【デス・パレード12話】死と再生=デキムに感情が芽生えた意味。そして…【感想・考察】


デス・パレード #12「スーサイド・ツアー」

冒頭、デキムはクイーンに知幸の記憶を送って欲しいと電話します。

この時デキムのいるバーカウンターは色褪せていて、感情を理解できない、色彩を欠いているデキムの心が演出されていました。

また、デキムが電話で話す時も、相手のクイーンが映されず、話し終わり受話器を置く時もデキムの手元しか映されません。これは本来映るべきものが隠されている≒デキムが知幸に本心を隠して悪巧みしている演出です。

その後デキムに知幸の記憶、生きた証である輝く石板の内容が送られてきます。それを受け取ったデキムは、バーの奥に佇むランプの光が、少しだけ輝きを増したような、そんな錯覚に囚われるのでした。

●ノーナの目指す道の先

その頃ノーナは湖の家からエレベーターに続く坂を登っていました。

7話レビューで書いたように、ノーナの家は停滞の暗示です。ノーナはそんな停滞から抜け出そうと坂を登っています=デキムに人間の感情を持たせようとしています。

でも、やっと坂を登りきったと思ったら、エレベーターからオクルスが現れます。裁定者の印、瞳の十字架がないオクルスが。

よってこのシーンには、ノーナの目指す道の先にあるのは「オクルス=感情を持ちながら裁定しようとしたせいで壊れた人形」だという暗示が込められていました。

そして「人間の感情を持った裁定者を作り出すこと」の是非について二人は口論になりますが、

「(前略)もうわかっているんでしょう?私達が何からできているか。虚無に落とした人間の魂、その上に私達はいるんです。その血が裁定者に流れている以上、こんな無駄なことをしても何も変わらない。(後略)」
「そんなことない!」
「どうぞ・・・・すぐにわかりますよ」

こう言ってオクルスは余裕の顔で、一緒にデキムの裁定を見物しようとノーナを促すのでした。

この会話より10話レビューで書いた予想が大体当たっていたようで良かったですw

●闇に沈む家

一方デキムは、薬で眠らせた知幸をタワーの最下層に連れていきます・・・・。

そして知幸が目覚めると、夕闇に沈む自宅のベットに寝ていました。屋外は白く霞んだ琥珀色に染まっていますが、室内は暗い闇に沈んでいます。

そこにデキムがやってきて、ここは知幸の死後三ヶ月経っている現実だと告げてきます。

それを聞き、知幸は一階に降りていきますが、家の中は何処も闇に沈んでいて、娘を失った両親の心を演出していました。

その後、知幸は居間で戻ってきた母親と鉢合わせしますが、母親は知幸に全く気づきません。

「私達の姿は見えていません。現世で生きる人間には、会話することはおろか、触れることすらできません」

そして、そんな状況をデキムはこう説明するのでした。

●今回の極限状態

それを聞いて、知幸は庭に出て座り込み「なんで連れてきたの?」とデキムに問いかけます。

するとデキムは、知幸に何かのスイッチのようなものを渡し、それを押せば誰か一人の命の替わりに、知幸を生き返らせることができると言ってきます。

その瞳に刻まれた十字架を妖しく光らせながら。

しかし、スイッチを受け取り、窓越しに居間の母親を見る知幸に、

「人と人はわかり合えないの。わかり合いたいって思うのは、間違いなのよ」

こんな回想の台詞が重なります。庭と居間を隔てる"窓=心の壁"の演出で、仮に生き返っても母親とわかり合えないと思っている知幸の心が演出されていました。

でも、知幸の遺影を見ながら娘の自殺を止められなかったことを後悔し知幸に会いたいと泣く母親の姿を見て、

「私、生き返りたい。生き返ってお母さんと話したい!謝りたい・・・・人が、わかり合いたいって思うのは、きっと間違いじゃない。間違いだとしても、わかり合いたいから。だから・・・・」

知幸はこう言って、渡されたスイッチを押そうとします。

●砕け散る嘘の世界

でも、知幸がまさにスイッチを押し切ろうとしたその瞬間、白く霞む夕日が瞼を貫き、その中にデキムの裁定で見てきた人々の姿が浮かんできます。

「私、押せない・・・・みんな誰かのことを思ってる」

知幸はスイッチを押すのを拒絶し、この台詞に合わせて、軒の格子状の骨組みから、格子毎に異なる風景が見える画が映され、知幸の思いを強調していました。

「私とは関係ない人でも、必ず何処かにその人を大切に思っている人がいるの。お母さんみたいな人が・・・・。
でも、お母さんと話したい・・・・お母さん。ごめんなさい。命を粗末にして。(後略)」

