【幸腹グラフィティ10話】友達を作りたい!リョウとユキが踏み出した一歩【感想・考察】


幸腹グラフィティ じゅっしなめ 「はもはも、みちち。」

いよいよ本編に絡んできた内木ユキですが、その心の動きが冒頭の描写に集約されていました。

ユキは大学卒業まではなんとか"外の世界=宇宙空間"に出て社会生活をしていました。

でも、ユキは人と上手く接することができず人間関係に悩んでいました。更に大学卒業で数少ない友達と離れ離れになり、しかもその別れも変なことになってしまいます。

だからユキは自分の世界に閉じ篭ってしまいます=転んでピザのチーズに絡め取られてしまいます。
(後の卒業の時のシーンでユキが転んだのと連動しています)

よって、ピザは「母なる大地・地球=安心していられる場所=自分の殻の中」となります。

厚い生地の上にチーズの層があり、その上に様々なトッピングがあるピザは、厚い地層の重なる島や大陸、沈むことのない安心できる場所なのです。

大航海時代、陸地を恋い焦がれていた船乗り達をイメージすればその気持ちがわかると思います。ただ、今は技術の発展で一般的にはそのイメージがなくなっているので、"外=宇宙"になっているのだと思います。

そしてユキは、外への恐れから身動きできなくなっていた=陸地のチーズに絡め取られていました。

でも、リョウやきりんがそのピザを食べてくれて、底が抜けたピザから外=宇宙に戻ることができました。

だからピザの底が抜け、落下するユキの顔が、恐怖(><)ではなく『何か新しいものを見つけた驚き』のような表情になっていたのです。

●折れる心

OP明けて、低い雲と寒々しく枯れた木々の枝が太陽を遮る公園の林道。ユキは友達二人の後ろを俯きながら歩いていました。

数少ない友達であるその二人とも良好な友達関係を築けてない上に、大学卒業で離れ離れになり、ユキはこれからの生活に不安しかありません。

だから背景はそんなユキの心を演出していました。

「そうだ、お茶していこうか?・・・・内木さんもいく?」
「わ、私はその・・・・み、耳が痒いので大丈夫です!」

しかも、その別れもこんな感じで変なことになってしまい、そこから走り去ったユキの心は完全に折れてしまいます。

そして転んで左靴が脱げ、へたり込むユキ=(精神的に)もう自分の力では立つこともできず、靴が脱げて外も歩けないことが演出されていました。

「永遠に春なんてやってこない気がする・・・・こんな日はいつもの美味しいあれを食べて・・・・」

そしてユキは、脱げた靴を膝に抱きながら、曇り空にこう言い訳をするのでした・・・・。

大学の卒業式って三月に入ってからだった気がするから、これって多分一年前のできごとなはず?

よって、ユキはその後ずっと引き篭もってるんですよね、少なくとも精神的には。

だから、今までのユキの登場シーンが全て「ベランダ=部屋(自分の心の中)と外との中間地点」だったのです。あれらは全て(精神的に)半引き篭もりになっているユキの心を演出していました。
(表の意味では、その前後のリョウ達の本編の展開の暗示でしたが)

●モブの重要性

シーンが変わると、美術実習をしているリョウのクラスが映されますが、(受験を控えた中3なのでクラスに)モブがほとんどいません。

また、その後リョウときりんと椎名が予備校の玄関で話す時も、モブがほとんどいません。

「何か私色々不安になってきた・・・・高校ちゃんと受かるかなとか、受かったとしてもちゃんと友達できるかな〜とか・・・・」

そこできりんはこんな不安を口にしますが、リョウや椎名も同様に(入試当日は自分一人で戦うしかないので)孤独≒入試への不安、高校生活への不安を抱いていることが演出されています。

でも何より、これはリョウの、寂しいのはもう嫌だ、閉じ篭っている自分を変えたい、自分から友達を作りたい、という気持ちの演出なのです。どうしてそう言えるかは後々説明します。

あと、椎名に関しても、勉強はできそうだし、受験でリョウ達とすごす時間が減っていて寂しいと思っている心の演出、が何割か入っている気がします。

●椎名の家は遠い

その後、リョウときりんは駅で椎名と別れます=やっぱり椎名の家は電車で移動しないといけないくらい遠くでした。

よって、9話レビューで書いたように、前回椎名がスーパー(商店街)にいたのは偶然じゃありません。リョウの方から椎名の家にいきたいと言って欲しくて、わざわざ会いにきていたのです。

