第25話「Cinderella Girls at the Ball.」
さて、冒頭、シンデレラの舞踏会の準備に追われるアイドル達の様子を映しながら、
「魔法って何だろう・・・・? 魔法は」
「「「本当にあったのかな?」」」
島村卯月達のこんなモノローグが重なります。また、本編のラストの方でもこの問いが繰り返されていて、これがシンデレラガールズという作品のキーワードであることが示されていました。
よって、今回は、作中の『魔法』とは何だったのかを考えていきたいと思います。
●サブタイトル考察
まず、デレマスのサブタイトルには『魔法』という言葉が頻出する気がしますが、実際には
09話「"Sweet" is a magical word to make you happy!」
12話「The magic needed for a flower to bloom.」
15話「When the spell is broken...」
これだけしか登場していません。15話感想を書いた時から意外に思っていましたが、結局それ以降も増えることはありませんでした。
更に、「-cal」は「〜のような」という意味を付加する接尾辞で、9話の「magical word」は、ただ『魔法のような言葉』というだけです。
また、15話感想でも書いたように、15話のサブタイでは「spell」とわざわざ異なる単語を使用しています。なので12話の「magic」が『魔法』なら、15話の「spell」は『(呪文の)詠唱=346プロのサポート』であり、全くの別物でした。
よって、結局『魔法』という言葉が使われているのは12話だけということになります。
●魔法とは・・・・
では、12話の『(花が咲くために必要な)魔法』とは何だったのかというと、12話の新田美波の言葉
「(前略)みんなと出会って、そしたら、ユニットデビューが最初に決まって。嬉しかったけど、不安だった。
・・・・でも、不安は半分こできたから。一緒に不安を乗り越えて見えた景色は、とってもドキドキできるものだったから・・・・『冒険』して、一歩踏み出してみて、良かったって思えたから」
より、
『冒険するための一歩を踏み出す勇気』
です。
OP「Shine!!」の歌詞にあるように、
「この自分の靴で今進んで行ける勇気」
こそがデレマスの『魔法』だったのです。
24話感想などでは、シンデレラが魔女から与えられた他力本願な魔法の力(卯月の子供の頃に自分ではない誰かに憧れた気持ちと、武内Pや渋谷凛や本田未央への他力本願な思い)ではなく、そんな
『十二時をすぎ魔法が切れても、自分自身の勇気で歩き出した素足のシンデレラの物語』
だと解釈していました。
ただ、今回、
「魔法は本当にあったのかな?」
という問いが繰り返されています。
だから、童話シンデレラになぞらえて、もし『魔法』なんて力があるとすれば、
『普通の女の子(人間)が新たな一歩を踏み出す「勇気」こそが魔法と呼べるほどの力を秘めていたのだと、そんなデレマスの主題が繰り返し暗示されていました。』
だから、1話で卯月が武内Pに向けた笑顔が、勇気を出して凛に会いにいき凛に見せた笑顔が、21話で未央が凛に伝えた思いが、23話で凛が卯月にぶつけた思いが、ちょっとずつ互いの勇気を引き出して、魔法のような大きな力になっていったのです。
といったところで、あとは細かいことを何点か・・・・。
●美城常務は幽霊
現場の視察という名目でやってきた美城常務に、武内Pが
「私に見えて常務に見えないこともあれば、その逆もあります。渋谷さんとアナスタシアさんの別の可能性を、常務が示されたように」
こんなことを話します。
14話感想で書いたように、美城常務は意地悪な継母や悪い魔女ではなく、みんなが勘違いした幽霊の暗示を受けていて、一面的な悪役ではないことがここでも示されていました。
●3話のステージが今度こそ・・・・そして今でも・・・・
次に、ニュージェネレーションズの三人が舞台に飛び出るシーンがあります。この時、3話で三人が始めてステージに上がったシーンをなぞるように、ほとんど同じ画が映されます。
これは24.5話(SP2)感想で書いたように、
『3話では、それが自分達のステージだと実感できず、まるで童話の世界に迷い込んでしまったように感じていた三人の心が、バックダンサーであることで(あくまで城ヶ崎美嘉が主役として映される画面構成で)演出されていました。でも、今度は三人が主役のステージで、今はそれがちゃんと自分のステージなのだと受け止められるようになった三人の成長が演出されています。
更に、ステージに飛び出た三人が3話と同じように瞳を輝かせていて、3話で感じたステージの煌きは今も色褪せることなく三人の心の中とファン達が応援してくれる会場で輝き続けている、そんな演出にもなっていました』
●輝く日のために!
「魔法が本当にあるのか」
「魔法は何なのか、まだ、わからないけれど」
「一歩ずつ、この階段を」
「恐れず登っていこう!」
「繋いだ手の温かさ」
「「「その広がりは私達を、支えてくれるから!」」」
そして本編ラストでは、アイドル達が口々にこう言葉を繋ぎ、ステージ裏の闇の中でしっかりと光を放つ、武内Pのペンライトとアイドル達が持つ宝石のシーンに繋がります。
これまで繰り返しサブタイに暗示されたそれぞれの光が、今、確かに眩い輝きを放っている。アイドル達は『魔法=勇気』を持って進み続けていく、あの日夢見た『輝く日のために!』
そんな未来への道が、ラストに映された「お願い!シンデレラ」のステージに詰まっていました。
といったところで、これにて一旦アイドルマスターシンデレラガールズの感想・考察を終わりますw
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