さて、いよいよ物語が動きはじめた訳ですが、今回は各キャラの思惑がバラバラで、先行き不安な状況が色々と演出されていました。
●麗奈のストレス
OP明けて、麗奈が廊下に備えつけられた水道で手を洗っています=心の垢(不満やストレス)を洗い流しています。麗奈は後のシーンでも手を洗っていて、強いストレスを抱いていることがわかります。
●久美子の転げた心
久美子はそんな麗奈に、挙動不審な動きで近づいて、仲直りするために話しかけようとします。でも、何も言葉が出てこなくて、ここ二週間ずっと失敗していたことが明かされます。
そんな久美子に業を煮やした葉月が、久美子の背中を無理矢理押して再び麗奈に話しかけさせようとしますが、勢いがつきすぎた久美子は麗奈の後ろで転んでしまいます。
葉月に背中を押されても、久美子が一人で麗奈の前に立てるほど心の整理ができていないことが演出されていました。
「確かに言わなくて良い一言だったのかもしれないけど、あの時本気で全国にいけるって思ってた子は少なかったと思うんだよね。(中略)でもなぁ〜」
その後、久美子は教室で葉月と緑にこんなことを話し、まだ心が整理できていない理由が明かされます。
だから、1話レビューで書いたように、久美子と葉月や緑が響き合えたことを演出していた桜が、2話では散ってしまっていました・・・・。
●楽器への思い
放課後になって、久美子達は「楽器決めるの今日だっけ」なんて言いつつ音楽室に向かいます。
「そうですね、強いて言うなら・・・・(コンバスに)命賭けてます!」
緑は途中の廊下で、コントラバスへ賭ける思いをこんな風に話します。
一方久美子は、地に足のついてない階段の踊り場で、成り行きでユーフォニアムをしていただけで、今度はトロンボーンをやろうかな、なんてことを話します。
久美子の主体性がなく周囲に流され易い性格が、1話に引き続き演出されていました。
●トランペットは波乱の予感?
部活がはじまると、担当楽器を決めるために各(楽器)パートのリーダーが楽器の説明を行います。
まず、トランペットリーダーの中世古 香織が説明をはじめますが、それを聞きながら頭に黄色いリボンを結んだ吉川 優子が百合発言をし(=優子を慕っている)、久美子がそれに聞き耳を立てる(=周囲が気になる性格である)演出が入ります。
「今このパートは五人いて仲も良いので、是非みなさん希望して下さいね」
そして香織はこんな仲違いフラグで説明を〆るのですが、このフラグが後の選抜テストのシーンで即回収されることになるのでした・・・・。
●久美子は様子を見ている・・・・
その後何人かを挟んで、副部長の田中あすかがユーフォニアムの説明をはじめます。あすかはこのためにペラ数枚分の原稿を用意して延々ユーフォニアムの説明をしようとしますが、部長の小笠原晴香がそれを途中で打ち切ります。
・・・・ユーフォニアムが本当に好きだという演出と受け取りたいところですが・・・・1話の手品と同じく晴香に止められるとわかってコントを演じたのか、その両方か・・・・ちょっと悩ましいところですw
また、それを聞きながら久美子は葉月に
「っていうか、私がユーフォやってたことは秘密ね」
「えっ、何で何で?」
「その方が他の楽器に移り易いでしょ」
こんなことを言って、主体性のなさと周囲に流され易い(他人の言動を非常に気にする)性格なのを更にアピールしていましたw
別にユーフォ経験者でも、本当に移りたければそう言えば良かったのに。そして(おそらく)緑の傍に残ってみんなの動向を窺い、久美子がトロンボーンに移っても誰かが落ちることはないと確認できるまで待つ必要なんてなかったのに・・・・。
●緑はお嬢様?
その次にチューバリーダーの後藤 卓也が説明をするのですが、その時(多分)チューバのモブの女の子が映されて、後にずっと後藤の横に立ってたり、更に後に後藤と一緒にこの子が下校してるっぽいシーンがあったり、リア充疑惑が演出されていました。
一方、後藤の説明を聞いて、葉月が「チューバはなしだな」なんてフラグを立てるのですが・・・・。
その後、晴香がコントラバスの希望者がいないか確認すると、緑が真っ直ぐ手を上げて、お嬢様学校で強豪校の"セイジョ"でやってましたと名乗り出ます。
でも、ならどうして緑は弱小吹奏楽部の北宇治にきたのでしょうか・・・・?
●低音は不人気っぽい
そしていよいよ一年生が希望パートに別れていくのですが、低音パートには緑しかきてなくて、あすかは緑の傍に残っていた久美子を執拗に勧誘します。
・・・・低音楽器は不人気っぽいですね。高音でも目立たないサブパートってありそうな気がしますけど、やっぱり(一人で演奏すると)地味だからなのかな?
