さて、今回一番の収穫は、ツカサが児童養護施設で育ったのだとわかったことです・・・・まだ確定はしてませんけど、そう考えると9割方の辻褄が合うので、多分間違ってないと思います。
まず、ツカサは、アイラをデートに誘えた翌日、「愛母の家 白井ヘレン」宛にメールを書いていました。
"(孤児だったツカサを育ててくれて)おかげさまで多くのことを学べております"
そしてこの文面より、ヘレンは「仕事相手=回収対象の所有者」などではなく、ツカサが育った児童養護施設の施設長とかだと思われます。
●2話、4話レビューに照らして
そう考えると、2話レビューで書いた、
「ツカサは父親に言われるまま何でも受け入れる良い子です。大学進学も就職も全て父親の思惑で、ツカサには自発的に何かやりたいという欲求がほとんどありません。
でも一方で、ツカサはボランティアなど福祉系の仕事がしたいと自発的に思わないギリギリのラインで、他人を幸せにしたいと思うかなりのお人好しでした。」
や、4話レビューで書いた、
「ツカサは父親のコネで「窓際部署」のターミナルサービスに就職しました。よって、父親がツカサを心配したから手を回したのではなく、半ば厄介払いをする感じで就職させていると思われます。」
こんなツカサの人物像もすっきり説明することができます。
ツカサは養護施設で育っていて、両親以外の者の厚意で育てられていることへの負い目から、夢などを追い求めることに遠慮があります。
だから、仮に本気で大学を希望していたとしても、入試に失敗した時点で、浪人するより就職して自立する道を選びました。
そして、それは今回のツカサのメールにもあった「児童養護施設への感謝≒これ以上迷惑をかけたくない」との思いからです。
よって、そんな環境でもツカサは腐ることなく、むしろそんな環境だったから、これからは良い思い出を作っていきたいと強く思っているのです。
ツカサが大学入学を諦め、父親に窓際のターミナルサービスに厄介払いされたような状況なのに、意欲的に仕事やアイラ達に向き合っていたのは、こんな理由からだと思います。
よって、父親のコネというのは嘘で、施設の後援者か何かの口添えということになります。
といったところで、以降は本編を追っていきたいと思います。
●洗濯と下着
冒頭、ツカサがベランダで洗濯物を干していたアイラをデートに誘おうとします。でも、アイラがツカサの分まで干そうとしているのを見て、
「え〜っと、自分の分は自分でやるから。わざわざありがとう」
ツカサはこう言いながら大慌てで自分の下着を抱えると、部屋に駆け込んでいきました。
これはツカサが「下着=(上で書いたような)隠している自身の生い立ち」をまだ隠そうとしていることの演出です。だから、逆に何も隠そうとしないアイラは、今回のラストで自分から残りの寿命が一ヶ月だとツカサに打ち明けてくれたのです。
また、心の洗濯なんて言葉があるように、これはアイラ(とツカサ)が心をリフレッシュさせ前向きになろうとしている暗示でもあります。
だから、アイラは危なっかしくよろけながら洗濯物を干していて、(ツカサは下着を隠そうとして、)そう思いつつも上手くできないことが演出されていました。
●OPラストのアイラ
そしてOPがはじまり、ラストで遂にアイラが僅かに微笑みます。これからはもう、ずっと笑っていて欲しいところですが・・・・。
●ヤスタカとザック
OP明けて、会議室でツカサが男性社員達にアイラをどうやってデートに誘えば良いか相談します。このシーンのラストで、ヤスタカとザックが不敵な笑みを交わしますが、ツカサが本当にデートに誘えるかどうか賭けをしようと思いついた二人の演出です。
後に、トイレでツカサがまだアイラを誘えないことをヤスタカ達に打ち明けるシーンがあります。そこでヤスタカが大袈裟にツカサを煽ったのも、ザックがヘタれのツカサには無理だと高を括ってるようだったのも、賭けに勝とうとツカサを誘導している二人の演出です。
●ヤスタカとシェリー
話を戻して、ツカサが会議室から出てくると、シェリーが一人で仕事をしていました。ヤスタカのサボリーマン演出ではあるのですが、6話でもシェリーがヤスタカのせいで覗きに敏感になったと言っていました。
これらはギャグ要素っぽいのですが・・・・
6話より、ヤスタカと伍堂部長が闇業者を軸に対立していて、諜報戦を繰り広げているヤスタカとシェリー(≒伍堂勢力)の伏線って可能性がワンチャンあります。
現時点では、ヤスタカと伍堂、どっちが闇業者に繋がっていて、SAI社と闇業者のどっちが悪なのか、その辺りの詳細が全部隠されてますけど・・・・。
(SAI社≒伍堂はギフティアをモノとしか見ておらず、経費削減しか考えてないので、闇業者=正義な可能性もワンチャンある・・・・かも?)
