【響け!ユーフォニアム12話】ifの世界。葵と麻美子は、久美子のBADルート【感想・考察】


響け!ユーフォニアム #12「わたしのユーフォニアム」

さて、地獄を彷徨っていた久美子が今回やっとグッドルートに分岐しました。でも同時に、幼馴染の葵と姉の麻美子を通して、もしバッドルートに入っていたら? というifのケースも提示されていました。

●吹部に未練のある葵

ある日、久美子が下校していると、公園で葵に出くわします。

「ねぇ、全国行けそう?」

そして、夕闇に浮かび上がる街灯の中で、葵からこんな話を振ってきます。吹部に関する話題は、街灯のように明るくて、葵が自分からその話題を振ってしまうほど気になっていることが演出されています。

一方、一通り吹部の話が終わると、葵は塾があるからと立ち去ろうとします。でも、久美子が夕闇に消えていくその背中に

「葵ちゃん・・・・吹部辞めたこと、後悔してない?」

と問いかけると、葵は

「してないよ。全然してない。私は吹部より受験の方が大切『だった』から。多分、部のゴタゴタがなくても辞めてたと思う。私には続ける理由がなかったから」

冷たい暗がりの中で、久美子から目を逸らし、俯いてこう答えます。そして、久美子は「明るい街灯=輝く吹部の暗示」の中で、その話をただ黙って聞くことしかできませんでした。

これらが吹部に未練を残している葵の演出になっていることは説明する迄もないでしょう。

●葵は久美子のバッドルート

でも、1話レビューで書いたように、久美子も1話では吹部に入るのを止めようとしていました。

久美子がユーフォニアムをはじめる切っ掛けだった麻美子が受験のために音楽を止め、中学では下らない上級生と衝突し、

『久美子もユーフォを続ける理由を見失っていたからです』

でも、麗奈や滝が切っ掛けになり、"適当に楽しい思い出が作れれば良い"という吹部の『世論』が「全国大会に行けるほど上手くなりたい」というものに変わりました。

久美子が吹部を続けられたのは、麗奈や滝がそんな環境を作ってくれたから=下らないしがらみではなく上達した者が報われる環境に巡り会うことができたから、です。

だから、もし去年滝が吹部に来ていたら、葵は吹部を続ける理由を見付けられていたはずです。

そしてもし、久美子が葉月や緑と出会わなかったら、滝が来るのが一年遅かったら、久美子も吹部を続ける理由を見付けられないままだったはずです。

更に、1話レビューで書いた『地獄のオルフェ』――下らない『世論』により地獄に行く羽目になったオルフェ(久美子、香織など)の再生が、(現時点では)この作品の主題です。

だから、『世論』に失望しつつも抗い続けた香織(11話)や久美子(11〜12話)は、『世論』が再生したことでその『世論』に背中を押され、地獄から生還することができました。

でも葵の思いと『世論』が余りにズレていたため、葵は『世論』への失望が去年の段階で絶望になり、『世論』の再生を許すことができませんでした。

『葵や去年辞めていったやる気のある部員達を地獄に引き摺り落としておいて、のうのうと全国に行きたいと手の平を返した世論を、葵は許すことができませんでした』

これらより、葵はバッドルートに分岐した場合の久美子のifとして描かれていると言えます。

●麻美子もバッドルート

同様に、久美子の姉・麻美子も、久美子が通り得たバッドルートとして描かれています。そして、

「音大行くつもりないのに吹部続けて何か意味あるの?」

麻美子のこの台詞が、(おそらく)麻美子が音楽を止めた理由です。麻美子も葵も、好きなこと(吹部)より実利(受験)を選んだのです。
(葵の場合、この要素はおまけみたいなものですけど)

『人はパンのみにて生くるにあらず』

なのに、悲しいかなXXXXな現実はそれを許そうとはしません。そして自らパンのみで生きることを選んでしまったバッドルートが、麻美子と葵によって描かれているのです。

●麻美子が久美子を気にする理由

なので3話レビューで書いた「麻美子が久美子の部屋に入ってくる理由」が少し変わります。

吹部を止める決心が遅かったせいで志望大学に行けなかった麻美子が、久美子もそうならないよう心配して、頻繁に久美子の「部屋=心」に足を踏み入れている、と解釈すれば変わらないのですが・・・・

多分、麻美子は吹部に未練があります。だから高校に上がった久美子が吹部に入り、しかも前より熱心に取り組んでいることがかなり気になっています。麻美子が久美子の「部屋=心」に頻繁に足を踏み入れているのはおそらくそんな理由です。

「音大行くつもりないのに吹部続けて何か意味あるの?」

なのに、麻美子はこんなことを言ってしまい、久美子に「部屋=心」の外に締め出されてしまいます。

ただ、3話レビューで書いたように、久美子も本当は麻美子に音楽を再開して欲しいと思っています。

だから今回遂に、久美子は家でユーフォを吹き、(麻美子に)そんな思いを主張しはじめるのでした。

といったところで、以降は本編を追っていきたいと思います。

●後藤は不機嫌?

