今回、物語的に最も大きな前進は、顧問の滝がやる気になったことです。3話レビューで書いたように、今まで滝は全くやる気がありませんでした。
「『貴方達』は、全国大会を目指すと答えたのです」
それは今回の滝のこんな台詞にも引き続き表れています。でも、今回のラストで滝は、
「『私達』は全国を目指しているのですから」
と、遂に自分も当事者だと覚悟を決め、部員達にそれを明言しました。
だから、滝は最初からやる気だったのではなく3話レビューで書いたように、3話の麗奈のトランペットが切っ掛けで心が傾いていったのです・・・・多分。
更に、3話ラストで部が割れたままでも音楽室で準備をしていた久美子達や、今回の低音パートの感触などが、今回ラストの滝の台詞に繋がっていくのです。
・・・・だとすると、1話レビューで書いた「縛って」とか今回の「私達」とか、脚本にも色々伏線が埋め込まれているようで
●サブタイトル
そんな訳で、早速気になるのが今回のサブタイトルの「うたうよ」が平仮名なところです。つまり、今回のサブタイは
『漢字も書けない子供≒全くの初心者、がソルフェージュ(読譜唱法)する』
という意味になります。では、サブタイは葉月にかかってるのかと言うと、勿論そんなことはありませんw
今回のサブタイは、表の意味では、今まで自分の思いを隠していた久美子がちゃんと麗奈に思いを伝えられたことです。
そして、半ば八つ当たりのように「言いすぎた」ことをちゃんと久美子に謝れた麗奈にもかかっています。
よって、二人の場合『よ』は自分に言い聞かせると言う意味になります。過去の失敗を繰り返してはダメだ、今度こそ「うたうよ」と。
でも、裏の意味では、新任顧問の滝にかかっていて、部員達に『うたうよ』とはじめて呼びかけることができた、という意味が籠もっていました。
あと、あすかも中川夏紀への接し方を見る限り、今まで後輩の指導ができていなかった感じなので、今回はじめて葉月を指導することができた、って意味があるのかもと思ってみたり。
だとすると、1話のサブタイで「ようこそ」と言ってるのはあすかで、手品頼りのあんな勧誘しかできなかったから平仮名表記になっていた訳です。
また、2話のサブタイ「よろしくユーフォニアム」で「よろしく」と言っているのも久美子ではありません。中学では何も言えなかったけど、2話のラストではじめて久美子に声をかけることができた麗奈にかかっていたのだと思われます。
といったところで、以降は本編を追っていきたいと思います。
●部内の力関係
OP明けて、
サックス(部長):小笠原晴香
低音(副部長):田中あすか
トランペット:中世古香織
クラリネット:鳥塚ヒロネ
フルート&ピッコロ:姫神琴子
ホルン:沢田樹里
ファゴット&オーボエ:喜多村来南
パーカッション:田邉名来
トロンボーン:野口ヒデリ
出席者はこの九人で、晴香、あすか、香織が協調できても3:6で過半数を取ることはできないようです。
「今、香織が発言したところ」
また、それを盗み聞きしていた二年生のモブが音楽室に戻りこんなことを言うので、香織は全くトランペットパートをまとめられていません。だから、2話の
「今このパートは五人いて仲も良いので」
という香織の言葉が、仲違いフラグな上に、上辺だけ仲が良さそうにしてるということが明かされました。OPで香織が雨でずぶ濡れにもなっているのも納得な感じです。そして、引っ込み思案の晴香のサックスパートも多分こんな感じでしょう。
よって、晴香と香織が掌握できているのは部の2/9どころか1/9未満といった感じです。
一方、あすかの低音パートには真面目そうなメンバーが集まっていて、あすかが掌握するまでもなく全国を目標にできそうですが、晴香が暗に助けを求めてもあすかはそれをスルーしました。
なので、この時点で部は適当派が大半を占める上にバラバラというかなりの惨状であることがわかります。
あと前から微妙に気になってましたが、(まだEDクレジットでは確認できませんが)姫神琴子と斎藤葵の中の人が一緒なので、葵は本当に辞めてしまうのかな〜と思ってみたり・・・・。
●麗奈の実力
そんな不毛な会議をしていると、麗奈が練習するトランペットの音が聞こえてきて
(そんな下らないことどうでも良い、とでも言うように、高坂さんのトランペットが空に『響いて』いた)
久美子のこんなナレーションが重なります。"空に"なので一人よがりではあるのですが、もうこの時点で麗奈の演奏は
『響く=最終話の〆演奏レベル=全国大会レベル』
なんですよね、この作品のタイトル的にw
3話の演奏で滝にやる気を起こさせ、久美子達を奮起させているので、むしろ当然といえば当然なのですが、
「(麗奈が)トランペットパートの先輩に目つけられてるみたいで」
後の湖畔のシーンで、秀一がこんなことを言っていますし、他の部員達とコンクール会場で響けるかどうかに一番問題を抱えていることも演出されていました。
ただ、麗奈は「渡り廊下=棟と棟を繋ぐもの≒人の架け橋」で練習していて、きっと衝突を引き起こすのでしょうが、それによって部員達(や滝)を繋ぐ暗示も持っています。
●滝の心変わり
だから、その後、部員達が音楽室に集まり、晴香がパーリー会議の結果を説明しているところに、滝がやってきたのです。きっと、麗奈の練習するトランペットが聞こえて、心が逸ってしまったから・・・・。
もし、本当に滝が最初から指導をする気があったのなら、
「では、合奏できるクオリティになったら呼んで下さい」
3話でこう突き放した後、校内で吹部の練習を立ち聞きしていたはずです。そして、何もせず放置していたら、いつまで経っても合奏できるクオリティになんてならないこともわかったはずです。
なのにどうして滝はそのまま放置していたのでしょう?
