さて、今回はギフティアが回収された後、OSを入れ替えた場合の接し方について三通り(ミネコ、エル、ツカサ)のケースが描かれていました。
●東手ミネコの場合
まず、冒頭でツカサが「東手ミネコ」と回収対象のミラベルについて話し合います。
「OSの入れ替えをお願いするわ。(中略)以前にもそうしたから。魂を入れ替えても、私はずっと同じ子だと思って接しているのよ」
そこでミネコは、ツカサにこんな希望を伝えます。ミネコの部屋には大量の人形が並べられていて、ミネコがあくまで(動く)人形としてミラベルを大切にしていることが演出されていました。
●海松エルの場合
次に、エルはかつて幼馴染のように接していたギフティア・オリヴィアと再会します。でも、オリヴィアはOSを再インストールされ、昔の記憶を失ったアンディという別のギフティアとして生活していました。
エルは話しの弾みで、そんなアンディと、オリヴィアとの思い出が詰まった地元(江ノ島?)のカーニバルにいくことになってしまいます。そこでエルは、一緒にカーニバルにきて欲しいとツカサに泣きつきます。
オリヴィアの顔をしたアンディが、別人のように振る舞って、オリヴィアがもういないことを突きつけられる場所を、二人だけで回るのはキツすぎるからと・・・・。
そして、ツカサ、アイラ、エル、アンディの四人でカーニバルを回る途中、
「私、きっと来年は、このカーニバルにくることはないと思うんです・・・・その替わりに、アンディと一緒に何処か別のところに遊びにいきますよ。
アンディとはオリヴィアの思い出を共有するんじゃなくて、これから新しく思い出を作っていきたいですし。(後略)」
エルはツカサにこんな思いを打ち明けます。
エルはオリヴィアとアンディを別人として、それぞれの思い出を大事にしていく道を選んだことが示されていました。
●ツカサの場合
「吹っ切らなくちゃ、いけないんですか?」
「・・・・ねぇ、ツカサっち。思い出を作れるのは今だけなんです。今、この瞬間しかないんですよ」
でも、ツカサはエルとこんな会話を続けます。
ミネコの、エルの、もしくはそれ以外の、どんな接し方を選ぶにしても、アイラとの思い出は今しか作ることができません。
むしろ、時間の流れに押し流される儚いものだからこそ、今の、その時々の思いが、最も華やかに心に輝くのです。
だから、エルの言葉が終わると、大輪の花火が轟音を響かせ夜空を華やかに飾ります。その美しさをどう思い出すか、どんな思い出として接していくのかではなく、花火は打ちあがった瞬間こそが一番華やかで美しいのです。
だから、アイラが回収された後、どう接すれば良いかなんてわからないけど、かけがえのない今を大事にしようと決意したツカサの思いを、夏の夜空に響く大輪の花火が演出していました。
●サブタイトルの意味
そしてツカサはアイラを探して会場を走り回り、遂にアイラに告白するのですが・・・・
アイラは告白なんて素敵な言葉をかけて貰ったことがなくて=知らない(生で見たことがなかった)花火のあまりの煌きと轟音に、
「む、む、む、ムリです!」
顔を真っ赤にしながら、こう断ってしまうのでしたw
また、ツカサがアイラに、エルからカーニバルに誘われたことを話し、花火について話すシーンがありました。
「(花火の)音が凄くてきっとビックリするよ」
「音・・・・耳栓した方が良い?」
「あ、いや、そこまでしなくても・・・・」
「じゃあこれで」
そこで二人はこんな会話を交わします。更に、最後の台詞に合わせて、アイラが耳を両手で塞ぎ目を閉じる演出が、ラストのアイラと花火の伏線になっています。
そして、これらがサブタイトル「知らない花火」に綺麗に繋がっていくのです。
という訳で、あとは細かいことを幾つか・・・・。
●7話のメール
まず、冒頭でツカサが「東手ミネコ」と回収対象のミラベルについて話し合います。
でも、7話でツカサは「白井ヘレン」宛にメールを書いていました。もし、あのメールが単なるツカサの仕事風景の演出なら、ミネコへのメールが映されたはずです。
よって、7話のメールはもっと後に繋がる重要な伏線と考えられ、その詳細は7話レビューで書いてます。
●夜の車内で
一方、ツカサはミネコの接し方に納得できなくて、帰りの車の中で窓ガラスに映る自分の写像と一緒に、流れる地面を眺めます。
「鏡≒写像」を見て身だしなみを整えるように、写像はツカサが自分を見詰め、アイラの中にある思い出を失いたくないと苦悩している演出です。
また、アイラもそんなツカサを横目で見ており、二人の車は「闇夜=暗い気持ち」にぼんやりと浮かぶ橋を渡っていきます。橋は心の架け橋の暗示で、ツカサの苦悩がアイラに伝わっていることが演出されていました。
●相変わらずのツカサ
「OSを入れ替えたギフティアって、何かの拍子に、前の記憶が戻ったりすることはないのかな〜と」
だから、翌日ツカサはこんな問いを一課の社員達にしていきます。
まず、整備班のミキジロウが、作業の手を止めツカサの方に向き直って「あり得んな」と答えます。ミキジロウ自身、その問いに対する答えを自分の中に持っていて、だからツカサにもちゃんとこう答えることができました。
一方、事務のレン、コンスタンス、シェリー、ザックは、縄跳び(トレーニング)やトイレ、書類作成や書庫整理の手を止めずツカサの方も向かず、そんなことはないと口だけで否定します。
各々の中に明確な答えがなく、聞かれた方もその問いにしっかり向き合うことができていないことが演出されていました。
また、この問いにギフティア達が向き合えないのは当然で、むしろギフティアを人形ではなく心を持った者だと思いながら、こんな質問をするツカサの無神経さが演出されていました。
(7話レビューで書いたように、孤児で人並みの幸せを感じられた経験が少なく、まだ未発達なツカサの心が演出されていました)
●落としどころ
「(前略)だから、自分の中で落としどころを見つけなくちゃ・・・・どうしようもない話なの」
でも、最後に相談したミチルは、作業の手を止めて(飲んでいたジュースを側に置き)、ツカサに背中を向けてはいたけれど、こんな風に答えてくれました。
また、ベンチに座り(精神的に)一人で立つことのできないツカサと違い、ミチルは途中から立ち上がって話を続けます。
だから、まだ完全に父親だったギフティアのことを整理できてはいませんが、それでもミチルなりに向き合えるようになっていて、ツカサにもアドバイスできたことが演出されていました。といったところで、
プラスティック・メモリーズ #09「祭りの後」
に続きますw
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