます』。
よって、そこから矢野がへたり込むまでの、空白の時間に連絡が入っていたと考えるしかありません。でも、
『何でそんな超重要シーンをカットしてるのでしょう?』
あと、細かいことを言えば・・・・
社長があおいに面接に出て欲しいと言うシーンでは、矢野はずっとスマホを弄って、あおいに何も言わないどころか目も合わせません。『これって矢野に後ろ暗いところがある演出にしか見えません』。
また、矢野とあおいが給湯室で話すシーンで
「そんなにプレッシャー?」
「なんかもう・・・・」
「ん?」
と矢野が言う時、上目遣いであおいを見る矢野の顔のアップが映されます。口から下が見切れている演出つきで。
(このあと叔母から電話がかかり、スマホを見る矢野にも、同様の演出がされています)
「へ?何で?」
一方そのすぐあとに、矢野がこう言う時は、矢野の顔が顎まで全部映ってます。
見切れている、いない、二つの画を比べて貰えれば、見切れてる方に『裏、隠し事、後ろめたさ』と言ったものを感じると思います。
『なんで、こんな演出が入っているのでしょう?』
更に矢野は、
「なんてね、流石の『アイアン矢野』もお疲れ中」
こんなことを言いますが・・・・
『わざわざ自分を持ち上げるのって、コンプレックスの裏返しですよね・・・・』
●13話の矢野(理由その4)
次に13話の冒頭で、多分病院で看病してるであろう矢野の上半身アップが映されますが『父親が全く映ってません』。
ちょっと苦しそうな顔をして眠っている父を心配そうに見守る矢野、『そっちの方が絶対に深刻さが伝わる』のにです。
こんな画にした理由を敢えて挙げるなら、これは実像ではなくあおいのイメージだという演出です。あおいは矢野の父親を知りません、だから想像しようがないのです。
『でも、こんなこだわり要るでしょうか?』
っていうか、そんな基準で作ってたら、あおいがいない全てのシーンが、あおいの想像ってことになっちゃいます・・・・。
●15話の矢野(理由その5)
次に、15話レビューでも書いた、矢野がコインランドリーでスマホからあおいに電話するシーンです。まず・・・・
『ここ何処でしょうか?w』
実家の近くの店ですか?病院内の施設ですか?全くわからないです。示されている情報だけだと、どっかの隔離施設になりかねません。
『窓からの風景を商店街の一角するか、一人看護婦のモブを入れるだけで遥かに自然なシーンになります』
なのに、何故それらの情報を悉くカットしてこんな演出にしているのでしょう?
また、15話レビューでは、
"この日はきっと晴れで、矢野が見上げた太陽は明るく輝いていたでしょう=エリカにとって仕事は光り輝く素敵なもの、であることが演出されています。"
なんて書いてました。どうして『きっと晴れ』なのか?太陽=輝くほど素敵だと思っている仕事の暗示、が直接映されないからです。
まあ、これは強調したいものを敢えて隠すことで、逆にその存在を強調する演出です。
ただ、境界の彼方12話レビューとかでも、この演出について書いてますが、これ大体『悪い展開になる時に使われる演出』ですw
だって良い暗示なら、ここだと『煌く太陽』をバーンと大写しにすれば良いのです。やっぱり王道、正道は強いです。
隠す演出は確かに、逆説的に隠したものを強調しますが、同時に『そこに何か裏、問題、後ろめたさみたいなものがあることも強調します』からw
15話の時は敢えて触れませんでしたけど・・・・w
「こっち(=私の病状)はおかげさまで小康状態ってやつかな。時々熱出したりするんで気抜けないんだけどね」
そう考えると、このシーンのこの矢野の台詞はどう考えてもこうです・・・・うん、確かに嘘はついてないですね・・・・。
と言う訳で、もう十分なんじゃないでしょうか・・・・これら不自然な演出は全て、
『意図的に矢野父の病状を隠しつつ、でも裏があるとの伏線も臭わせる演出』
なんです・・・・多分w
●エリカは悪くない!
だとすると・・・・最初に言っておきます、
『それでも矢野は悪くない!』とw
無責任に仕事を受けるよりは、仮病を使ってでも仕事を断った方があとあとのためです。デスクに耐えられない豆腐メンタルなら、それも已む無しです!w
・・・・だが、丸川社長、本田デスク、タロー、平岡、テメーらは駄目だ!w
まあ、気が向けばそこら辺は別のレビューにまとめますけど、この四人は矢野の仮病(うつ病?)のことを知っててあおいに隠してます(本田は微妙だけど)。
●どうしてうつ病になったのか?
話を戻して、だとすると11話、えくそだすっ!の終わりも見えたあのタイミングで、どうしてエリカは仮病を使ったのでしょう?もしくはうつ病を発症したのでしょう?
