さて、今回はチャドーのようなワビサビ深い文学めいた回でした。忍殺語混じりで書くとなんかそんな気がしなくなるのがアレですが・・・・w
●カギがヤモトを助けた理由
そんな訳で、まず最初に見ていくのはカギがヤモトを助けた(カラテを教えた)理由です。そしてそれは、
『正義のニンジャ=ヤモトに殺されることで、罪人として裁かれ少しでも罪を償って死にたかったから』です。
単にヤモトを鍛えることが目的なら、殺される必要がありません。ヤモトに同情して力になりたかったのなら、殺して欲しいなんて逆にヤモトを苦しめるだけです。
なので『贖罪』としてヤモトに介錯されたかったと考えるのが一番しっくりくると思います。
●ヤモトが泣いた理由
「いいか、慈善事業じゃない。俺が、俺の我がままにお前を付き合わせてるんだ」
そうすると、サブタイキャッチ後の道場でカギが言ったこの台詞が、ずばりカギの本心ということになります。
「(前略)お前自身が倒すんだ、『敵』を。ああ、涙を拭け」
そしてその後カギがこう言うと、ヤモトは俯いて涙を流してしまいます。カギ(の中の人)の演技も『敵(=カギ)』のところだけ特別な感情を込めてるっぽいですし、カギがそういった意味を込めて言っていることが窺えます。
そしてヤモトもそれが伝わっていたから、カギが介錯してくれと言っているとわかっているから泣いてしまったのだと思います。
●後ろ髪引かれる思い
その後カギとヤモトがご飯を食べている時に、テレビを見てヤモトが笑います。それだけ気を許している、カギの傍なら笑うことができる、そんなヤモトの気持ちが演出されていました。なので、ヤモトの笑い声が凄く切ないです・・・・。
更にこの時、ヤモトは「餅」を食べていて、カギとの生活に対する未練が伸びてひっついて処理できないことが演出されています。
「なあ、ひと段落着いたら、京都に行くとか考えないか。(後略)」
「行くところなんてないよ(=カギのところが良いよ)」
「そのうちで(きるさ)、グッ・・・・」
だからヤモトは次のこの会話で、()に書いたような意味を込めて話しているのだと思います。でも、カギは新しい居場所ができると別の希望を示そうとして「その途中で吐血してしまう=ヤモトに居場所なんてないという暗示がかかってしまう」のでした・・・・。
しかも、そこでカギのスマホにヤモトを狙う追っ手が動き出したとメールが入り、カギはヤモトに家を出て逃げるように言います。
「オタッシャデ・・・・ありがとう」
そしてヤモトはこう言ってカギの家を出て行きますが、「顔=表情≒心」が映されず、
「(俺の介錯)頼んだぜ・・・・」
と返すカギに何も言わず、部屋を出て行くドアの音だけが聞こえます。
(頼まれてくれたかね・・・・)
そしてカギは、その音を聞きながらこう心の中で呟くのでした・・・・。
●初めまして
「ドーモ、初めまして。ヤモト=コキです」
だから、ヤモトはシルバーカラスに会った時、こう挨拶をしました。カギの望み通り、カギではなくシルバーカラスとして倒そうと決意していることの表れです。
(シルバーカラスが挨拶を返すと、ヤモトは俯き悲しそうな顔をしますし、正体に気付いてない訳ではないと思います)
●折れそうな心
そして二人は戦い始めますが、カギの願いを叶えようと心を押し殺して斬りかかるヤモトを
「(お前の刀が)折れるぞ・・・・なあ、止めろ。折角の、最後の、なんだ・・・・時間が来ちまうよ」
カギはこう気遣います。
また、サブタイキャッチ後のドージョーで
「(前略)イアイドーは即ち刀だ。お前の刀にお前のカラテを注げ。つまりお前が刀になるんだ。それがイアイドーの究極だ」
カギがこう言っているので「刀=ヤモト」の暗示です。
よって、カギのために心を押し殺しカギを斬ろうとしているヤモトの心が今にも折れてしまいそうで、カギが自らヤモトの刀を捌いていることが暗示されていました。
もし、カギが自分の贖罪だけを優先していたなら、ここで斬られることもできたはずです。でもカギはヤモトのためにそうはしませんでした。
●カギが救われた理由
「(カギを斬るなんて)できないよ・・・・」
「そうか、虫の良すぎる話だったな。お前まだ子供だったのに。結局タバコが吸えないままになったか。インガオホーだな。悔いはまあそのくらいだ。
・・・・お前のおかげだ。黙って地獄に行くさ」
そして二人はこんな会話を交わします。
カギは罪人としてヤモトに殺される贖罪を望みましたが、ヤモトはそれを拒否します。でも、それはヤモトがカギを必要としてくれている、カギは罪人なんかじゃないと許してくれているのと同じです。
だから最後に少しだけ誰かの力になれた、必要にして貰えた、それがカギの救いとなって、カギにこんなことを言わせたのだと思います。
●サブタイトルの意味
よって、13話レビューでは、サブタイトルの「スワン=ヤモト」と解釈しましたが、それは間違いでした。
死が間近に迫り罪の意識に苛まれるカギと、誰も頼る者がいなくて逃亡生活で疲れ果てているヤモト。
『そんな色褪せた(任意の)カラス達でも、白鳥の歌を歌うことができる(=ニンジャに身を堕とした者にも希望はある)』
という()に書いた含みがある、実に希望が垣間見えた(と信じたい)エピソードでした。13話レビューでも書きましたが、()に書いたような意味を含ませるためにサブタイが定冠詞「ザ」ではなく不定冠詞「ア」になっているのだと思います。
●ヤモトはカラス?白鳥?
