さて、今回も広く多くのキャラが掘り下げられていました。例えば、サブタイトルが指すのも
・トランペットリーダー・中世古 香織
・ユーフォニアム二年・中川 夏紀
・主人公・黄前 久美子
の三人だったり、焦点を絞るのが難しいので、本編を順に追いながら色々書いていこうと思いますw
●白の風景
「県祭り(あがたまつり)も終わり、一面"白"になった練習風景にも慣れてきた頃(後略)」
OP明けて、こんな久美子のナレーションが流れます。表の意味では、夏服になり白地に占められた風景といったところです。
でも、"白"は混じり気のない色で、"白熱"なんて言葉があるように、部員達が混じり気なく雑念を捨て練習に熱中している暗示です。
●落ち込む緑
しかし、そんな中で緑が葉月の失恋に責任を感じ、落ち込んでいました。サブタイキャッチ後の、雨に濡れる校舎はそんな緑の心を演出しています。
だから、続く低音パートの練習で、緑はコントラバスに背を向けて俯いています。5話レビューなどでも書いてますが、オーディションが迫るこの時期でも、緑にとっては「葉月(友達)>音楽」であることが演出されていました。
緑が吹奏楽部に入ったのは一緒に演奏できる友達が欲しかったからで、大好きな音楽も独りで演奏しては意味がないといった感じです。
●夏紀と葉月
また、みんなが楽器を自分の傍に置く中、夏紀だけ自分の前の机にユーフォニアムを載せています。夏紀がまだユーフォを持て余していて、自分のものにできていない暗示です。
因みに、葉月は6話レビューで書いたように「恋愛>部活(吹奏楽、テニス)」な上に、失恋直後で楽器に全く気が回ってないので一周して横に置けているだけだと思います。
●副部長でも恋がしたい!?
そして、このシーンで一番注目するのは、
『あすかがはじめて久美子達の中に入って、みんなで横一列に座っていること』です。
今まであすかは、ずっと前の方の席で一人で練習していて、久美子達の方にきても、その前に立って話すだけでした。
(4話で一回だけこの配置になりますが、滝の指導を受けるという外的要因のためで、自発的にそうした訳ではありません)
6話レビューでも書いたように、あすかはずっと他人を突き放していて、葉月個人を指導するのも躊躇いながらやっと、といった感じでした。
だから、低音パート全体を指導するなんて、もの凄い前進な訳です。
でも、前回県祭り直前の練習でも、あすかは前の方の席に一人で座っていました。また、オーディションをやることはずっと前からわかっていました。もし、夏紀の合格が危ういからなどの理由なら、もっと前からこうしていたはずです。
なので、どうしてあすかが前進できたのかわからないんですよね・・・・県祭りの間にあったことなんて、あすか、香織、晴香の三人でお参りしたか、「葉月のデートを見た」くらいですし・・・・。
更に、あすかは不調そうな緑に、譜面台を取ってくるように言い、席を外させた上で、久美子に事情を尋ねます。つまり、相談に乗るつもりがあったのです。
それなのに、緑が葉月の失恋に責任を感じて落ち込んでいると知ると、あすかは座っていた椅子を大きく揺らし、目を黒一色に濁らせて
「(前略)個人練いってくる・・・・私情で練習できなくなってるような奴に、構ってる暇ない」
と吐き捨てて、部屋を出ていってしまいます。部屋の前の方の席に戻るのを通り越して、一気に(心が)後退してしまいました。
7話で晴香と衝突した時より、というか、今までで一番大きくあすかの心に荒波が立っていることが演出されています。あすかは普段おチャラけキャラを装ってる分、素が出るとはっきりとわかってしまいます。
「あすか先輩は、練習時間削られるのが一番嫌いだからね」
それを見て、夏紀はこう言いますが、それは違うと思います。
何故なら、7話であすかは、葉月を心配する久美子達の話を聞いて、葉月のモチベーションを上げさせようと普通に時間を割いていました。更に、今回もあすかは緑が不調な理由を尋ねていて、その相談に乗るつもりでいたからです。
よって、あすかが不機嫌になった本当の理由は「恋愛絡み」だったからです。なら逆に、それを聞くまであすかの心が前進できていたのは「葉月のデートを見た」から、な訳で・・・・。
「いる訳ないでしょ。私の恋人はユーフォニアムさんただ一人」
8話では緑から恋人がいないか聞かれ、あすかはこんなことを言っています。なので、これを信じるなら、
過去に恋愛で酷い目に遭っていて(恋人と死別したとか?)、恋愛から逃げている(音楽に打ち込んでいる)けど、その代償行為として他人には幸せになって貰いたい、みたいな・・・・?