某君嘘の1話のかをりや、某ラピュタのパズーが低音楽器で演奏してたら、確かになんかアレな感じがする気がしなくもない、みたいな・・・・?w
●フラグ回収!
そんなあすかの勧誘を振り切って、久美子がトロンボーンの方にいこうとした時、目の覚めるようなトランペットの一喝が音楽室を貫きます。
不意の出来事で我に返ったように、久美子をはじめ多くの部員達が振り向くと、麗奈がトランペットの選抜演奏を終えていました。
「そのリードっていうパーツは消耗品で」
みんなもすぐに気を取り直し、モブの子がこんな説明に戻るのですが、その顔には困惑の表情が浮かんでいました。
それは麗奈の演奏を間近で聞いていた香織や優子や晴香も同じで、おそらく香織より麗奈の方が上手かったから・・・・こうして、早速仲違いフラグが回収されてしまうのでした・・・・。
更に、麗奈は1話からずっと手を洗い続けていて、どんなに演奏が上手くてもそんな麗奈の思いは音楽室を貫き通りすぎるだけで、みんなは困り顔でスルーして・・・・対抗意識を燃やしたり、刺激されたりで、頑張るぞーとはならないんですよね。
「あと部活の他に教室にも通っているので」
また、麗奈は演奏を褒める晴香にこんなことを言いますが、ではどうして麗奈も弱小吹奏楽部の北宇治にきてるのでしょう・・・・?
●葉月が丸め込まれても
話を戻して、麗奈に続き、葉月がトランペットの選抜演奏に挑むのですが、全く音を出すことができません。そこであすかは葉月(や緑)を丸め込んで、葉月をチューバ担当にさせてしまいます。
一方、葉月が丸め込まれているとわかっているのに、久美子は何も言わなくて・・・・。
●葵がもう辞めそうで・・・・
久美子が葉月を見捨ててトロンボーンの方にいくと、そこで秀一と鉢合わせして、二人が話していると、幼馴染の斎藤 葵が話しかけてきます。
そんなところに、更にあすかもやってきて、葵から久美子がずっとユーフォニアムをしていたことがバレ、久美子は結局ユーフォニアムをすることになってしまいます。
その後、久美子は葵と二人で下校しながら、そのことを愚痴りますが、葵は「知らないよ、そんなの」と苦笑して受け流します。
そんな二人は、心の架け橋≒心の交流の暗示である橋を渡っていくのですが、
「葵ちゃん北校だったんだね。全然知らなかった」
久美子がこんなことを言ったり、音楽室で葵に声をかけられた時、葵の顔をおぼろげにしか覚えてなかったり、そんなに親しかった訳でもなさそうで・・・・。
「私、塾あるからここで。じゃあね」
橋を渡ると葵はこう言って足早に横断歩道を渡っていってしまいます。
葵には吹奏楽部より大事な場所があって、葵の台詞が本心ならそれは(高三だから)受験で、単なる口実なら別の何かで、吹奏楽部からその場所に足早に去っていく=葵が吹奏楽部を辞めるフラグがいきなり立ってるんですよね・・・・。
●どうして北宇治に?