勿論、麗奈の演奏を聞くまで、吹奏楽部に関わる気なんてなかったからです。だから、3話で晴香が呼びにいくまで、滝はダメだとわかっていながら全く音楽室にきませんでした。
更に、その後音楽室にいき、合奏にダメ出しをした滝に部員達が抗議すると、滝は「メトロノーム=単調な動きを繰り返すもの≒面倒、退屈、イラつきの暗示」を動かしトロンボーンパートに演奏させました。滝が心の中でどう思っていたかは想像に難くないでしょう。
●疲弊しているあすか
また、晴香がパーリー会議の結果を話していた時、あすかはピアノにもたれかかっていました。心が疲弊していて自分だけで立つことができない(=本当は全国を目指して全力で練習するような部になって欲しいと思っている?)ことが演出されていました。
更に、後のシーンでは、低音部の練習教室であすかだけが一人で練習していたり、あすかの「三者面談=進学」に関して何か問題があることが臭わされたりしていて・・・・。
●各パートの練習風景
話を戻して、音楽室に現れた滝は、部員達にグラウンドを一周してから演奏するように言い、3話レビューで書いたように、吹部が実は体育会系だったことが描かれますw
そして滝は、全員に呼気(?)の練習をさせ、ホルンパートにチリ紙を吹き続けて十分間浮かせるように言い、トロンボーンパートに十連続演奏を合わさせ、トランペットパートに音を合わさせます。
その後、葉月達の低音パートの練習シーンを挟んで、フルートパートで説教をする滝が映されます。
ホルンパートで滝が机にもたれかかっていたり、側にメトロノームがあるのは、こんなに低レベルな指導はバカバカしいと思っている滝の心の演出です。
なので、それらが描かれないトロンボーンパートは中々優秀な感じです。
逆に、トランペットパートにメトロノームの演出が強力にかかっているのですが、その理由が悩ましいんですよね・・・・もし麗奈がいなければホルンやフルートと同様にもたれかかるだけで済んだのか、麗奈に関係なく他の部員が下手すぎるのか・・・・。
後述しますが練習内容的に、麗奈がこんな低レベルなところに混じっているのが勿体ないと思っているから一層厳しくしているように思えます。だとすると、贔屓だとか問題が更にこじれるフラグな訳で・・・・トランペットパートが一級フラグ建築士すぎてレビューするのが辛いですw
そして、葉月の練習シーンでは、最初に映るメトロノームや
「でも、ちょっと(練習が)詰まんないです〜!」
葉月のこんな台詞より、「メトロノーム=面倒、退屈、イラつき」の演出だというのが良くわかると思います。
そんな感じで葉月達が練習していると、滝がノートパソコンや色んな機材を持って低音部の練習教室にやってきます。
「遅くなってすみません。他のパートで少し時間を使ってしまいまして・・・・え〜っと、低音のみなさんは・・・・」
滝はこんなことを言いながら入ってきますが、遅くなったのは機材を用意したりしたからですし、言い訳じみたことを言いつつノートを確認するまでもなく、滝は低音部のメンバーを最初から把握していました。
何故なら、ホルンとかで用意したのはチリ紙だけなのに、低音部にはノートパソコンやら多くの機材を持ってきていて、対応が全然違うからです。
よって、滝は明らかに最初から、低音部だけは真っ当な指導をする腹積もりをしていました。
それが低音部の演奏レベルが高いからなのか、3話ラストで低音部と麗奈だけが練習の準備をしていたのを見ていたからなのかはわかりませんが・・・・。
なので、素人的には、滝が各パートをどう評価しているのかというと、
まだ楽器にも触れないホルンが一番下、おそらく個別練習だったフルートがその上、全員で音合わせをしていたトランペットが更にその上、全員で演奏を合わせていたトロンボーンが更にその上、機材的に(笑)低音部が一番上、
低音部>トロンボーン>トランペット>フルート>ホルン
って感じなのかなと思ってみたり。
●秀一と久美子