だとすると、8話であすかが神社に願ってたのは、そんな感じの願いだったのかなと思ってみたり・・・・。
まあ、現時点では曖昧なんですが・・・・でも、あすか達が横一列に座ってるのを見た時、"あすかの解釈を根本的に間違えてた!?"とかなり困惑しました。最終的に、あすかの心が前より閉ざされたので、ホッと胸を撫で下ろしましたけどw
だから、あすかに関して、恋愛絡みで何か隠された事情があるのは間違いない・・・・と良いなぁw
●失言女王・久美子
一方、葉月の失恋を聞いて「超超どうでもいい」と言うあすかに、久美子が
「正直すぎます」
(≒久美子もそう思っていた)
と言いかけて、夏紀に口を押さえられます。
(恋愛関係ではほぼ)無関係なあすかならいざ知らず、(ほぼ)当事者と言えなくもない久美子が、葉月の前でこれは酷いです、夏の薄い本でお仕置きされますよ、ホントにw
まあ、後述する久美子のノンケをアピールする独白(笑)より、久美子はまだ恋を自覚したことがなくてその気持ちがわかりません。更に、今は音楽で手一杯だと、一応情状酌量しておきますけど・・・・。
●葉月は本当に鋼鉄メンタル?
ただ、葉月の方もそんな久美子の失言を全く気にしませんでした・・・・葉月マジ鋼鉄メンタルの大天使!って可能性もあるのですが・・・・
8話の葉月が告白するシーン、薄暗く何の変哲もない感じになっています。なのに、葉月が振られた後のシーンは、湖面に揺らぐ街の光が凄く綺麗でした。
秀一に「ごめん」と言われた後、
「・・・・そっか・・・・よし、わかった!」
葉月のこの言葉に合わせて、湖面に揺らぐピンボケたした青白い街の光、街の形がわかるくらい湖面にくっきり映ったその光、そしてまたピンボケして揺らぐ光が映されます。
最初と最後は一応ピンボケしてますが、失恋の悲しみの演出には見えません。葉月が本気で秀一に恋をしていて、両思いになるために告白していたなら、告白シーンと振られた後のシーンが逆だと思います。
あと告白の言葉もあんな投げやりな、当たって砕けろ的なものになってなかった気がします。
だから、「湖=停滞した水=停滞した心≒中学の時の心残り」で、中学時代に勇気が持てず言えなかった告白をして、やっと振られることができた、吹っ切ることができた、そんな感じに見えます。
まあ、ここら辺は葉月自身もその本当の気持ちに気づいてなくて、まだはっきりと自覚できてないのかもしれませんが・・・・。
ただ、8話時点では、判断材料が少なくて何とも言えなかったのですが、今回の葉月の鋼鉄メンタルっぷりを見てると、やっぱりこう解釈したくなるんですよね・・・・。
●帰り道の公園で
話を戻して、その日の帰り道の公園で、葉月が失恋のことは気にしないよう緑に言って、久美子も二人の話につき合います。
「(前略)ああ〜、あの時を止めたい。愛と死以外にも歌はあるのですぅ」
「何の話?」
でも、緑はこう言って自責の念を消すことができません。5話レビューなどで書いたように、緑にとっては「友達>音楽」であり、緑の音楽に対する情熱は勢いだけというか、軽い嘘っぽいものであることが演出されています。
だから、音楽に関しては葉月の心に全く届いてないことが葉月の返しからもわかりますw
「とにかく、私、こうなって良かったって思ってるからさ。ほら、ああいうのって(中学の時の葉月みたいに)独りだとどうしても勇気がなくて、ずっと悩んじゃうでしょ?だから、背中押されて良かったよ。(後略)」
更に、葉月はこう言いながら、ブランコの吊り具に手を伸ばします。この時、葉月はブランコの吊り具を掴んで、ブランコに片足乗せますが、ほぼ自分の力で立っている状態でした。
なので、これらのことを葉月はちゃんと受け止められていて、鋼鉄メンタルなのではなく()に書いたような意味が込められているのだと思います。そうすると、上に書いた葉月の解釈にもピッタリ当て嵌まりますし。
「ね、久美子もそう思うでしょ?・・・・ほら、だからもう気にしないで。私、本心でそう思ってるから」
でも、葉月はこう続けながらブランコを漕いで、半ば振られるとわかって、振られるために、告白したせいで緑と久美子に迷惑をかけてしまったと、ブランコのように葉月の心が揺れていることが演出されます。
(だから、葉月はこの後の電車のシーンで、久美子に告白したことを謝りました)
でも、葉月は「勢いがついたブランコから飛び降りて=そんな思いを振り切って」、緑を元気付けるために
