【響け!ユーフォニアム5話】麗奈と久美子の恋愛相談!緑が北宇治にきた理由【感想・考察】


響け!ユーフォニアム #05「ただいまフェスティバル」

さて、今回はどう解釈すれば良いのか非常に悩ましい回でした。

●梓は良い子、悪い子?

まず、久美子が演奏行進前に、中学で同じ吹奏楽部だった佐々木梓と話します。梓は強豪のリッカ高校に進んでいて、南宇治高校に進んだ中学の吹奏楽部員達のところにも一緒にいこうと久美子を誘いますが、

「ごめん、私今日はいいや・・・・特に意味ないんだけどね、私が北宇治を選んだ理由。スタートしたかったの。知ってる人があんまりいない高校にいって、新しく、最初から・・・・それだけ」

久美子はそれをこう断ります。

でも、梓は強豪校に進んでおり、更に(葉月や緑と異なり)トロンボーンを持っていて「楽器と共に行進する=音楽と共に歩んでいる暗示」がかかっています。

一方で、EDクレジットより、梓は1話冒頭でダメ金で感動していた子なので、良い暗示ばかりではありません。

でも、それを差し引いても、梓が久美子をダメな方に流そうとする悪い暗示で、今回久美子がそれと決別した、なんて描かれ方はしていません。

(こうしてサンライズフェスティバルは終わり)

もし、今回のラストで久美子がこう独白する時、久美子が影に沈んでなければ、その直後に手を振る「チューバくん=ゆるキャラ≒中学のゆるくいい加減な部員達」と決別したと解釈でき、今回のサブタイトルが

「いってきますチューバくん」

とかになるのですが、全然そうはなっていないからです。

だから、梓は本当は葉月達、北宇治吹奏楽部の部員達のように一緒に全国を目指せていたかもしれない仲間で、久美子の心が弱かったせいで取り零してしまった正解の一つとして描かれているのだと思います。

つまり、「弱かった過去の自分≒梓達」で、梓達と別れることでしか新しいスタートを切ることができなかったから、久美子が影に沈みながら泣いているような演出になっていたのです。

でも、代償は大きかったけれど、それでもスタートを切ることができたから、最後に久美子は上を見上げることができたのです。

●緑が北宇治にきた理由

ただ、そうだとすると「ゆるキャラ=チューバくん」の扱いがこれまた非常に悩ましくなります。

「可愛いな〜チューバくん、大好きなんです」

何故なら1話で緑がこう言っているからです。そして、おそらくこれが、緑が吹奏楽の強豪や名門ではなく北宇治にきた理由です。

多分、強豪中学"セイジョ"では、みんながライバルで、コンクールの結果ばかり追い求めていて、緑は全然音楽を楽しめませんでした。

だから、緑の上を目指してるっぽい発言は全て、常に上を目指すことを強いられていた、過当競争を強いられていた中学時代の後遺症です。緑自身はそんなものを求めてなくて、無意識にでも奏者は常に上を目指すべきみたいな刷り込みが残っているのだと思います。

では、緑が本当は何を求めているのかというと、

「緑はやりますよ、音楽が好きですから。音楽はいつだって、世界中の人々の心に訴えることができる、強力な言語の一つだって信じてるので」

1話の緑のこの言葉より、

『音楽が好きだから、人々の心に訴えられるような演奏を"みんなで"したい』

です。

そんな演奏ができるようになる≒コンクールの上位に入賞する、ではありますが、イコールでないことも確かです。中学の"セイジョ"で、どれだけ技術的に良い演奏ができても、緑の心にはそれが全然響かなかったのだから。

そして「心に訴える≒共感する」だとすると、音楽を通して緑が求めているものは友達ってことになって、

『チューバくん=ゆるキャラ≒友達』

の暗示となり、今回のサブタイは緑にかかっていることになります。"セイジョ"などと比べるとちょっとゆるいけど、「緑が夢見ていた場所=ゆるキャラ≒友達≒北宇治吹奏楽部」に戻ってこられた、と。

