さて、今回はミチルが
●ミチルの葛藤
まず冒頭、アイラにフラれたツカサは事務所にきても真っ白に腑抜けていました。一課の面々が遠巻きにそれを心配しているところに、『制服に着替えた』ミチルがやってきて
「ツカサ、あんた、アイラに告白したって本当なの?」
とまくし立てます。
でも、今回繰り返しミチル達の出社シーンが描かれ、ミチルが寮を出る時は必ず私服です。つまり、口調とは裏腹に、ミチルは事務所で冷静に着替えてからみんなのところにきています。
よって、ミチルは更衣室で、告白について聞き辛いけど気になって仕方ない、でも・・・・と葛藤を繰り返し、最終的に力押しで誤魔化すという結論に至ったのです。制服はそんなミチルの本心を暗示していました。
でも、ツカサは真っ白になっていてミチルの声が聞こえていません。一方、その側ではアイラが浮かない顔でモニターに向かっていて黙々と仕事をしていました。
●どうしても気になって・・・・
それを見て、ミチルは外の休憩所(自販機の横)にアイラを連れ出し、相談に乗ろうとするのですが・・・・
そのシーンの最初に、わざわざ何もない自販機の取り出し口がアップで映されます。ミチルが、アイラの分は勿論、自分の飲み物すら買うのを忘れている=(心を)潤わせられない≒心に余裕がないことの演出です。
「ごめんね、急に呼び出して。あんたは、その・・・・平気?そ、それで、本当にツカサに告白されたの?しかも断ったって聞いたけど・・・・」
だからミチルは、ベンチに座るアイラの前にしゃがみ込んで、少し声を上ずらせながらこう尋ねます。
一見、浮かない顔のアイラを心配しているように見えますが、アイラを心配して目線を合わせているのではありません。
何故なら、この時ミチルの目線の方がアイラよりかなり下になっていて、ミチルが(後ろめたい気持ちで)アイラを見上げているからです。これはアイラのためではなく、(ツカサの)告白が気になったから尋ねていることを、ミチルが自覚している演出です。
一方、そう聞かれたアイラも、ツカサの告白のことが全く整理できていなくて、
「どどどどどどどうしよう?わ、私、私、ここここ、告白されちゃった、ので。のでのでので〜」
と、頭から湯気を出してベンチに倒れこんでしまうのでしたw
●ザックの私服
また、このシーンで、ザックが私服のままでした。上で書いたように、ミチルが葛藤する間、着替える時間は十分にあったはずです。
でも、ザックはミチルがまたツンデレなことを言ってしまわないか、変なことを言ってしまわないか気が気でなくて、着替えることができなかったのだと思います。
●ミチルのジュース
OP明けて、(おそらくミチルが渡した)ジュースを飲んで、アイラがなんとか落ち着きを取り戻します。
この後、ミチルが本当に相談に乗って
「そうよねぇ、二人とも少し落ち着くべきだと思う・・・・何日か、ツカサとは別々に暮らしてみたら?そしたらあんたも、あいつのことどう思ってるかちゃんと考えられるでしょ?」
と提案したことで、アイラは自分の思いを整理することができました。
だからジュースは、ミチルがそんな風にアイラに一息つけさせた=(心に)潤いを取り戻させた≒アイラに心の整理をつけさせることになる暗示です。
●座席から見るカヅキの心
一方その頃、カヅキとコンスタンスが車で回収に向かっていました。
でも、この時カヅキは補助席ではなく、後部座席に座っています。カヅキがコンスタンス(ギフティア)を補助し、共に歩んでいくことから逃げている演出です。
更に、コンスタンスから"アイラがツカサの告白を断った"と聞くと、カヅキは「わっかんねー」と険しい顔で考え込んでしまいます。
また、6話レビューの社員証の演出や、7話レビューのツカサに仕事をおろそかにするなと釘を刺した演出からも、
『カヅキが、アイラの"ギフティアとしての仕事を全うしたい"という表の思いしかわかっていない』
ことが窺えます。
●私服と私室