あと、どうしてヤモトが13話の白鳥からカラスになってしまったかというと・・・・
まず、ヤモトがサードアイやカギと戦う時に、ドクロの浮かび上がった月の演出を受けているからです。11話レビューで書いたように、ドクロの月は「ニンジャソウルに心が侵食されかかっている暗示」です。
だから、強さを得ると同時にヤモトはニンジャソウルの悪影響を受けてしまっています。
なのでサードアイを斬るところもフラッシュ演出で描かれていました(1〜3話レビューで書いたように、フラッシュ演出は「(ニンジャソウルの邪悪な心に侵食されたり、フジキドのように心に迷いを抱えたりで)精神的に未熟な戦いをしている演出」です)。
ソードダンサーとサードアイ共に普通の絵で倒したシルバーカラスと比べると心の未熟さは明らかです。
(サードアイを倒したナイフにはハイライト(ニンジャソウルに心が侵食されている演出)が入っていませんでした)
しかし一方で、カギを斬りつけるとき、ヤモトはフラッシュ演出ではなく普通の絵で描かれます。更に、Cパートでもヤモトはザコのバイオヤクザ達を殺しませんでした。もしフジキドだったら容赦なく殺していたはずです。
なのでカラテを得て、ニンジャソウルの影響が強くなっても、ヤモトがまだそれを押さえ込んでいることも演出されていました。だから、できればドクロの月とか無視してヤモトは大丈夫と信じたいところです・・・・w
●乳母捨て
あと、Cパートのヤモトのカバンから覗く柄が白色になっていました。なのでカギの「ウバステ」を形見に持ってきたのだと思います。
すると「ウバステ=乳母捨て」で、カラテの使えない赤子から成長させてくれた「カギ=乳母」を助けられなかったヤモトの後悔の暗示になっていくのかな〜と思ってみたり・・・・。
だから13話レビューで書いた「タバコ=ストレス解消のために依存してしまうもの≒カギへの未練」の暗示がヤモトにもかかってしまっているのだと思います。
●桜の涙
あと、ヤモトがカギの蹴りで吹っ飛ばされた時だけ、涙が桜の花びらのように飛び散っていく演出が入っています。そして3話ラストでアサリに別れの挨拶をした時にも、この桜の涙の演出が入っていました。
よって、「桜≒ピンク色=ヤモトのハイライトの色≒ニンジャソウルの混じったニンジャとしての涙」の暗示です。3話ではニンジャの自分がモータル(一般人)のアサリ達と一緒にいたら戦いに巻き込んでしまうと、ヤモトはニンジャとして涙を堰き止めてアサリの元から立ち去りました。
でも、今回ヤモトは桜の涙を堰き止めることができず、ニンジャとしてもカギと戦うことを受け入れることができませんでした。更に、それ以降もずっと普通の涙を流し続けていて、一人の人間としても(家族のように思っていて?それとも淡く慕っていた・・・・とか)カギとの別れを受け入れられなかったことが暗示されています。
しかし、カギは病気で死んでしまい、ヤモトはソウカイヤから逃れるためにも立ち去るしかなくて、それが上に書いたウバステやタバコの暗示に繋がっていくのだと思います。
といったところで、そんなヤモト=サンが闇堕ちしないことを祈りつつ、15話レビューに続きますw
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ただ、白鳥の歌といえば(白鳥が死ぬ間際に歌を歌うという伝承から)遺作のことですからシルバーカラスによって鍛えられたヤモトのことでは?
確かに「swan song」は"辞世の歌"ではなく、『遺作』と解釈して、
『カギが最後の罪滅ぼしで(介錯されるために)鍛えたヤモト』
を指していると解釈した方がしっくりきますねw ご指摘ありがとうございます。
とすると、"一期一会"の方も、ヤモト視点の話で、いつかヤモトのピンチをジェノサイドが救う伏線だったり? なんて思ってしまいますが・・・・まあ、そっちは先の展開待ちといったところでしょうかw
こんな感じですが、宜しければまたお越し下さい。