●エリカに叱られたい!w
OP明けて、池谷が暗く狭い排気口の中をもがくように這い進み、屋外に抜け出します。そして薄白い朝の中、息を荒らげ休む池谷。その周りでは、スズメ達が脱走を告げ口するかのように、ひんやりとした空気を明るく震わせていました。
更に、透明に白む朝日のような笑顔で矢野エリカが池谷を待ち構えていて、
「おはようございます。五話の上がり、如何でしょうか?」
こんな挨拶で一日のはじまり(二十話の開始)を告げるのでしたw
また、サブタイキャッチが明けて、あおい達が三女の最終話をどうするか話し合います。そこで「何でアニメを作ってるのか?」って話になった時、まるで逮捕され護送されてるような池谷の画が映されますw
ここはギャグシーンでもあるんですが、この姿が池谷が望んだ姿、こうなりたくてアニメを作ってるって演出でもあります。
つまり、池谷は『誰かに必要とされてるのを実感したい』からアニメを作っているんです。
だから、十九話で池谷が釣り堀にいたのは、あんな池谷でも必要だと言ってくれる誰かがくるのを待っていた、そんな構ってちゃんに矢野が食いついた演出だったのです。
更に池谷は「旅に出たい」と言ってました。『旅』は確かに逃げ出す暗示もありますが、『また一歩踏み出したい』という暗示でもあるんです。だから、
「変な人間ばっかりですよね、この業界。だらしない、大人気ない、どうしようもないカスゴミ、クズ・・・・だけど基本的にみんな善人だから良いかって」
こう言われて木下監督と一緒にドキっとしたりしてますけど、池谷は矢野に罵ってもらえて、構ってもらえて嬉しいんです。
・・・・なので、矢野さんは池谷をもっと厳しくシメて良いですよ、どうせご褒美だし・・・・って言うか、マジでかなり羨ましいしw
まあ、助かってるのは矢野の方も一緒な訳ですが・・・・。
●平岡にもまだ望みがある
「(前略)ちゃんと仕事してんのにチャンス貰えない人間がどれだけいると思ってんだ?素人がこの仕事舐めてんじゃねーぞ」
その後、平岡がりーちゃん(今井みどり)にこんな八つ当たりをします。
ちゃんとできてないからお前にはチャンスがこないんだよ、って話で、りーちゃんにこんな暴言吐くとか許しがたい狼藉な訳ですが・・・・十九話の矢野に免じて今回は見逃しましょう・・・・。
何より、これって『チャンスが欲しい=大きな仕事がしたい』裏返しなんですよね。だから、十九話では矢野と平岡が同じ車に乗っていた=同じところを目指し同じ道を歩く演出がされていたんです。二人ともちょっと問題を抱えながら・・・・。
そんな訳で、平岡にも更生するチャンスが出てきました。本心から仕事なんて辻褄さえ合えばどうでも良いと思っていたら、このあと円と喧嘩にすらならなかったでしょうし。
●あおいの欠点
シーンを進めて、あおいが自分の部屋で風呂上りに、平岡と円の喧嘩のことを考えます。
十七話で、あおいは本田からちゃんと平岡を注意した方が良いと言われていました。なのに、デスクとしてそうしなかったあおいにも今回の喧嘩の責任がちょっとだけあります。
「でも、喧嘩しても喧嘩したとお互い認めないようにして、上手〜く関係修復に持っていく感じです」
更に翌日の打ち合わせで、りーちゃんが女子高の喧嘩事情をこう話します。
そして18話レビューでも書きましたが、これがあおいの欠点なのです。
あおいは悪い相手の悪いところを見ても注意しません。更に、悪い相手だとわかっているのに、その関係を絶つどころか繋ごうとしてタイタニックなんかに仕事を任せてしまいました。
平岡やタイタニック以外にも、飲み屋で大倉に嘘を吐かれてもプイっと顔を逸らし何も言いませんでしたし、三女原作者の理不尽なリテイクを腹に据えかねていたのに何も言いませんでした。
だから、そんなあおいが唯一批判したタローは、あおいから批判の言葉を引き出したタローは、ある意味凄いと思いますw
そんな訳で、あおいは良い人と組めばその相手を更に伸ばしますが、悪い人と組むとその問題を放置し逆に傷を広げてしまうのです。
逆に、鋼鉄メンタルのタローは、あんなことがあった翌日なのに平岡にバディだと気軽に声をかけました。仕事が順調な時のタローはお荷物気味ですが、何か問題が起きた逆境ではみんなを繋ぐ優秀な潤滑油になるんです。
そういった意味で真逆のあおいとタローは、結構良いコンビなのかもしれませんw
そして、タローと平岡のコンビはナイス人事だと思いますw
●サブタイトルとあおい
あと、今回のサブタイ「がんばりマスタング!」がこれまた悩ましいです。表の意味のりーちゃんがこんな言い方したのは、舞茸が弟子入りを断ろうと語尾を戦闘機名縛りにしたとかだと思うので問題ないのですが・・・・。
そうでない、普通の状況では「がんばります!」と言い切れない、素直になれない、まだ何かが引っかかっている、そんな思いの表れなんです。
だから、平岡が円にこんな感じで謝ったのを示しているのは良いんです、その通りなので。
問題は、最後のあおいにもこれがかかっているとすると、マスタング→ます!と言い切れるようになるようなイベントがまだ何か残っているのかも・・・・?