そしてその夜、朝のミチルの提案通り、しばらくアイラとツカサの距離を開けるために、ミチルとツカサが部屋を代わることになります。
でも、ミチルの部屋にきても、ツカサは相変わらず真っ白なままでした。だからミチルは、ツンデレなことを言いつつ晩御飯を作ったり色々世話を焼いてしまいます。
「告白して後悔してる?」
「いや、断られちゃったけど、それでも、アイラへの気持ちは変わらないよ」
「・・・・一途なのね。そういうところはカッコ良いと思・・・・」
更に、ミチルとツカサはこんな会話を交わし、ミチルの本心が覗きかけます。
寮の部屋で私服になっている時にこれらのことをさせたのは、「寮の部屋=ミチルの心の中」にツカサが入ってきて互いに「私服=本心」を話すという暗示を入れるためです。
なので、ミチルはつい心が緩みそのまま寝入ってしまいます。そして翌朝、ツカサに起こされ、寝顔を見られたことに動揺し頬を赤らめるミチルが可愛いですw
よって逆に、アイラがエルの部屋に移ったのは、ミチルに"ツカサと一緒にすごしたい"という本当の思いを明かさない=そこまでミチルに心を開いていない暗示です。
同様に、ミチルも自分の恋心を偽っていて、アイラの「部屋=心の中」に入っていくことができない暗示でもありました。
また、エルの部屋でアイラが着ぐるみだったのは、エルがはしゃいでアイラがいよいよ(心の)身動きが取れなくなっていた演出です。
●制服の暗示
翌朝、ミチルとツカサが
そしてミチルとツカサが"ゆうべは おたのしみでしたね"と誤解したアイラは、動揺しながら大慌てで走り去ってしまいます。
その後、ミチルがアイラを追いかけて、ツカサを合わせた三人で話し合い、なんとか誤解は解くことはできました。
でもその時、三人とも制服で、ミチルの恋心、ツカサとアイラの本当は一緒にすごしたいという本心が押さえ込まれていることが暗示されています。
だから、このシーンの最後、上手くいきそうなアイラ達を見て微笑むミチルは、本心を押さえ込んで無理に笑っているのだと思います。
●自分を省みるミチル
よって、次のメンテナンスルームのシーンで、制服を着たミチルが
「親父さん、恋愛って勢いが大事かもって思ったりしませんか?・・・・あの子には、ゆっくり考えなさいって言っちゃったけど、本当にそれで良かったのかな?
こういうのって、あんまり時間かけすぎると、どんどん悪い方に考えていっちゃうものでしょ?」
と、ミキジロウに尋ねるのも、同様にツカサへの恋心を押さえ込みながら話している暗示です。
OP後に、ミチルはアイラから告白の様子を聞いて
「それは中々情熱的ね・・・・っ」
と言っていました。だから、臆することなく告白しアイラと上手くいきかけている(ように見える)ツカサを思い浮かべ、こんなことを言っているのです。
そして同時に、自分の恋心から目を逸らし続け、タイミングを逃し続け、失恋しかけているミチル自身を自虐的に思い浮かべているのだと思います・・・・。
●ザックのメンテナンス
また、この時、ザックが側のベットに寝ていて、メンテナンスを受けていました。でも、ツカサは一人でミキジロウに相談にきていたし、(物語的に)別にザックがいる必要がありません。
勢いで行動できたツカサと違い、ミチルはミキジロウに恋愛相談するにも、ザックの付き添いなんて理由が必要な演出。もしくはそんなミチルのために、ザックがわざわざきている演出、なら良いのですが・・・・
ザックがメンテナンスしていることが伏線になるような何かが起こる可能性がなくもない、みたいな・・・・今回、ザックが私服でいるシーンが凄く多いのも気になりますし・・・・。
●背中を押そうと思ったのに・・・・
その翌日、事務所でアイラが「コーヒー=苦くて熱くて黒い思い」を運ぶ途中に落としてしまいます。これは、ツカサを苦しめてしまっているという思いが溢れ、アイラが支えきれなくなっている暗示です。
でも、そんなアイラのことをずっと思い遣るツカサを見て、ミチルはアイラの背中を押すことを決心します。
