さて、今回のサブタイトル「いさなとり」とは「鯨漁」のことのようです。
更に、鉄華団の母船「イサリビ(漁火)」は、夜間、魚をおびき寄せるために船上で焚くかがり火で、それに釣られてやってきたタービンズとの大一番といった感じになっていました。
●生きるために！
そこで今回注目するのは、
・漁
・アトラの鍋とジャガイモ
・三日月と昭弘の汗
の三つです。
最初の漁は、生きるための糧を得る行為で、アトラの鍋は手に入れた糧を調理するものであり、ジャガイモも生きるために必要な糧(食材)の一つです。
また、熱く沸騰したり、凍てついて固まったり、川のように流れたり、湖のように停滞したり、移ろう瑞々しい水は『瑞々しい心の演出』です。
よって、三日月と昭弘の汗も、そんな瑞々しい心の演出になっていました。全く汗の浮いていないアミダ・アルカやラフタ・フランクランドのコックピットと比べたら、汗の浮いた三日月達のコックピットからは、目的のために全力を尽くしているという明確な意思が感じられると思います。
なので、今回はそんな躍動感、生きる意志が強調され明確に自分の意思で生きている鉄華団と、無機質に仕事を遂行するタービンズが対照的に互いを浮かび上がらせる良い演出になっていました。
●箱入りのお嬢様
そんな訳で、名瀬・タービンが当たり前のように鉄華団をバラバラに再就職させてやると言ったのは、ビジネスライクな集まりならそれが当然だからです。
そして、それを聞いて三日月が
「みんなバラバラになるのは、ヤだな」
と漏らしたのは、三日月にとって鉄華団が仕事だけの繋がりではなく、みんなで生き抜くための共同体、家族に近いものだったからなのだと思います。
だとすると、ブリッジを出ようとする三日月がクーデリアに「邪魔」と言ったのは、クーデリアがまだみんなで生き抜くための一員になれていないからです。
箱入り娘のお嬢様は、理想や机上の空論が先走っていて、身の丈に合わない鉄華団を見届けるなんて目的で動いています。自分が本当に生きるために必要だと思ったことのために動けていないのです。
今回、わざわざ三日月とクーデリアのこんなやり取りが入っているのは、この様な演出意図があったのだと思います。
でも、ジャガイモ(生きるための食材)と一緒に現れたアトラが、そんなクーデリアの手を引いてくれてました。
なので、鉄華団を見届けるという、自分が本当に必要だと思っている訳でもない机上の空論にすら挫けそうになっていたクーデリアを、明確な意思を持って押しかけ女房になったアトラが励ますという構図が面白かったですｗ
●いさなとり(古語)
また、昔の鯨漁では、漁師が鯨に肉迫して銛を直接突き刺していた・・・・絵をどこかで見た気がしますｗ
なので「いさなとり」というサブタイが、まだ人類が命懸けで漁をしてい頃の生命力、躍動感を連想させる上に、オルガ達がタービンズ母船に肉迫することまで暗示していて今回の内容を表すのにこれ以上ない良いサブタイになっていましたｗ
といったところで、
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第08話「寄り添うかたち」
に続きますｗ
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