●ホラー映画=ユキ

「きりん、明日までいられるんですよね・・・・じゃあ、映画でも借りていきましょう。楽しい映画を観てパーっと・・・・」

その帰り道、リョウはこんなことを言いながらホラー映画を借りてきます。

「こ、これが楽しい映画?」
「は、はい。こういう時は思いっきり叫んで、ストレス発散です!」

でもきりんは疑問の声を上げ、リョウはこう答えます。

これらより「ホラー映画=無理矢理叫び声を引き出すもの=無理矢理本心を引き出すもの=ユキ」の暗示です。

今まではリョウが作中で一番メンタルに問題を抱えていました。でも、今回それを超える問題を抱えるユキが登場し、リョウはユキにかつての自分を重ね、その背中を押さずにはいられませんでした。

だからリョウは友達を作るつもりでユキを応援した訳ではありません。でも、結果的にリョウのその言葉でユキと友達になることができたのです。

ホラー映画のようにユキが無理矢理リョウの言葉を引き出してくれたから、リョウはユキを応援することができました。

そしてホラー映画の叫びが意図せずストレス発散になるように、ユキを応援する言葉が意図せず「リョウがずっと抱えていたストレス=自分から友達を作りたいという満たされない思い」を発散させてくれたのです。

●ベランダと布団の意味

話を戻して、ホラー映画を見終わり、リョウは自分ときりんの布団をベランダに干しっぱなしだったのを思い出します。

"ベランダ=部屋(自分の心)と外の中間地点"で、布団は心の中で湿っていた問題=リョウときりんの友達を作りたいという満たされない思いです。

二人はそれを何とか解決したいと思っていました=ベランダにまで持ってきて干して乾かそうとしていました。でも、上手くいかず布団をカラっと乾かすことができなかったのです。

●きりんの布団が落ちた意味

そしてリョウときりんは、布団を取り込もうとベランダに出ます。すると、母親に電話で愚痴っているユキの声が聞こえてきました。

この時点では、きりんはユキを同い年だと思っていて、友達が作れないという同じ悩みを持つユキに強く共感してしまいます。

だから、きりんは同じ悩みを持つユキと友達になりたいと強く思ってしまいました=友達を作りたいという気持ちの暗示である布団がユキの部屋に落ちていったのです。

「きりん、聞き続けるのも悪いから、戻りましょ」

また、リョウも同じように共感していたから、こんなことを言いつつも後ろ髪を引かれ、部屋に戻ることができませんでした。

●靴の暗示

その後、リョウときりんは、ユキのベランダに落ちてしまったことを謝りにユキの部屋を訪れます。

この時、玄関にある三人の靴が映されますが「三人とも靴を履いていない=外に踏み出す勇気が持てていない」ことが暗示されていました。

何故なら、きりんは正規の手続きで、友達になろうと言って玄関から"部屋=ユキの心"に入った訳ではありません。(意図的ではなかったけど結果的に事故を装ったみたいに)"ベランダ=裏口"からユキの心に入ってしまいました。

そしてそれは、リョウも、(結果的に)ベランダからきりんを受け入れることになったユキも同じなのです・・・・。

卒業式の日に脱げたユキの靴など、今回の履かれていない靴には全てそんな意味が篭められています。

●きりんの姿を見て・・・・

そしてリョウときりんはベランダに落ちてしまったことをユキに謝ります。

でも、ユキは頭の中で悪い方にばかり考えてしまい、黙ったまま泣き出しそうになってしまいます。

(ここは内木さんの傷を深くしないうちに帰ったほうが・・・・)

そんなユキを見て、リョウはこう考えて帰ろうとするのですが、

「あ、あの、私も不安なんです。高校入れるか、とか、入れても友達できるかとか、凄く不安で、お気持ち凄くわかります!」

きりんは素直に真っ直ぐ自分の思いをユキに伝え、

(なんだろう、こんなに一生懸命・・・・良い子だな。元気で、瞳がキラキラして、この子なら試験のプレッシャーにも打ち勝って、きっと高校も合格できるはず・・・・)

ユキはそんなきりんの姿に感動し瞳を潤ませるのでした。

そしてこれが、きりんみたいな良い子がいるなら頑張れるはず、とユキが高校(職員)の説明会にいく決心ができた理由・・・・なのだと思います。

●最初の悲鳴

でも、ユキは自分の気持ちを言葉にすることができず、話が停滞してしまいます。

そんな時、ユキが頼んでいたピザが届き、ピザの話で少し空気が緩むのでした。

ただ、ユキは4種類のピザを1/4ずつ頼んでいて、"ピザ=閉じ篭っている陸地"に飽きているのに、こんなことをしてまでそこにしがみついていることが暗示されていました。