そして知幸は、僅かに開いた窓の隙間の桟に手をかけ、泣きながら後悔の言葉を並べます。よって「窓=知幸の倫理」で、その薄壁一枚で、知幸が懸命にデキムの甘言に耐えていた、必死に甘い誘惑と戦っていたことが演出されていました。

そんな知幸を見て、胸を押さえながらよろめくデキムの瞳で十字架が弱々しく明滅を繰り返します。

「ねぇ、押して!ねぇ!お願い!」

更に、胸を引き裂く思いに耐え切れなくなった知幸は、スイッチをデキムに押し付け、こんな悲痛な叫びを投げつけます。

そんな姿を見て、デキムの胸に感情が宿り、瞳の十字架は消え、デキムが作り出した偽りの現世はひび割れ崩壊するのでした。

●夕日の暗示

よって「白く霞む夕日=中身空っぽの空白な裁定システム」の暗示です。

でも、木偶人形達のそんな裁定(の中ではマシな部類のデキムの裁定)を見続けたことで、真智子や舞やみさきや辰巳が抱き締めていた人生の意義と倫理に触れ、

「人と人はわかり合えないの。わかり合いたいって思うのは、間違いなのよ」

こんな思いを抱いて自殺していた知幸の心が強く蘇ったのです。

よってこれは、デキムの裁定でも、11話レビューで書いた本来の裁定の意味、

『心の闇を認識させ、人生の意義を考えさせ、次の人生では良く生きられるよう魂に刻ませる』

の1〜2割くらいは達成できていた、そんな希望の兆しでした・・・・まあ、島田とかは逆に真っ黒にしてしまってる訳ですが・・・・。

そして蘇った知幸の心がデキムの、木偶人形達の偽りの裁定システムを打ち破ったのです。

ただ、洋介は唯一デキムが裁定で過ちに気づかせ更生させられた例だからアリだとしても・・・・

島田や幸子に感化されるのは、自殺するまで弱っていた知幸の心の未熟さ=人を見る目がなかったというか、(裁定の正誤を混乱させる)ミスリードというか・・・・w

なのに、一人だけ良いところが映されずハブられてるたかしがドンマイというか・・・・w

●デキムの右目

そして、デキムの偽りの世界が砕け散ると、廃棄された人形達が山積みされた倉庫で、デキムが泣き崩れていました。

知幸のおかげで知ることのできた感情に胸を締め付けられ、デキムは涙を流しながら懺悔の言葉を吐き出します。

「もう良いよ・・・・謝らなくて良い・・・・もうわかったから」

知幸はそんなデキムの前髪をかき分け、こう言いながら優しくデキムを抱き締めます。

『瞳の十字架が消え、右目を隠す前髪がなくなり、この一瞬だけデキムが人間の視点を得られていたことが演出されていました』

よって、知幸に赦されて右目が見えた=人を赦すことを知った=デキムの右目は人を赦す心(視点)、左目は人を裁く心(視点)の暗示です。

また、「右目=汚い自分と向き合う心」で、せっかく反省しかけていたのに、知幸が甘やかしてしまったという暗示でもありました。

だから、知幸の言葉に感極まったデキムは泣きながら知幸を抱き締め返し、そのせいで前髪が戻り、右目が隠れてしまいます。

・・・・裁定システムの枷は強大で、今は一瞬だけ他人を赦す感情を持つのが精一杯と解釈したいところですが・・・・人を理解したいという独善的な思いがデキムの右目を閉ざしているって解釈が若干リードしている気がしますw

●今までの答え合わせ

そんなデキム達の裁定を覗いていたノーナは目を見開いて「デキム・・・・」と呟き、この結果に驚きと希望を滲ませます。

一方オクルスは、裁定者が感情を持つと裁定で思い悩み、裁定が困難になると主張します。

「困難になるからって人間を適当に裁いて良い理由にはならないでしょ。この世界が、今のままで良いはずがない」

でも、ノーナはこう言って、きっぱりとそれを切り捨てます。

これより、ここや最初の方の二人の会話を総合して、

『本来の裁定システムは、人生を全うできた良い魂を虚無に送り、虚無から生まれた裁定者が、裁定で人々の魂を教え導いていました。心の闇を認識させ、人生の意義を考えさせ、次の人生では良く生きられるように。よって「虚無=天国」、「転生=地獄」となりますが、今はそれが狂ってほぼ真逆のことをしています。だから悪い魂で溢れた地上で人々が死にまくり、ノーナ達はそれを問題視しているのです』