●洗濯と掃除と運転
その側では、アイラが(心の)掃除をしようと頑張っていましたが、間違って必要な書類を捨てていて、上手くいってないことが演出されます。
また、次のシーンでは、カーナビなしで運転しようとして、アイラが(心の)道に迷ってしまいました。
だから、トイレでのシーンを挟んで、ツカサが家庭菜園前でうな垂れるアイラに、どうして今日は洗濯や掃除(や運転)をしてくれたのか尋ねると、
「役に立ちたかったので」
アイラはこう答えます。
よって、これらの演出は、アイラが自分の心を整理しようとしたのと同時に、ソウタとマーシャのことで無理に笑っているツカサの心をリフレッシュさせようとしている演出でもあります。
そして、これらは物理的には失敗だったのですが、健気なアイラの姿に勇気を貰い、ツカサがデートを申し込み、遂に二人はデートの約束を交わすことができたのです。
●カヅキの演出
でも、二人のデートを聞きつけたカヅキが、ツカサを廊下に引っ張って、浮かれて仕事を疎かにしないよう釘を刺します。
6話レビューの社員証の演出でも書きましたが、カヅキが"アイラの仕事を全うしたいという表の思い"しかわかってない演出、って気がします。
●ツカサの○○フラグ
その後、仕事やトレーニングに邁進するツカサとアイラが映されます。そして、ツカサが昼飯を10秒チャージ的なもので済ませミチルに心配されるなんて過労フラグを立ててしまいます。
一方、ミチルはザックからツカサ達のデートの話を聞き、アイラとエルを部屋に呼んでアイラの相談に乗ろうとします。
でも、エルは無難な案しか出さず、ミチルは乙女な妄想を繰り広げ、あまり役に立ちませんw
また、そんな話をするうちに、着ていく服の話になり、3話でツカサが買ってくれた服をミチルが繕ってくれることになりました。
そして翌日、アイラがデートの場所は(カヅキといつもいっていた)遊園地が良いとツカサに話します。更に、3話で心にもなく断ってしまったことについて、
「あの時悪いことしたってずっと思ってて、今度こそちゃんと、ツカサと一緒に・・・・」
こんな思いを伝えます。
でも、当日の朝、ツカサは明らかに熱が出ていて、
●アイラの私服
そこでツカサが起きたことに気づいたアイラが声をかけるのですが、アイラは3話でツカサが買った服を着ていました。
これは、3話時点ではまだアイラの心が凍りついていて「着ることができなかった私服=見せることができなかった本心」を見せることができるようになった演出です。
「これ、変じゃない?」
「凄く、似合ってるよ」
そして、二人でこんな会話を交わすと、アイラはちょっと俯いて照れと嬉しさに顔を真っ赤にしてしまいます。そんなアイラがとても可愛かったですw
●傍観者から当事者に
その後、二人で遊園地にいくと、アイラは三年前もずっと座っていたお気に入りのベンチに座り、ツカサに
「日が暮れるまでここに座って、色んな人達の笑顔を眺めてた。不安とか全部忘れて、温かい気持ちになれたので」
こんな思いでいたことを打ち明けます。
「ここにくると、嬉しいこととか、悲しいこととか、色んな感情が溢れてきちゃうので」
でも、アイラは、三年前を最後に遊園地を避けていた理由を聞かれると、こんなことも話します。
「ここには他にも楽しいものが一杯ある。それを知らないままなんて、勿体ないよ」
それを聞いたツカサは、こう言ってアイラと二人で遊園地を回ります。そしてアイラも、みんなの幸せを眺めるだけの傍観者から、実際に幸せを体験する当事者に少し近づくことができました。
●ツカサが倒れた意味
(これが正しいのかどうかわからない。俺のただの独りよがりかもしれない。でも俺は、アイラに、この一瞬一瞬を少しでも楽しんで貰いたいって思うんだ)
でも、ツカサはそんなアイラを見ていながら、こんなことを考えてしまいます。ツカサは上で書いたような生い立ちなので、ツカサ自身もまだ幸せをよくわかっていません。
だから、ツカサは、自分の行動がアイラのためになっているのか自信が持てませんでした。それでもツカサは、アイラと幸せな思い出を作りたくて、懸命に頑張ったために、心が疲労していました。
よって、ツカサが観覧車の中で倒れてしまったのは、肉体的な過労ではなく、心の過労の暗示です・・・・ただ、そのおかげでアイラの胸に顔を埋めることができたのだから、ツカサも悔いはないでしょうw
●良し?