●チューバくんの意味

でも、上でも少し書いたように、今回緑は旗係(?)で「コントラバスと一緒に行進できていない=コントラバスと一緒に音楽の道を(まだ)歩めていません」。だから、ちょっとこの解釈には違和感があります。
(逆に、3話レビューで書いたガチャガチャの解釈にはピッタリ当てはまったりします・・・・)

更に、今回のラストを久美子とチューバくんが〆ていて、チューバくんは久美子にも深く関連があるように描かれてきました。だから、サブタイトルは久美子にかかっているように見えます。

でも、そう考えると、今回のサブタイの「ただいま」が久美子がどこに帰ってきたことを指しているのか、非常に悩ましくなります。

梓達と別れて新しい道に踏み出せたことで、久美子も中学時代の失敗を過去の話として割り切り、受け止めることができました。そして、梓のように他の中学の部員達とも再び話すことができるようになったのです、がゴールであり、最終的に久美子もそうなれると思いたいところです。

でも、それは遥か先のゴールであって、今回行進しただけでそこに辿り着けたと解釈するのはちょっと違う気がします。

よって、残る「ただいま」は中学以前、1話の回想であった姉の麻美子と一緒に練習していた頃、くらいしか思いつきません。

なら、久美子のチューバくんは(おそらく)麻美子から貰った物で、麻美子が教えてくれた"フェスティバル=お祭りのようにただ楽しかった音楽"に戻ってくることができたということになります。

とすると、今回ラストのチューバくんはさよならと手を振っているのではなく、久美子におかえりと手を振っているのです。

これらより、久美子も緑も全国を目指しているように見えて、スポ魂的、少年誌的な競争を勝ち抜いていくことが目的ではありません。二人はただ

『一緒に良い演奏ができる"チューバくん≒友達(姉?)"が欲しい』

だけなのです。勿論それを目指せば自然と全国大会に繋がっていくのですが、その二つはイコールではないんですよね・・・・。

でも、チューバくんの演出のおかげで、緑の解釈がだいぶ進んだ気がします。すると気になるのは葉月がどうして吹奏楽部に入ったのか、なんですよね。

まあ、麗奈がどうして北宇治にきたのか、など気になることだらけっていうのが正しいのですが・・・・w

●麗奈の恋愛相談?

という訳で、次はそんな麗奈の演出について見ていきたいと思います。

まず、久美子が疲れて電車内でダラけていると、隣の車両からガラス越しに麗奈が久美子の方を見詰めていました。

二人は各々の車両の窓や扉で二重に区切られていて、心の壁に遮られています。だから、お互いに「相手の車両=心」に入っていって声をかけることができませんでした。

心の壁が二重に増えているのは、麗奈は滝が好きなことが久美子にバレていると思っていて、久美子も麗奈の思いを何となく察していて、どう接して良いか戸惑っているからです。こう言える理由は後述しますが、だから二人は練習の時に目が合うと互いに目を逸らしていたのです。

「高坂さん、電車通学になったの?」

よって、改札を通る前の久美子のこの台詞が、二人が交わした第一声だと思われます。

でも、二人は並んで「改札を通り=少しだけ心の扉を開けて」会話を続けようと言葉を探します。

(どうしよう何話そう?(中略)また滝先生の話するのもなぁ・・・・)

久美子がこう逡巡する直前に、様々な視点のカットが映されるのは、何を話して良いかわからず話題を探している久美子の演出です。

久美子は色々考えながら、無難な話題をあれこれ話しますが、どれも会話が続かずしょんぼりしてしまいます。そんな折、信号で立ち止まった麗奈が

「黄前さん、どう思う?滝先生・・・・」

と、"瞳=心"を揺らしながら踏み込んだ話を振ってきます。ここで少し視点が揺れるのも、揺れる麗奈の心の演出です。

また、ここ以降二人が別れるところまで、周囲を車が行き交うのも、二人の心が行き交っている演出です。

「どうって、そりゃ良い先生だと思うよ。(中略)それに、ま、カッコ良い、とか・・・・」
「カッコ良い!?」
「え?いや、私じゃないよ!みんなが言ってるの」

それに対して久美子が答え、二人はこんな会話を交わします。

でも、ここではまだ信号が赤で、麗奈は何故そんなことを聞くのか、久美子は何故わざわざ"カッコ良い"を最後に付け加えたのか、二人とも本心を明かしていないことが演出されています。

