さて、まだ本編は観られてませんが、ネットで感想とか見ていたら気になることがあったので、僕のデタラメ科学を駆使してちょっとだけ与太話をしたいと思いますw
●現在における時速25万km
どうやら「時速25万km」の乗り物(試作宇宙船?)が登場するようなのですが、それが速いのかどうかを考えてみたいと思います。
最初に見た時は"!!?"と、(地球上で)そんなのに乗ったら慣性で死ぬのでは?と思ったのですが、飛行機ではなく宇宙船(?)の話でしたw
(何せ時速25万kmといえばマッハ204です。イメージ的にはちょっと旋回でもしようものなら、慣性で体中の血管が破裂しそうですw)
でも軽くググってみると、25万kmというのは今のところ最速である宇宙探査機・ヘリオスの速度で、多分そこから取っているのだと思います。
なので、火星にまで進出した近未来の割りに、控えめといえば控えめなスペックかもしれません。
●速度が上がると・・・・
というのも、大気圏内でマッハ204というなら別ですが、(空気)抵抗のない宇宙だと一度加速したら(ほぼ)減速することがなく、エンジンを吹かせば吹かすだけどんどん加速していくからです。
ただ、相対性理論より、ある物体を加速していくと、速度に比例してその物体の質量が増加します。
また、正式な計算式は難しすぎてやってられないので(笑)、
K=(1/2)mv^2
(運動エネルギー=質量*速度^2)
に当てはめて、いい加減な概算でイメージを掴もうと思うのですが・・・・
この式より、例えば、静止してるところから、質量2kgの物体を時速1kmに加速するには
(1/2)*2*1^2
=1(kg(km/h)^2)
で済むのですが、時速1kmから2kmに加速するには3(kg(km/h)^2)のエネルギーが必要です。時速10kmから11kmだと21(kg(km/h)^2)になり、後述する時速25万kmから25万1kmに加速するには、50万(kg(km/h)^2)ものエネルギーが必要になります。
だから、速度が高いほど加速に必要なエネルギーは莫大なものになっていきます(正式な計算式でもこの傾向は一緒です)。
●エネルギーの概算
それらを踏まえて、例えば、質量を固定して質量2kgの物体が時速25万kmと時速25万1kmの時に持つエネルギーはそれぞれ
(1/2)*2*(25万^2)
=625億(kg(km/h)^2)
(1/2)*2*(25万1^2)
=625億50万1(kg(km/h)^2)
となります。そしてその差は
50万1≒707^2
なので、時速25万kmから1km加速するには、静止した物体を時速707kmまで加速するのと同等のエネルギーが必要になります。
●もう少し厳密に
更に厄介なのは、速度を上げるとその物質の質量が増加することです。そして加速による質量の増減は以下の式で表されます。
M=M0/(√(1−V/C))
M:速度Vの時の質量
M0:静止時の質量
C:光速(≒時速10億8000万km)
なので、厳密にこれに当てはめて各状態のエネルギーを算出すると・・・・
・時速25万kmの場合
M=2kg/(√(1−25万/10億8000万))
M=2kg/0.9998842525605244
M=2.000231521676992kg
K=(1/2)*2.000231521676992*25万^2
K=625億723万5052
・時速25万1kmの場合
M=2kg/(√(1−25万1/10億8000万))
M=2kg/0.9998842520975078
M=2.00023152260324kg
K=(1/2)*2.00023152260324*(25万1)^2
K=625億773万5140
となり、時速25万→25万1にするには
625億773万5140-625億723万5052
=50万88(kg(km/h)^2)
という莫大なエネルギーが必要になります。
そして、ここから時速25万2kmに加速しようとしても、Mが更に増加し、もう50万88では1km加速することができません。
だから速度が上がるにつれ、+0.9km・・・・+0.8kmとどんどん加速できなくなり、いずれそれ以上加速できない速度に収束します。
・・・・あと、近いうちに時速72万kmとか出す宇宙探査機の計画もあるようですし、本当に速度だけに特化した探査機を作って、速度だけを考えたコースを通せば、多分簡単に越えられるとは思います、多分。
例えば、太陽を観測するなら太陽の衛星軌道に入るために、そこまで燃料を温存しなくてはいけません。観測機器を載せるために燃料を減らせば、その分速度が落ちます。いつまでに観測を開始しないといけないという制限もないので、六ヶ月で駄目なら一年かけて太陽に到達すればいいだけです。
そういった諸々の理由で、宇宙といえどそう簡単に加速し続けることはできないのです。
●結論=やっぱり凄い(?)
じゃあ、近未来設定なのに時速25万kmはしょぼいのかと言うと、そういう訳でもありません。
まず、上に挙げたヘリオンは無人機で、パイロットの女の子の体重を40kgとすると、それが丸々ハンデになります。
最初は野郎の教師(?)が乗ろうとするらしいので、体重の重い野郎だったら失敗していましたねw
更に、ヘリオンの重量は371kgしかありませんが、宇宙船(?)はそれより重そうに見えます。なので、その重量差も考えると、ヘリオンの数倍の出力はある気がします。
何より、現在の探査機は打ち上げ時に多段式ロケットを使っていて、(多分)それによる加速がかなりの割合を占めています。
現在日本の主力(?)H-UAロケットは全長53mもあり、その大半は切り離し式のブースターです。
なので大型車程度の機体で、現在の長大なロケットと同性能と考えるとやはり未来のオーバーテクノロジーと言えるのではないでしょうかw
(まあ、舞台は火星らしくて、火星の重力は地球の重力の1/4程度なのでだいぶ相殺されるのですが、それを考慮した計算は面倒臭すぎるのでやりませんw)
といったところで、嘘科学の与太話を終わりますw
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