●ありあが飛んだ理由
シーンを進めて、りーちゃんが平岡に三女最終話の初稿を見せます。そこから三女の最終回のシーンに入り、
「春になったら一緒に生まれたばかりの子牛を探しにいこうよ。母牛が傍でじっとしてるからすぐにわかるの。生まれたての子牛って、じっとり湿っててグンニャリしてる。最初に鼻や口を拭いて、羊水や羊膜が残ってないか確かめる。大丈夫、すぐに立つから。もし、はぐれた子牛がいたらすぐに毛布でくるんであげる、キツ目にね。ハグされてると落ちつくんだって・・・・大丈夫、私は大丈夫。だから、約束してありあ。一緒に子牛を見つけにいくって」
キャサリンがこう言うのに合わせて、搭乗する戦闘機のコックピットガラスにヒビが入っていきます。透明でも内と外を確かに区切る窓ガラスは、見えない心の壁の暗示です。
だから三女的には、これはキャサリンが心を開いて話している演出です。死を覚悟して、その前にありあに言えずにいた思いを告げている・・・・気がします。三女シーンが少なくて判断が難しいですけど(言い訳)。
子牛=ありあの夢もきっと見つかる、春=戦争が終わったら一緒に探しにいこう。母牛=キャサリンがいればすぐに見つかるよ、ありあの夢がはぐれててもすぐに見つけて抱き締めてあげる、と。
一方、ありあはそんなキャサリン達のいる空を、吸い込まれそうなくらい青く澄んだ空を=夢を持つ人達の世界をどこか非現実的に感じています。更に、ありあのいる真っ暗な管制室はいまだ分厚いガラスで外と区切られていました。でも・・・・ってところで描写が切れるので、その後の三女の演出がどうなってるかは不明ですw
●あの空に・・・・
それに重ねたSHIROBAKO本線の解釈は・・・・
空想世界の空は、りーちゃんや平岡の目指してる、まだ実現には遠い理想の暗示です。でも、りーちゃんのそれに触れることで平岡の心の壁も少し崩れかけます。
そして、空想のシーンから、現実の屋上に移って、
「(私には)やりたいことなんてない。これから見つけられるかどうかもわからない。でも、みんながやりたいことがあるなら・・・・それを、援護することはできる」
あおいがこの台詞に声を重ねます。
まだ、飛ぶことはできなくても、あおいはここまで空に近づけていたから。木下監督達が飛んだ証が残るこの空に。風に揺れる髪のように、心を揺れ動かしながら・・・・。
といったところで、
SHIROBAKO 21話「クオリティを人質にすんな」
に続きますw
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最新話を観る限りエリカさんの表情も明るくてホッとさせられます(^^)
とんがってる平岡氏の押さえ込みの方も前回に引き続き期待していたんですが、そちらまでは手が回らなかったのか今回あんなコトに…(^^;)
おっしゃる通りおいちゃんでは注意できないでしょうし、ここは“バディ”に期待ですねw
あおいの展開を見る限り、本当になりたいものは何か?ずっと悩んでいたことは明かされましたが、その詳細は明かさないっぽい雰囲気です。
なので矢野の方も特に答え合わせ的な解答は出ないという、いけずな展開になる感じが漂ってたり?
まあ、今後真逆のポジティブな暗示が同等以上重ねられて、ミスリードと判断できるような状況にならない限り、答えが明示されないだけで解釈はあってたもんね!と言い張るつもりですがw
・・・・それ以前に、答え合わせがなくて追及コメントもないようなら、僕もしれっとスルーするでしょうけどw
こんな感じですが、宜しければまたお越し下さい。