つまり、麗奈はこの前突っかかってしまったことで滝が好きだとバレたと思っていて、久美子も何となくそれを察していた・・・・演出に見えます。

上で書いた久美子が話題を探す時の独白で、滝の話題を思い浮かべ、口に出す前に話題から外したのはこのためです。

よって、これは『麗奈が久美子に恋愛相談をした』シーンということになります。だから、麗奈は"カッコ良い"に大きく反応してしまい、久美子も慌ててそれが自分の思いではないことをつけ加えたのです。

そして、ここまでの会話で互いの心を確認できたから、信号が青になり、まず久美子から素直な心の内を話しはじめます。

でも、滝を褒めるつもりが、つい油断してまた余計な本音を漏らしてしまい、久美子は自分の迂闊さに涙しながら大慌てで言い訳をはじめます。

しかし、麗奈は笑いながら"前髪をかき上げて=(隠していた)本心を見せて"

「黄前さんらしいね・・・・じゃあ私、こっちだから」

と言って家に帰っていきました。意訳すると「相談に乗ってくれてありがとう」といった感じだと思います。

そして、久美子もどうして麗奈が笑ったのかはわからなかったけど、意訳した麗奈の思いだけは感じることができたから、

((前略)何故かちょっとだけ嬉しかった)

と独白して帰っていったのです。

・・・・二人が反対方向を向く(向いて別れる)演出が入っているのが微妙に気になりますが、麗奈のおでこは可愛かったし、良い暗示のシーンだったと思いますw

あと、そう考えると、久美子は結構鋭くて秀一の気持ちにも気づいてるよね的な・・・・だから、今回もバスの中で不仲を装ってイチャついてるよね、みたいなw

●滝の演出

その後、サンライズフェスティバル当日に、滝が遅れてやってきます。部員達の緊張をほぐすため敢えてそうした可能性もありますが、滝は行進直前でも靴紐を結んでいて、まだ相当の覚悟をしないとこの場に自力で立つことができない演出に見えます。

なので、そこまで滝が引き摺っている失敗は何なのかが、ちょっと気になります。

●2話からの成長

話を戻して、久美子達の前に行進するのが強豪"リッカ"高校で、その演奏がはじまると、あまりの上手さに部員達に動揺が広がります。

でも、麗奈がみんなをトランペットで一喝し、みんなの動揺を鎮めます。

2話レビューで書いたように、以前は麗奈の一喝を聞いても困り顔でスルーしていた部員達が、それを受け止め、逆に力にできるようにまで成長したことが演出されていました。

・・・・まあ、トランペットパートにだけはそれが届かなくて、相変わらずトランペットパートのフラグ構築技術が半端ない感じですけどw

●黄前とYMO

そして、滝の激励を受け、いよいよ北宇治の行進がはじまりますが、その曲目はYMOの「ライディーン」でした!

YMOはそれまでになかった電子音楽を取り入れた革新的なテクノ系の走りで

「今年の北宇治は一味違うと思わせるのです」。

滝が4話でこう言っていた趣旨にピッタリの曲だと思います。

まあ、僕は漫画「ディスコミュニケーション」でYMOを知って聞いていただけのニワカなのですが、これを逃したらもう知ってる曲なんて出ないかもしれないし、無理して原曲について書いてみましたw

また、YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)のイエローは黄色人種=日本人のことで、主人公・黄前久美子の『黄』ってもしかしてそういう意味が込められているのかな〜?と思ってみたり。(最初は)典型的なNOと言えない日本人、みたいに描かれていましたしw

あと、麗奈だけが苦しそうに顔を歪めながら演奏していて、顔もトランペットにほとんど隠れていて、不穏な演出がちょっと気になります・・・・。

といった感じなのですが、まだ5話で、しかも例えば「ライディーン」の行進(演奏)が結局成功したのかどうかなど、多くの重要部分が意図的に隠されていて、今回は非常に意地悪な作りになっています。

だから、一応現時点での解釈を書きましたが、6話(以降)で色々覆るかもしれませんw

・・・・と、最後に保険をかけたところで、6話レビューに続きますw
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2015年05月07日 19:47 by 元会長
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