その後、アイラがツカサを寮に連れて帰り、ベットで寝かせます。
一方、その話を聞いたミチルは、おかゆを作ってツカサ達の部屋の前にやってきます。そして、どう言っておかゆを渡すかツンデレのテンプレのようなシミュレーションを繰り広げ、
「良し、これでいこう」
なんて呟くのですが、何が「良し」なのか全くわかりませんでしたw
そんなミチルがツンデレ可愛かったですw
((前略)私がでしゃばってるみたいに思われたら・・・・面白くない)
でも、結局ミチルはこんなことを考えてそのまま帰ってしまうのでした。
●上手なデートの誘い方
「情けないよな〜。俺ってさ、いつも肝心な時にダウンしちゃうんだ」
一方、目を覚ましたツカサはこんなことを言いながら、大学入試の時もそうだったと打ち明けます。
「だけど、そのおかげでターミナルサービスに入って、こうしてアイラと出会えた。そう考えると、体調を崩すのもあながち悪くないかな・・・・はは」
「私は、ツカサにはいつも笑顔でいて欲しい」
でも、弱気になって自虐気味に笑うツカサに、アイラはこんな本心を伝えます。更に、自分の寿命が一ヶ月しか残ってないことも打ち明けて、ツカサに黙っていたことを謝ります。
そんな風にアイラが本気で向き合ってくれたから、ツカサも本心を打ち明けて、
「アイラ、俺は最後まで君のパートナーでいたい。それで、良いかな?」
「うん」
「今日は楽しんでくれた?また、一緒にいってくれる?」
こんな風に素直な思いを伝え、上手にアイラをデートに誘うことができました。二人一緒に少し前に進むことができた良いシーンに、サブタイが上手くかかっていました。
●握った手
そして二人は手を握り合い、ツカサは安心して眠ることができました。
でも、寝たことで開いたツカサの手を、アイラの方はずっと遠慮がちに握り続けていました。アイラの寿命が迫り不安な気持ちと、それでツカサに迷惑をかけても良いのか迷う気持ちが上手く切なく演出されていました。
そのせいで、アイラは充電できず停止しかけるのですが、電気より大事なものを見つけた暗示で・・・・ついでに、そんな二人の絆が寿命ブレイクに繋がれば良いな〜と祈ったところで、
プラスティック・メモリーズ #08「知らない、花火」
に続きますw
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非常に深い考察に感銘を受けて、再視聴と再考察をインスパイアされました者です。
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件名:昨日はお世話になりました。
愛母の家 白井ヘレン様
おはようございます。
昨日もお時間頂きありがとうございました。
おかげさまで多くのことを学べております。
つきましてはぜひまた今度お
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この文面からは他人に対するメールという印象を受けます。
また、2話での部長のセリフ、
「お父上に感謝するんだな。」
から推察するに、ツカサの孤児設定よりは、白井ヘレンさんは6話のソウタの引越し(?)シーンに出てきたオバサンが、ソウタの保護施設(愛母の家)のスタッフであり、もしかするとヘレンさん当人、と解釈する方が自然ではないでしょうか?
カズキもミチルのケースで事後フォローしている描写がありますし、また、マニュアル依存性格設定のツカサもアンドロイドチルドレンについて学ぶ為に施設スタッフに教えを請うのは自然な流れでは?と考えました。
もちろん、本文の解釈に異を唱えることが目的ではなく、個人的な感想と、プラメモという作品への愛情を感じましたので、是非意見を聞きたいと思ったワガママから書き込みをさせていただきました。
不快でしたらご容赦ください。
確かにソウタを引き取ったのが"愛母の家"というのは、かなり説得力のある話ですね。
お返事がちょっと長くなったので、こちらに記事を作りました。宜しければご覧下さい。
http://kaityou-osusume.seesaa.net/article/421512718.html
あと、僕がブログのコメントを開いているのは、今回のような有意義なお話を聞けるかも、と思っているからです。だから、僕の解釈と同じか違うかを気にしたりはしません。
例えば、今回だと脇役のソウタに関する話はもう終わったと、勝手に区切ってご提示頂いたような可能性を見落としていました。だから『脇役だからと早々に興味を失わない』という今後のレビュー向上にも繋がる良い勉強になりました。
僕ができれば頂きたくないのは、そういった中身がなく、話しても実のない不毛なコメントです。
僕の独断なので、何が有意義で何が不毛か基準を示せって言われると困るんですが・・・・w
例えば、〜についてはどうですか?との質問には中身がないといえばないかもしれません。でも、僕が見落としてたり、怠け心を出して甘えてた部分を指摘されたら、ちょっと考えてみようかな、となる訳です。
(僕が一通り考えた上で、考えても仕方ないと書いてなかったことだと・・・・ですが)
ただ、今までの傾向から、僕の解釈が違うって言う方と、物語的余白って書いてるのにその中の一つに確定させたがる方は、結論だけ書いてその理由(中身)が空っぽかほとんどない(事が多い)んですよね・・・・。
なので、ちーくんさんのコメントを僕が敬遠することはないと思うので、宜しければまたお越し下さい。