となり、7話レビュー10話レビュー11話レビューのコメントで書いていたことが大体当たってたかな〜みたいなw

そして1〜2話レビューで書いたように、そんな話を通してデス・パレードは『良い人生とは何か?』を考えさせる物語だった、って解釈もだいたい当たってたかな〜と思ってますw

まあ、僕が勝手にそう思ってるだけなので、違うと思われる方はご自分が正しいと思われる解釈を考える上で、叩き台にでもして頂ければ幸いですw

●死と再生

そこからデキム達の方に話が戻ると、

「ここは何処なの?」
「裁定を終え、魂が抜けた人形達を廃棄する場所です」

知幸とデキムはこんな会話を交わします。

よって、デキムが現実だと偽った知幸の実家に溢れていた闇は、既に死んでいる知幸の現状も演出していました。

また、そんな死が捨て置かれたような、死を体現するような場所で、虚無から生まれたデキムが、人間の感情を知りました。

しかも、現状の狂った裁定システムが、多大な無駄を含みながらも知幸の心を導けていたから、そんな奇跡が起きたのです。

だから、今回の一連の流れは『死と再生』の暗示でした。上に書いたような、本来の裁定システムに戻れる兆し、希望といったものが、二人の変化には詰まっていたのです。

●未来を信じて!

「知幸さん、生きてきて良かったですか?」
「・・・・うん」
「素晴らしいです。私は、ここにいらしたお客様にそう言って頂けるような裁定者になりたいです」
「うん!・・・・だったらさ、もっと良い顔しなよ。笑ったりできないの?」
「こ、こうですか?」

そしてデキムは、エレベーターに乗る知幸とこんな会話を交わします。

この時、デキムの瞳には十字架が戻ってしまっていて、笑顔も引きつったものしかできませんでした。

更に上に書いたように、知幸に前髪をかき分けて貰ったのに一瞬で右目が隠れてしまったデキムに不安は残りますが、それでも人間に寄り添おうとしているデキムが、裁定システムを変える未来を信じたいです。

そして、エレベーターが閉まる直前、泣きながら微笑む知幸を見るデキムの瞳の十字架が、瞳の光彩で書き換えられていたと、信じたいです。

更に、本編のラストでは、デキムが新たな客を出迎えます。その時、デキムの瞳の十字架がかなり薄れていました。しかも、知幸との別れでは引きつった笑顔しかできなかったデキムが、ちゃんと微笑みを浮かべることができていました。

なので、これらの希望の兆しの果てに、正しい裁定システムが蘇ると信じて、デス・パレードのレビューを終わりたいと思いますw


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2015年03月30日 01:50 by 元会長
カテゴリに移動する| デス・パレード |
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この記事へのコメント
こんにちは。
いつも考察ありがとうございます。

全話通して観て、やっとこちらの考察を理解しました。
観てるつもりで見逃していた所ばかりで、そりゃ考えてもわからんよなぁと反省です。

オクルスが裁定者の決まりを一つ増やした?(元からあった?)描写があり、続きがありそうな終わり方をしましたが、会長様的にはどう思われますか?

Posted by まる。 at 2015年04月01日 13:55
まる。さんコメントありがとうございます。

一応、裁定システムの全体像を予想してみましたが、その細部は隠されているので、この先にもまだまだ奥深い世界が広がっていると思います。

裁定システムの方に主眼を移せばエンタメ寄りの展開もできますし、このままデキム視点で心の在り方について掘り下げていくこともできると思います。

また、それら以外にも色々な可能性があって、今は二期を楽しみに待っていたい、といった感じですw

こんな感じですが、宜しければまたお越し下さい。
Posted by 元会長 at 2015年04月04日 10:28



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Excerpt: 最終回 第12話 スーサイド・ツアー 公式サイトから死者の裁定のために存在する裁定者は、生も死も経験できない人形であり、人間の感情を知ることはできない。この理にノーナは抗い、裁定者が変化する可能性をデ..
Weblog: ぬる〜くまったりと
Tracked: 2015-03-30 10:53


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