ただ、ピザについてあれこれ話すうちに、ユキはお礼だからピザを持って帰って欲しいと言い出して、

「あの、内木さんさえ良ければ、私の部屋で、三人一緒に食べませんか?」

リョウの提案で三人一緒にリョウの部屋にいくことになります。

これが"ホラー映画=ユキ"を見て、リョウがあげさせられた最初の悲鳴、といったところでしょうか。

●開かれていく心

だから、リョウから正式な手順で誘われたユキは、玄関から"リョウの部屋=リョウの心"に入っていけたのです。まだ、外の世界に踏み出す気はないと主張するかのように、玄関で綺麗に靴を脱ぎ揃えてはいましたが・・・・。

(素敵な部屋。私の部屋よりずっと明るい感じ・・・・)

ユキはリョウの部屋を見てこう思いますが、ユキの部屋の方が明るかった気がします。だからこれは、ユキの気持ちがそう見せているだけ=ユキには自分のいる世界が暗く見えている、という演出です。

でも、三人で食卓を囲み、リョウときりんがピザを食べるのを見ると、

(凄い、二人とも食べてる時とても幸せそう。素敵)

と、ユキは感動し二人の食べる姿を見詰めます。

リョウときりんが"ピザ=ユキが閉じ篭っている大地"を食べてくれて、ピザの底が抜けかけていました。

「内木さんは食べないんですか?」
「あっ、良かった全部食べて下さい。私は毎日食べてますし、慣れちゃったというか・・・・それに私、食べると人格変わるらしくて・・・・」

でも、ユキはこう言って自分ではピザを食べようとしません。更に、家族以外の人とご飯を食べたこともほとんどないと続けます・・・・。

リョウはそんなユキに、かつて一人で食事し、その美味しさすらわからなくなっていた自分を重ねます。

でも、きりんや椎名が、そんなリョウに人と食べるご飯の美味しさを教えてくれました。

だから今度は、リョウがユキに人と食べるご飯の美味しさを教えてあげたいと、リョウは強く思いました。そして湧き上がる思いが頑なに閉じていたリョウの心の扉を突き破ります。

「勝手かもしれませんが、内木さんにも知って貰いたいです。とりあえず口に含んでみましょうよ。新しい味に出会えるかもですよ」
「(前略)このピザの味は、もっと、もっと、ずっと・・・・全二十種類よりも、もっとカラフルな味かもなのに!」

そしてリョウの真摯な言葉に、ユキも心を開きます。ユキもピザを食べたことで、停滞の大地の底が抜け、新しい世界に踏み出すことができたのです。

(いつもは食べたあと少し寂しかったけど、今日は笑顔が止まらないなぁ・・・・)

だから、ユキはこんな風にいつまでも笑顔が止まりませんでした。

((前略)でも、沢山勇気づけて貰ったし、色々教えて貰っちゃった・・・・うん、頑張る気力、出てきたかも!)

だから、靴を両足に履き、階段を踏みしめ、自分の気持ちを踏みしめ、満天の星空にこう話しかけることができたのです。

●友達になれた!

翌日、リョウときりんがベランダで洗濯物を干していると、ユキが通りかかります。

そしてユキの方から「お、おはようございます」とリョウ達に声をかけてくれました。

"ユキ=ホラー映画"を見て引き出されたリョウの叫びが、意図せず友達を作りたいという満たされなかった願いを叶えてしまっていたのです。

●きりんは大人が苦手

ただ、リョウは「おはようございます」と挨拶を返しますが、きりんは同い年だと思っていたユキがスーツを着ていて、苦手な大人だとわかり、声を出すことができませんでした。

話し終えたユキが出かけていく時には「いってらっしゃい」とリョウと声を揃えることができましたが、大人が苦手なきりんが演出されていまいた。

●春の予感

(まだ、春は遠い。だけど・・・・春は、必ずやってくる)

そしてユキは、説明会のある高校に着くと、こんな思いを抱きつつ、両足の靴でその道を踏みしめて中に入っていくのでした。

一方、その日の夕方、リョウはきりんを駅まで見送ります。

駅からの帰り、並木の枝に眠る新芽が、眩い夕日に抱かれ茜色の夢にまどろんでいました。

「まだ、こんな寒いのに・・・・」

リョウは愛おしそうに呟くと、新芽を起こさないよう静かに足を踏み出します。遠くに響く小鳥の子守唄を聞きながら・・・・。

といったところで、

幸腹グラフィティ じゅうひとしなめ 「ジャキジャキ、ずるるっ。」

に続きますw


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2015年03月19日 01:34 by 元会長
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幸腹グラフィティ TBS(3/12)#10
Excerpt: じゅっしなめ はもはも、みちちっ。 卒論も終わり来週から就職となる女子大生。お茶に誘われて耳が痒いと走りだす内木ユキ。 今日は予備校生が少ない。 受験が近いので、自宅で実技以外の準備しているのかもね。..
Weblog: ぬる〜くまったりと
Tracked: 2015-03-19 09:31


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