OP明けて、滝が"162小節目からユーフォもコンバスとユニゾンできませんか?"と聞いてきます。

そこで緑が久美子に対象部分の楽譜を見せに来ますが、久美子は目が霞んでそれをはっきり見ることができません。これは久美子がオーバーワーク気味なことと、対象部分が「よく見えない≒よく理解できない=難しい」ことの暗示です。

そしてサブタイキャッチの後、廊下に設置された水道で顔を洗う後藤が映されます。でも、後藤の「顔=表情=心」が隠され、後藤が何か隠さなければいけない「思い=水」を溢れさせている演出・・・・に見えます。

「うーん、ここかぁ・・・・確かに難しいよね」

同じ頃、低音パートの練習教室で梨子が(おそらくユニゾン部分の)楽譜を見ながらこんな感想を漏らします。よって、チューバはそこを吹いておらず、今までそこはコンバスパートだけが担当していたのだと思われます。

また、この時梨子が扇ぐ団扇の風に楽譜がなびいていて、ここでも「楽譜が見難い=音符がよく見えない≒難しいパート」であることが暗示されます。

そこに後藤が戻って来て、

「まあでも、先生の言うこともわかる。ここはちょっと音の厚み、弱かったしな」

険しい顔でこんなことを言いながら席に着きます。

よって、おそらく後藤は滝がチューバではなくユーフォに、後藤達ではなく(あすかと)久美子に難しいパートを割り振ったことに不満を感じているのです、多分。

●あすかが心を開くのは・・・・

しかし、あすかはそんな難所を難なく吹きます。またこの時、あすかは久美子達のところまで席を移動していて、心の距離を縮めるために頑張ろうとしていることが窺えます。

でも、その演奏を聞いても久美子が(麗奈の演奏を聞いた時のように)感銘を受けていないので、あすかが心を開くのは二期になってからなのかな、と思ってみたりw

「あすかが(久美子を)上手く教えてあげられれば良いんだけど・・・・」

後に香織がこんなことを言うのも、そんなあすかの演出です。

●緑と夏紀と葉月

そして、あすかに続きその難所を吹こうとする久美子の様子を、緑と夏紀が横目で心配そうに窺います。更に、演奏をはじめ苦戦する久美子を、葉月が心配そうに振り返り、夏紀は困ったように首の後ろを手でかきます。

よって、まず緑は心配はしても久美子の力になろう=何かアドバイスをしようと思っていません。この詳細は後述します。

夏紀と葉月は苦戦している久美子の力になりたいと思いますが、久美子より下手なので何も言うことができませんでした。夏紀はそのことをもどかしく思っていることが手の動きで演出されています。

●蝶々の演出

そんな訳で、久美子は一人で個人練に行くのでした。

校舎裏で久美子が練習をはじめる時、花の蜜を吸う蝶々が映されます。これは「大空に飛び立とう=より上手くなろう」としている久美子の演出です。

ただ、久美子はコンクールに間に合わせることができず、後のシーンで滝に"コンバスとのユニゾンはあすかだけで"と言われてしまいます。

(それは一瞬だった。反論の隙も猶予もなく、先生はそれだけ言うとすぐ演奏に戻った。そう。これは関西大会進出を賭けた戦いなのだ)

そこで久美子がこう独白する時、蜘蛛の巣に捕まった蝶々が映されるのは、最初の蝶々の演出を受けてのものです。

●久美子と麗奈

話を戻して、そんなところに麗奈がやって来て、久美子を励まします。あすか達は上に書いたような状況なので、現状久美子を励ますことができるのは麗奈だけでした。

そして、刺すような夏陽に活気付く草むらの草いきれ越しに

「ねぇ、麗奈。私、上手くなりたい。麗奈みたいに」

久美子が麗奈にこんな告白をするところが映されます。全力で上手くなりたいと思って全力で練習している二人が、力強く演出されていました。

また、このシーンで草木の緑が多く映されるのも、同様の演出です。

●本来の久美子

麗奈が帰った後、合奏練習の時間が近づいても、久美子は一人で練習を続けます。そんな久美子を心配し、緑がやって来ると、久美子はオーバーワークで鼻血が出ていることにも気付かないまま練習していました。

だから久美子は、緑と葉月に付き添われ保健室で休むことになります。

でも、少し休んですぐ練習に戻ると言う久美子に葉月が

「久美子、最近熱いよね。(後略)」

とこんな感想を言って、

(熱いのか、冷めているのか・・・・そもそも今までの自分はどんなだったのか?
とにかく、あのオーディションの麗奈を見て、あの音を全身で受け止めてしまってから、私は完全に犯されてしまったのだ。上手くなりたいという熱病に)

久美子はこんな独白をします。

『世論』に惑わされ自分を見失っていた久美子が、気付かないうちに本来の自分に戻っていることが窺えます。

また、この時湖畔で練習する久美子の側で、「湖=停滞した水=停滞した心=世論に惑わされ立ち止まっていた久美子の心」が風に流され大きな流れが起こっているところが映されます。

独白の通り、久美子の停滞していた心が、勢いよく流れはじめたことが演出されていました。

あと久美子の独白が「麗奈に犯されてしまったのだ(意味深)」としか聞こえない人は落ち着いて一緒に素数でも数えましょうw

その後、学校帰りに久美子が葵と話したり、家で麻美子と話したり。

●滝の本心は?