その後色々あって、久美子と秀一が一緒に下校するのですが、
「悪かったよ、ついさ、ほら、会話の流れっていうか・・・・」
秀一がこう言う時、おそらく「秀一達が降りた電車=今にも発車してしまいそうな電車≒新しい一歩を踏み出そうとしている心≒なんとか告白したいと思っている秀一の心」が映されます。
前々から思ってましたけど、明らかに秀一は久美子に気がありますよね・・・・。
そして周りに流され本心を隠しがちな久美子も、秀一に対してだけは厳しいことを言う=本心を明かしてますよね・・・・。
●滝と麗奈
でも、結局今回も秀一はヘタレて、麗奈のことに話を逸らしてしまいます。そして二人は湖畔に移動して、
「良い先生ならそういうところ(=麗奈と上級生が衝突していること)も上手くフォローしてくれるんだろうけど、あの先生、吹奏楽部の顧問するのもはじめてらしいし。
(中略)
指導力があるかっていったら・・・・」
秀一は滝のことをこんな風に話します。
そして、上に書いたように、滝はフォローどころか実力をストレートに評価していて、秀一のこの台詞も贔屓と騒がれだす伏線にしか見えません。
・・・・まあ、本来は実力不足なのを棚に上げてそんな騒ぎを起こす方にこそ問題がある訳ですが・・・・。
一方、そんなところに丁度通りかかった麗奈が、秀一の話を聞いて
「あるに決まってるでしょ!(中略)言っとくけど、滝先生凄い人だから。馬鹿にしたら許さないから!」
二人にこんな風に突っかかります。でも、麗奈がどうしてこんなことを言うのか不明なんですよね・・・・。
「はい、練習量で言えば中学の時の半分くらいです」
まず、秀一の伝聞の中で麗奈がこう言っていて、滝が質問したと考えると、二人が顔馴染みだった可能性は否定されます。
すると、二人が出会ったのはつい最近、吹奏楽部でということになり、麗奈がここまで反応する理由がありません。トランペットパートとしての指導は、上に書いたような音合わせとか低レベルなもので、そんな凄いと思うような指導にはなっていないはずなので。
何より気になるのが、この時麗奈が、久美子達より一メートルくらい下の階段から、二人を見上げてこう言っていることです。
よって、麗奈は強気にこんなことを言いつつも、心の中では自分に正当性なんかないと気後れしているのです。
では、そんな状況なのにどうして麗奈はこんなことを言ってしまったのでしょうか?
『・・・・麗奈は滝のことが好きで、しかも
・・・・くらいしか理由が思い浮かびません。
一応、3話の麗奈の演奏を聞いて感動した滝が、個別に麗奈に会っていた可能性がなくはありません。でも、麗奈が音楽的に滝を尊敬しているだけなら、久美子達の上の段か、少なくとも同じ段から言うはずなんですよね、演出的にw
だとすると、葉月の「滝先生ってイケメンですよね」が良くて伏線、悪ければ修羅場フラグになっていて・・・・3話でこの話を振られ共に軽くスルーした長瀬や久美子には彼氏(候補)がいたりして・・・・何処もかしこも恋の花が咲き乱れてますよ!、みたいなw
・・・・あと演出的に、このシーンで麗奈がはじめて映された時、既に自転車を降りていて、偶然通りかかったのではなく、二人の会話を立ち聞きしていた可能性があります。
なので、もしそうなら麗奈が好きなのは秀一か、久美子だという可能性もワンチャンあったりして・・・・。
●二人のソルフェージュ!
でも、翌日麗奈が久美子を呼び出して、このことを謝ったり、そこで久美子も勇気を出して自分の気持ちを打ち明けて、二人でソルフェージュすることができました。
更に、久美子は夏紀にも「みんなで、合わせてみませんか?」と呼びかけることができて、夏紀もそれに応えてくれたのです。
そして、吹奏楽部としてみんなで練習を重ね、滝に合奏を認めさせることができたところで、5話レビューに続きますw
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