翌日、新任の吹奏楽部顧問・滝 昇が部活のはじめに着任の挨拶をします。
そこで滝は黒板に一旦「全国大会出場」と部の目標を書きますが、晴香が「それはスローガンみたいなもので」と言うと、それに大きくバツ印を被せます。
それにより、少しでも「全国大会出場」にポジティブな思いを持っていたら、滝の行いに反発心が芽生え、それが「全国大会出場」を否定する後ろめたさに繋がり、ただでさえ本来は目標にするべき「全国大会出場」の大義名分が補強され、それを否定しにくい空気が作り出されます。
その上で、滝は部員達で部の目標を何にするか決めるように促します。完全に久美子曰くの「ずるい大人」です。明らかに誘導しておいて、自分は当事者でないと言い張る訳です。
1話レビューで書いたように、1話では滝にも「地獄のオルフェ」の演出が強力にかかっていて、
『滝が失敗した何らかの過去を取り戻したくて、そのために北宇治の吹奏楽部で全国を目指しているのは明らかです』
なのですが、滝にしても、麗奈にしても、緑にしても、じゃあなんで北宇治にきたのか?ってのが謎なんですよね・・・・。
●二人の意思は固そうで・・・・
そして部の目標を何にするか多数決になり、「全国大会出場」に大半の部員が顔の横くらいに躊躇いがちに手を上げる中、麗奈が真っ直ぐ真上に手を挙げます。
逆に「全国まで目指さなくても良い」には、葵が真っ直ぐ真上に手を挙げます。葵は後に、これを「アリバイ作りのため」と言っていて、吹奏楽部を辞めるのをほぼ決意していることが演出されていました。
●湖と葉っぱ
その後、久美子と葉月と緑が一緒に下校します。この時、久美子は多数決のどちらにも手を挙げなかったのは、滝の示した選択肢が極端すぎて何か嫌だったからだと話します。
でも、緑に手を挙げなかったのは麗奈にどう思われるかが気になって、どっちにも挙げらなかったのでは?と図星を指されてしまいます。
そして、久美子は二人と別れたあと、湖のほとりのベンチで一人頭を抱えるのでした。
そんなところに葵が現れ、久美子は麗奈に関する悩みを打ち明けます。更に久美子は、それは滝のような「ずるい大人」が干渉して事態をややこしくするからだと、責任転嫁しようとするのですが、
「きっと、そうするしかないんだよ。みんな何となく本音を見せないようにしながら、一番問題のない方向を探ってまとまっていく。学校も吹部も、先生も生徒も」
「どう、して?」
「そうしないとぶつかっちゃうからだよ。ぶつかってみんな傷ついちゃう」
葵はそんな久美子をこう諭します。
「じゃあ、何で葵ちゃんは手を挙げたの?全国いくか聞かれた時に」
「そうね〜。アリバイ作り、かな」
でも、葵は(ぶつかるとわかって)「アリバイ作り」で手を挙げたとも続けます。
そして葵は、手に持っていた葉っぱを湖に投げ捨てると、
「久美子ちゃんも気をつけた方が良いよ。三年なんてあっという間だから」
こんなことを言って立ち去るのでした。
川のように流れていかない湖は、停滞した心、囚われた思いの暗示です。よって、久美子にとっての麗奈のような何かを、葵も引き摺っていて、でもそれは心のゴミだともう見限ろうとしていることが演出されていました。
「一応吹奏楽部なので。って吹奏楽関係ないけどね」
更に葵の捨てたゴミ(葉っぱ)は、久美子のこの台詞のせいで吹奏楽部の暗示が微妙に籠もってしまっていて、いよいよ如何ともし難い感じになっています。
葵はまだ葉っぱを開く前だったので、後に葉っぱを開いてその良さを知る展開とかに希望を繋げたいところですが・・・・。
●みんな地獄に下れば良いんだ!w
でも、葵には1話の「地獄のオルフェ」の演出がかかっておらず、まだ救済フラグが立ってません。
だから、このままだと吹奏楽部を辞めてしまいそうで・・・・ただ、そんなことを言うなら、1話レビューで書いたような葉月に緑、小手先で目先の問題を乗り切ろうとしているあすかや、OPで雨に打たれずぶ濡れになる香織など、どう考えても不穏な暗示が山積みなので、他の部員達も地獄に下りてこれから妻を取り返すオルフェ・・・・だと良いなぁ・・・・w
あと1話の「地獄のオルフェ」のところに葵が本当にいないか確認してて気づいたんですが、あの回想って府大会じゃなく、
『関西吹奏楽コンクール』
なんですよね。でも、制服が違うので多分久美子の中学の回想なのは間違いなくて・・・・ダメ金でも関西大会には進めたりする、のかな?
●吹奏楽が取り持つ仲
(私はその言葉が何を意味しているのか、葵ちゃんがその時、どんな思いでいたのか、全く知らなくて・・・・。
きっと、私の背中を押そうとしてくれているんだと思って・・・・)
話を戻して、翌日、不穏な葵の演出を、久美子がこんな風に補強して、ホントにアレな感じになるのですが・・・・
葵の真意は置いておいて、それでも葵のおかげで久美子は麗奈に話しかけることができて、
「高校もユーフォだね」
「そう、だよ・・・・」
「そっか・・・・」
(交わした言葉はそれだけで、でも何故か、私はホっとした)
吹奏楽がちょっとだけ二人の間を取り持ってくれた、そんな希望が見えたところで、3話レビューに続きますw
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演出面からの分析、すごく丁寧で興味深く読ませていただきました。自分は基本が文字読みなので、台詞から解析していくのは得意なんですが、映像分析は苦手で・・・。深読みするのはすごく好きなんですが。
なので、すごく勉強になりました。次回以降も楽しみにしています。
僕もあまり画力はないのですが、配置やアングルや色などに関する基礎を一応かじっていると言えなくもないので、わかった範囲で色々書いていけたら良いなと思っていますw
こんな感じですが、宜しければまたお越し下さい。