だから、その夜、ミチルは寮の自分の部屋で、アイラにその恋心を自覚させようとするのですが、
「私、ツカサからは離れる」
(中略)
「一ヶ月、なので・・・・私の残り時間、あと一ヶ月くらいなので」
アイラがツカサを思うが故に、ツカサから離れようとしていることを知って、何も言えなくなってしまうのでした・・・・。
また、ミチルは最初アイラのことを"あんた"と言いますが、真剣にアイラの気持ちを知りたいと呼びかける時、それが"アイラ"に変わります。
だから、自分の恋心を偽って応援役を演じていたミチルが、最後には本心からアイラに問いかけていることが演出されていました。
●夜のバーにて
その頃、バーで酒のボトルを傍に考え事をするカヅキのところにヤスタカがやってきます。
カヅキは、せっかくアイラ達が上手くいってたのにヤスタカがツカサを煽って告白させたせいでこんなことになった、とヤスタカを非難します。
「それなら君が干渉するかい?今までずっと逃げてた訳だけど・・・・」
でも、ヤスタカにこう返されカヅキは何も言えませんでした。まあ、上でも書いたように、演出的にはずっと前からカヅキが逃げていることが描かれていたのでw
そして、カヅキはこの後・・・・。
●水と緑に囲まれた階段で
一方、アイラの寿命のことを知って、ミチルは寮の横の(?)丘に続く階段に座り込んでいました。階段を僅かに登ったところで膝を抱え込むミチル。
「階段=アイラの寿命の問題」はとても高くて、上の方は闇に隠れて見ることさえできなくて、ミチルがそこでしゃがみ込んでしまっていることが演出されています。
また、辺りは緑に囲まれていて、ミチルを階段ごと挟み込むようにその両脇には丘の斜面からアート的な水路が顔を出し、静かに水が流れ出ていました。
流れ出る水は、アイラの寿命のことを知らず、余計なことをしてしまったという後悔がミチルの心に湧き出している演出です。そして、そんな後悔に囚われる人間らしさ≒生物らしさを周囲の闇に沈む緑が演出しています。
だから、そこにツカサが通りかかると、ミチルはアイラの寿命の話を振って、
「私、何にも知らなかった。それなのに、アイラにもあんたにも、偉そうなことばっかり言ってた。ごめん、本当にごめん」
泣きながらこう謝ります。
でも、ツカサがアイラの寿命が僅かなのを知ってそれでも思い出を作ろうとしていることを知ると、
「あんたがやろうとしてるのは凄く辛いことなのよ!良い結末なんて待ってないのよ!それでも、逃げずに向き合えるの!?(中略)あんたは、ちゃんと最後まで責任取れる?」
ミチルはこうツカサを問い詰めます。
「俺は最後の瞬間まで、アイラのパートナーでいるって決めたんだ」
「責任の意味、わかって言ってるの?」
でも、ツカサはこう返し、更に問いかけても、黙って揺るがぬ決意を伝えるツカサに、ミチルもその思いの強さを感じ取ります。
「(前略)私があんた達の恋、応援してあげるわよ!・・・・感謝しなさいよね」
そして遂に、ミチルはアイラだけでなく、はじめてツカサにもアイラとの恋を応援すると口に出してしまうのでした。
まだ、ツカサの呼称が"ツカサ"でなく"あんた"なので、完全に割り切れた訳ではありません。でも、密かに思いを寄せてるツカサにまで応援すると言ってしまい、ミチルの負けヒロインフラグがほぼ完成してしまうのでした・・・・。
・・・・全部自分で立ててきたフラグだから、もうどうしようもないですねw
●カヅキの選択ミス
そして最後に、カヅキがアイラの部屋で、ツカサとアイラに
「お前ら、今日を以ってパートナー解消な」
こんなことを一方的に言って、アイラの本心が全然わからないまま、悪い方向に舵を切ってしまいます。
更に、おそらくアイラもそれに賛同するだろうし、どうなってしまうのか?・・・・といったところで、10話レビューに続きますw
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