「元気出して、緑ちゃん・・・・『これも』好きなんでしょ?」
「勿論です、死ぬほど集めてます」
こう言いながら緑にコントラバスのマスコットを渡します。そして、緑も嬉しそうにそれを両手で包み込むのでした。
ただ、『これも』ってことは緑がずっと当てようとしてたのはコンバスじゃないってことで・・・・この詳細はまた後で。
●電車の中で
その後、緑と別れ、葉月と久美子が電車で話します。ここで葉月が告白のことを謝るのですが、本当に鋼鉄メンタルだからこう言えてるのだとすると鋼鉄メンタルすぎると言うか、葉月だけ余りに突出した大天使にってしまいます。だから、バランス感覚的にも上に書いたような話があるんじゃないかな〜と・・・・w
●麗奈が北宇治にきた理由
その後、久美子が自室でサボテンと話していると(笑)、姉の麻美子が入ってきます。3話レビューで書いたように、麻美子が久美子の「部屋=心」に入ってきてくれているのに、久美子が心を閉ざしている、そんな演出に見えるんですよね・・・・。
そこで麻美子は滝が凄い先生だと噂になってると言い、
「(前略)今にその先生目当てで入部してくる子とか出てきたりしてね」
こんなことを言います。そして、久美子はこの言葉から滝を凄いと言っていた麗奈のことを思い出します。どう見ても麗奈が北宇治にきた理由の暗示にしか見えない訳ですが・・・・w
●久美子はノンケ
その夜、久美子がスマホで緑と話していると、緑が久美子のことを"大人っぽい"と言い、
(多分それは、あの麗奈との夜があったからで・・・・自分でも処理しきれないような、意味不明な気持ちと戦いながら、どんどん前に進もうとする麗奈の姿に、私は感動したんだ・・・・秀一とはまだ話せないままだけど)
久美子はこんな独白をします。
これを、麗奈の姿に感動したのに、秀一に会うと湧いてくる(麗奈が言っていたものとはきっと別ものですけど)意味不明な気持ちとは戦えないままだった、と解釈すれば久美子はノンケとなります、一応w
麗奈との夜(意味深)と解釈すると真逆になりますけどw
●緑はチューバがしたかった?
その後、学校で緑が葉月にチューバくんをプレゼントします。そしてここでの会話より、緑がガチャガチャで狙っていたのはチューバくんだと思われます。
更に今回、久美子がオーディションを恐いと思い、麗奈がソロパートを香織から勝ち取ります。
なのでこの三つのイベントが重なってるのに意味があるなら、緑は本当はチューバがしたかったけど中学の時オーディション(他人との衝突)を避けるためにコントラバスで妥協した
、のかなと思ってみたり・・・・。
あと、緑がチューバくんを当てるところが映されませんでした。だから、前に葉月がクラスの子がチューバくんをダブらせてると言っていて、緑はその子と交換した=運や金頼みではなく自分の交友関係で取っていた=友達作りに関して成長することができた、と信じたいところです。
そして今回のコントラバスとチューバくんの交換で、葉月と緑が上手く友達になれてたら良いなw
(恋愛が上手くいかなくても葉月は部活を続けられるのか?とか、緑がかなり空回ってるところとか、二人の友達関係は見ていて危なっかしいんですよね・・・・)
●一級フラグ建築士・・・・
一方その頃、渡り廊下では香織と晴香が話していました。
「(前略)三年間やってきたんだもん、最後は吹きたい。自分の吹きたいところを、思いっきり」
「じゃあダメだった時はお芋買ってあげる」
「夏だよ・・・・?」
「だから、私が探し回らなくても済むようにして」
「ふふ、変な励まし方・・・・」
そしてこんな立派なフラグを立てた上に(1フラグ)、丁度雨が降り出して(2フラグ)、
「流石部長・・・・みんな言ってるよ、部長の雨女っぷり半端ないって」
(=そんな雨女が応援する方が雨≒涙になる)
香織がこんなことまでつけ足して(3フラグ)、磐石の負けフラグを立てるのでした・・・・まあ、1話時点でOPに盛大なフラグが立ってましたけど(4フラグ)・・・・。
●サブタイの意味その一
また、ここでの香織の話しっぷりから、香織は今まで部内の衝突を避けることばかり気にして、練習を疎かにしていました。だから、お願いではなく「おねがい」と漢字も書けない子供のように、はじめて本気でオーディションに取り組んでいて、サブタイはそんな香織を指していました。
●いくら久美子でも・・・・