そんなの、答えは一つです。
『本田が辞めたら、次のデスクは矢野以外に有り得ないからです』
(最近大分株が上がりましたが)論外のタローに、新人二年目のあおい、そして矢野・・・・誰が考えたって次のデスクは矢野以外に有り得ません。
『だから、矢野はデスクをあおいに押しつけました』
・・・・そして次のデスクはあおいだとわかっていたから、矢野は新人の面接にあおいを推薦したのです。
大事な時期に不運にも父親の病気が重なったのではありません。大事な時期だから『必然的に父親の病気が発症した』のです・・・・。
●特大ブーメラン
「私、この業界入るまで、大人の人ってちゃんと仕事するのが当たり前だと思ってました」
だから19話で、矢野が池谷に言ったこの台詞とか、
「まさかウチにきてるとはね。どう居心地良い?」
「別に」
「良い訳ないよねー。(後略)」
平岡に言ったこの台詞とか、特大ブーメランなんです・・・・だから、あんなに自虐感に溢れてたんです・・・・。
そして、だからこそ、矢野はタイタニックのヘルプを名乗り出ました。デスクを押しつけてしまったあおいがいるムサニは、どうしても居心地が悪かったから・・・・。
●切っ掛け
あと、今回の解釈を見つける切っ掛けになった、19話で最も気になった箇所が、矢野と平岡が車内で話すシーンの
「(前略)前の会社もそれで辞めたんでしょ」
「俺のことはいいだろ。たく、『思ったより早く帰ってきたな』」
ここです。だって『もし本当に父親が原因なら』、
「・・・・今回も、帰ってこない方が・・・・良かった・・・・?」
こんな超カウンターが返ってくる可能性だってあるんです。いくら平岡がアレな男でも、おいそれと触れられる話題ではありません。
また矢野にとっても、『もし本当に父親が原因なら』これは色々な意味で心に突き刺さる、致命の一撃のはずです。
なのに、矢野はたった一言「まーねー」で受け流しました。ムサニのエース、アイアン矢野だとしても、いくらなんでも軽く流せすぎではないでしょうか?
もし本当に、これがそんな軽い話題だとしたら、どう解釈すればそうなるのか・・・・。
・・・・嘘、なの・・・・?
そしてこのシーン全体に溢れる矢野の自虐感と、それを補強するような13話、15話の気になる演出の数々・・・・。
まさかとは思うけど、もしかして、矢野さん嘘、吐いてるの・・・・?と、ここが引っかかって仕方なかったんです。
●グダグダな言い訳
じゃあ、何で今まで書かなかったのかと言うと、僕がレビューする気で観だしたのは13話以降だったからです(言い訳)w
11話の内容も一応覚えてましたけど、あの頃は腑抜けて観てたので・・・・(言い訳)。
だから、僕の中では13話、15話、19話の解釈しかありませんでした。まあ、それでも限りなく黒いグレーだったんですが・・・・。
何より!せっかく頼れる大先輩、ムサニの真のエース、ベテラン制作進行・矢野エリカが帰ってきたのです!
こんな『ポジティブなキャラを実はネガティブかもしれない』なんて、絶対に書きたくないんです・・・・僕の豆腐メンタル的にw
せっかく15話からこっち、胃薬飲みながら書いたあおいの不穏な解釈が当たってたのです。あとはもう静かに余生をすごすだけだと思ってたのに(笑)、今度はよりによって希望の星・矢野が嘘吐いてるかも?って解釈が出てきたんです(吐血)。
まあ、それでも何とかポジティブに解釈して19話レビューみたいな感じにしてました・・・・。
でも、19話レビューのコメントで、矢野と平岡について質問を頂いたので、せっかくだから11話を真面目に解釈しようかと観てみたら・・・・上に書いたような凄いことになってたんです^^;
流石にもうスルーできないと言うか、これが当たってた時に書いてなかったらド凹みしそうと言うか・・・・w
そんなこんなで、結局またこんな恐いレビューを書いてしまいました・・・・。
まあ、今期だとSHIROBAKOのあおいの解釈と、幸腹グラフィティのリョウの解釈が当たってたので、これが外れても二勝一敗、的中率67%です!
・・・・なので、もし外れててもこれを言い訳に開き直るので、それ以上は追及しないであげて下さいw
といったところで、
SHIROBAKO 20話「がんばりマスタング!」
に続きますw
スポンサード リンク
スポンサード リンク
心情的には否定したいのですが、論拠の一つ一つにどれも反論が浮かびません(^^;)
11話の給湯室のシーンの“断絶”には確かにちょっと違和感を覚えていました。あのシーンに限らずどうも描写が間接的というか、エリカさん側の状況を明確に伝える描写が無いんですよね…
元会長さんの指摘で、据わりの悪さの原因が解った気がします。
最新話のエリカさんのお土産さえも“危惧”の傍証になってしまいそうですね(^^;)
何だか自分のコメントがとんでもない爆弾を掘り起こしてしまったみたいで…あわわ;
爆弾というか・・・・作品によっては絶対答えに辿り着かせる気ないよねwみたいなのもありますが、SHIROBAKOは制作様が色々ヒントを入れて下さってるので・・・・僕は素直にそれを解釈してるだけで、その切っ掛けを頂けて勉強になりました、みたいなw
・・・・と、ハードル下げと退路確保に勤しんでみたりw
こんな感じですが、宜しければまたお越し下さい。