翌日、全体練習でコンバスとのユニゾン部分について、滝が久美子に

「本番までにできるようになりますか?・・・・本番でできないということは、全員に迷惑をかけるということになりますよ。もう一度聞きます。できますか?」

こう確認しますが、久美子は

「はい、できます!」

と答え、滝は俯き眼鏡を反射光で曇らせながら「わかりました」と答えます。

目は口ほどにものを言う、との言葉のように「目=心」の暗示で、滝が本心を隠している演出です。

よって、滝は久美子がこう返事したことが嬉しかったのです。だから、おそらく久美子の練習がコンクールに間に合わないだろうと思いつつ、その次の関西大会を見据えて、滝は何も言いませんでした。

何故なら、そもそもどうしてコンクールの差し迫ったこの時期にこんなことを言い出したのか? もっと前から言っていれば、久美子だって十分な練習時間を取り、間に合わせることができたはずです。

それは11話の再オーディションで久美子だけが、立ち上がってまで麗奈に投票し、音楽に真摯に向き合っていることが滝にもわかったからです。

だから、もうユーフォパートにもギリギリの分量を振っていて、コンバスとのユニゾンは普通の部員ではユーフォにだけ負担が偏っていると不満を持つレベルなのだと思います。

でも、麗奈と同じく真摯に音楽に向き合っている久美子なら、それでも上を目指そうとする、吹こうとしてくれる。と、滝はそんな思いでユーフォに追加パートを振ったのだと思います。
(あすかは練習しなくても難なくこなすでしょうし)

●草木と積乱雲

その後、また久美子と麗奈が校舎裏で練習しますが、この時の草木(や、天に向かって膨れ上がるような積乱雲)も、全力で成長しようとしている二人の演出です。

●麗奈の成長

Bパート、麗奈が香織と優子に"再オーディションの時生意気言って済みませんでした"と謝ります。香織の去年の境遇や、それがあったから退けなかった優子の思いを知って、麗奈も少し『世論』を受け入れることができたのかなと思ってみたり。

●緑と葉月と久美子の関係

その後、晴香の話を挟んで、低音パートの練習教室で、テーピングだらけになった手のことで、緑と葉月が話しています。

しかし、久美子が追加練習しているのは元々コンバスのパートで、緑と練習するのがベストに思えます。でも、後述しますが、緑は久美子を心配はしても、一緒に練習するつもりはありません。だから久美子は、あすかや梨子と練習していました。

でも、その次の全体練習で、コンバスとのユニゾンパートから下ろされ、久美子はかなり落ち込んでしまいます。

だから緑と葉月は、そんな久美子を励ますために、駅のプラットフォームで一緒にメロンパンを食べようと言ってくれました。

そして緑は、月に見立てたメロンパンを目一杯掲げ

「久美子ちゃんは月に手を伸ばしたんです。それは、素晴らしいことなんです」

こう言って久美子を励まします。黄色は憧れの暗示を持つ色で、黄色く手の届かない月はまさに"憧れ"の暗示です。

更に、今回の冒頭からずっと、緑は久美子をかなり気にしています。

よって、11話レビューでは、緑は久美子を快く思っていないと解釈しましたが、ちょっと違っていました。

緑は「友達>音楽」で、だから弱小の北宇治にやって来ました。でも、音楽への意欲を度々語ってもいて、真摯に音楽と向き合う久美子に憧れてもいたのです。

だから、ゆるく友達と音楽を楽しみたい緑は、ガチ勢の久美子や麗奈に憧れてはいても一緒に上は目指せないと、何処かで一線を引いています。久美子を心配しつつも、練習の手助けをしようとしなかったのはそのためです。

そして緑は、久美子の方も一線を引いていることに気付いていますが、きっとそれは互いに仕方のないことなのだと考えているのだと思います。

そんな訳で、思ったよりは良い友達関係を築けているのかなと思ってみたりw

●久美子生還!

その後、帰り道の橋のところで、久美子と秀一がイチャついて、痴話喧嘩も相まって

「悔しくて、死にそう」

久美子は麗奈が1話で言っていた、こんな思いを知ることができました。

そして、ここで『地獄のオルフェ』の曲のラストが流れ、遂に久美子が地獄から生還できたことが演出されていましたw

また、滝がこんな感じで久美子の向上心を煽り、

「貴方のできますという言葉を、私は忘れていませんよ」

更にこう言って久美子の向上心をより高めるためにコンバスとのユニゾンを言い出したのだとしたら、久美子を手の平でコロコロさせたホントに有能な指導者なのかな〜と思ってみたりw

そして最後は久美子が麗奈を夜のデートに呼び出して、二人がキャッキャウフフしたところで、いよいよ最終回(13話)レビューに続きますw


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2015年06月25日 03:03 by 元会長
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