翌日、久美子が早めに家を出て朝練にいくと、楽器室に葉月と緑もやってきます。告白したことで中学の悔いを吹っ切れて、葉月が音楽に集中できている演出、だと良いな・・・・。
その後、久美子が校舎裏で個人練習していると、一瞬あすかと間違うほど上手なユーフォの音が聞こえてきます。でも、久美子が音の主を覗きにいくと夏紀で、その上達ぶりに久美子は夏紀の本気を感じ取ります。
(みんな吹きたいんだ、コンクールに出たいんだ・・・・そんな当たり前のことを、私は、やっと理解した・・・・同時に、先輩達と競い合わなければいけないことを、恐いと思った)
そして久美子がこんな独白をするのですが、今回一番悩ましいのがここです。
これを普通に受け取ると、久美子は中学の時に何故上級生と衝突したのかすらわかっていなかったことになります。そして、麗奈などごく一部を除いて、他人に全く興味がなく、相手にも心があるというのを知識では知っていても、全くその実感がありません。だから、ほとんど相手の気持ちがわからないのです。
・・・・でも、いくら久美子が葉月とかにアレだからといって、流石にそこまでじゃないと思うんですよね・・・・。
だから、夏紀は最初無気力でしたし、今までオーディションへの思いをあまり表に出していません。そのせいで、久美子は「夏紀はそれほどオーディションに出たくない=自分が勝ったせいで夏紀が落ちても気にする必要はない」と、安心しきっていました。
しかし、(それは夏紀が自分より上手い久美子を尊重してくれていただけで、)夏紀も本当は受かりたいのだと久美子もその気持ちを理解してしまいます。
そして、それは他の最初無気力だった先輩達も同じだと、久美子が受かるということはその中の誰かが落ちることだと実感し、オーディションが恐くなった・・・・のだと思います・・・・多分w
●サブタイの意味その二
これらより、無気力だった自分を改め、はじめて本気でオーディションに取り組んでいる夏紀にも今回のサブタイがかかっています。
そして、最初無気力だった先輩達も大会に出たいのだと理解した上で、それでも自分が受かるためにそんな先輩達と競うのだとはじめて実感した久美子にも、同様にサブタイがかかっていると思います。
●麗奈との約束
話を戻して、その後、楽器室で不安そうにしている久美子を見た麗奈が
「私も頑張る。だから頑張って・・・・私も頑張るから頑張って!・・・・約束」
と言ってくれました。そして、久美子がオーディションで心が折れかけた時、この言葉を思い出し、何とか実力を出すことができたのです。
(自分の番が長かったのか短かったのかは、よくわからなかった)
また、オーディション中に、久美子がこう独白する時、窓の外から久美子達を覗く視点になります。部屋の外から中を窺っているような、自分の状況がよくわからなくなっている久美子の様子が演出されていました。
●安定の滝
数日後、オーディションの結果が滝ではなく副顧問の松本から発表されます。松本は多分音楽に詳しくなくて、松本なら「文句があるなら滝先生に」とワンクッション置けるからと、嫌な役目を押しつけている・・・・くらいしか滝がこない理由が思いつきません。
なので、相変わらず滝の汚い大人っぷりが演出されていましたw
そして最後にトランペットパートのソロが麗奈だと発表され、不穏な感じになったところで、10話レビューに続きますw
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(サボテンとは科が違う)
恐らく名前で購入したんでしょうね(笑)
形状からユーフォルビア・オベサ(Euphorbia obesa)とユーフォルビア・シンメトリカ(Euphorbia symmetrica)が該当しますが、オベサの方は成長すると縦に伸びて短いうまい棒のような形状になってしまいます。久美子の物はTV的にも恐らく球状を保ち続けるシンメトリカではないでしょうか。
お値段的にはシンメトリカの方がややお高めのようです。
四方山話失礼しました。
「ユーフォルビア・シンメトリカ」でググってみましたが、仰られるように、久美子が「ユーフォニアム」に似た名前だから買っていたと解釈するのがベストのようです。
この種はサボテンに近い=トゲや多肉植物の性質を持っているようなので、1話レビューで書いたサボテンの解釈もそのまま使えそうですし。
僕は園芸や音楽のことはあまりわからない脳筋なので、何かありましたらご指摘頂けると助かりますw
こんな感じですが、宜しければまたお越し下さい。