さて、脚本の方を見た時から重い話になりそうだな〜とは思ってましたが、今回はサブタイトルからしてもう重いですw
しかも、サブタイトルにある「命の値段」がどうこうだって答えを(明確には)描いてないんですよね。だから、様々な命の値段を列挙して
『貴方は命の値段をどう考えますか?』
って問いかけるような作りになっていました。
●クーデリアの場合
そんな訳でまずはクーデリアの命の値段です。
コーラルやクーデリアの父など火星の搾取層にとっては、クーデリアは一個中隊を投入してでも消したいほど大きなマイナス値を持っています。
逆にノブリス・ゴルドンにとっては地球行きの莫大な投資をする価値のある英雄(として祭り上げるためのご神体)でした。
一方、三日月にとっては快く思っていない、どうでもいい相手から、鉄華団に資金を出してくれた恩人に変わっています。
(冒頭でクーデリアのことを回想したモブも同様でしょう)
ノブリス→クーデリア→鉄華団、という資金の流れなのに、クーデリアはノブリスに感謝をせず、三日月はクーデリアに感謝する、その対比がまた意味深です。
クーデリアにとっては生きるために必要な金じゃないんですよね。父の元から離反した時点で必要な金になっているのですが、クーデリア自身がまだそれを自覚できていないのです。一方の三日月はそれが生き死にを分けるまさに死活の金だと理解していました。
金なんかで命の値段は決まらない描写、としたいところですが・・・・世間知らずのお嬢様が逆に金で生き死にが決まる世界(に生きている三日月)を浮かび上がらせているようにしか見えないんですよね・・・・。
●クランクの場合
次にクランクの命の値段です。
「あの役立たずの愚か者が」
と毒づいたコーラルは勿論、MSの残骸を見て何の感情も抱かなかったマクギリス達(査察官コンビ)にとってはほとんど無価値と言っていいでしょう。
(鉄華団の面々にとっても同様です)
しかし、そんな中で、クランクの襟章の傍で悲しみに暮れるアインにとっては、重い、至高の命となっていました。
●同じ行動でも・・・・
よって、命の価値なんて流動的で定量的に量れるものじゃないんですよね。同じ立場の者達からは評価され、立場が離れるほどそれがどんどん下がり遂にはマイナスに反転する。だから、
『命の価値は行動によって決まりますが、どう評価されるかは相手次第』
というのがまた重〜い感じですw
クーデリアの命は火星の独立(?)を訴えた結果、
・搾取層からは莫大なマイナス評価
・ノブリスからは莫大なプラス評価
を受けました。
そしてクランクの戦士の誇りなんてものは大多数には評価されませんでしたが、同じ戦士であるアインにだけは、至高のものとして評価されたようです。
そして、これらを踏まえてどう生きるべきか? なんて(今のところ)作中では答えのない、重〜い物語的余白だけが残ってしまいましたw
●その他色々
その他にも、ノブリスはクーデリアを祭り上げるために死ぬその他大勢の命なんて何とも思ってなかったり、三日月にとっては、
クッキー&クラッカ>>ガエリオ(査察官その二)
だったり、ヒューマンデブリなんて奴隷まがいの設定が出てきたり、トドにとっては鉄華団の面々の命なんてどうでもよかったり(「あっ、ヒデーなー君ぃ、仲間だろ仲間」と相手の名前すら覚えてない有様です)、本当に色んな命の価値が列挙されていました。
●三日月も本当は・・・・
一方で、クーデリアは三日月に農作業の感想を
「良いところですね。汗を流して大地に触れていると、頭が空っぽになって、なんだかすっきりします」
こんな風に語っています。
知恵の実を食べ、常に悪知恵を働かせ、利害としがらみにがんじがらめの生き方でなく、ただ最低限の自給自足で『みんなが』満足できていれば、こんな風に命の価値について考えることもなかったのに・・・・。
(=鉄華団の面々の笑顔を奪ってしまうかもしれないとクーデリアが悩むこともなかったのに)
・・・・と解釈していいかはちょっとまだわかりませんがw
でも、1〜2話感想で書いたように、阿頼耶識(仏教用語)の暗示を受けた三日月がクーデリアの発言を肯定的に捉えていたので、それで良いんじゃないかな〜と思わなくもなかったり?w
三日月も、欲に凝り固まった連中が繰り広げる搾取レースに強制参加させられる世界でさえなければ、のどかな農園生活で満足していた、できるならそんな暮らしがしたかったと思っている演出、だと思うんですよね・・・・。
今回、それを強調するようなオルガ達の
「(前略)この時期ならいつも通り農園の手伝いを」
「みみっちいこと言いやがって・・・・しけてるぜ」
「デカい仕事には危険がつきまとう。まともな仕事ってのは地味なもんだろ」
こんな会話がわざわざ入れられていますしw
まあ、むさい野郎どものシーンより、女の子率が激高だった農園のシーンが好印象なのは当然と言えば当然ですけど!w
●本当の兄貴キャラは・・・・
あとは「デカい仕事」をしようとしているオルガと、生き残るために阿頼耶識で認識するままに生きようとしている三日月の距離が徐々に開いているように感じます。
オルガは今回のラストでは鉄華団のマークなんて実用性皆無のものにかまけていましたし、クーデリアを無事送り届けることで名を上げようなんて下心を口にしてますし。
(統治機構に歯向かって反体制組織の要人を護送したって、アレな業界では名が売れるかもしれませんが、企業イメージを気にするようなカタギの業界にいられなくなることだけは確かだと思いますよ・・・・w)
よって、3話感想で書いたような頼れる兄貴からどんどん離れている=生存フラグが積み上がっている・・・・ように見えなくもなかったり。
逆にアインの出番がまだありそうな雰囲気なので、クランクが兄貴枠だったって線が本当にありそうに思えてきたり・・・・w
といったところで、
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第05話「赤い空の向こう」
に続きますw
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