さて、今回は話をどこまでポジティブに解釈するべきか結構悩ましい回でした。
●空模様と心模様
何故なら、まず、サイタマが深海王をワンパンで倒すと同時に土砂降りの雨が晴れた青空に変わります。8話感想で書いたように、「土砂降りの雨だった=泣いていた」サイタマの心が綺麗に晴れあがっているのです。
●目は口ほどに・・・・
だから、深海王を倒した後、サイタマが独白した
「はぁ、つまんねーな。今回は(胸躍る戦いができると)少し期待したんだけどな・・・・」
なんて思いは全然本心じゃないんですよね。仮にそんな思いが少しはあったとしても、晴れ空に残る僅かな千切れ雲程度のことで、心の二割も占めてはいないでしょう。
それに、単に落胆しているだけの者が、こんな独白をしながら、サイタマのように目線をウロウロ泳がせたりはしないはずです。だからこれは、まだそんな風にソワソワしてしまうくらい、終わってしまった深海王との戦いなんかより、遥かに気になることが残っている演出でした。
重傷者多数になってしまいましたがなんとか無免ライダー達が殺される前に到着できて、市民達の歓声を受けながら、今度こそ、ちゃんと市民に受け入れて貰える行動が出来たのかなと、慣れない賞賛の声に戸惑うサイタマの演出だったのです。
後にファンレターが届いた時も、サイタマは目を血走らせながら、震える手で、恐る恐る封筒を開けていましたし、サイタマが本心では他人の評価を気にしていることは明らかでしょう。
(別に人気者になりたいとかじゃなく、他人から適切な評価を受けられるような普通の繋がりが欲しいという意味で)
●頬を伝うもの
だからこそ、無免ライダーが
「俺は無免ライダー。君と同じ、ヒーローだ」
と言ってくれたことが何よりサイタマを勇気づけてくれました。1話で面接に落ちまくり、他人からの評価、人の目から逃げ出していたサイタマを・・・・それでも「ヒーロー」だと言ってくれた無免ライダーの言葉が、サイタマの頬を伝う雨粒となって幾筋も流れ落ちていったのです。
7話感想で書いた、温かい夕日を受けながらサイタマを認めてくれたジェノスの時と同じように・・・・。
むしろ、サイタマを師と仰ぐジェノスの言葉は、サイタマにとって自分の自己認識から離れすぎていてどうしても重く違和感の残るものでしたが、自然に仲間とだと認めてくれた無免ライダーの言葉はそれ以上の救いになっていたはずです。
●ヒーロー・サイタマ参上!
なのに、前回、サイタマはあまりの嬉しさにどう振る舞えばいいのかわからなくなって、
そして、(携帯を持っておらずジェノスと連絡を取れなかったり、無免ライダーと別行動をしたせいで)サイタマが遅れたために、無免ライダーを始めジェノスやスネイク達をあんな目に遭わせてしまいました。
弱くても、打ちつける雨に濡れながら、自分の弱さに泣きながら、
「期待されてないのは・・・・・・・・わかってるんだ。C級ヒーローが大して役に立たないなんてこと、俺が一番わかってるんだ!」
(中略)
「それでもやるしかないんだ。勝てる勝てないじゃなく! ここで俺はお前に立ち向かえなくちゃいけないんだ!!」
こう言って懸命に戦った無免ライダーのような、真のヒーロー達を・・・・。
なので、サイタマが敢えて汚名を被り無免ライダー達を庇ったのは、そんな真のヒーロー達への敬意と、今回も人の繋がりに入れず被害を拡大させてしまったという自責の念と、コミュ障で思いを上手く伝えられなくてもそれでも6話感想で書いたような『最恐のモブ』に立ち向かえなくちゃいけないんだとC級ヒーローのサイタマが決死の思いで戦えた結果・・・・なのだと思います。
だから、深海王から見れば一般人もC級も大差ないのに、そんな『自分達と同じ』無免ライダーが戦う姿を見ても、応援するのがやっとだった口だけは達者な腰抜けどもを相手に、立派に戦い抜いたサイタマは紛うことなき本物のヒーローでした!
・・・・いち腰抜けとしては、なんかブーメランが痛いですけどw
●彼に良いもずくを!
はなから捻ていたり、論理的思考の出来ない馬鹿相手に何を言っても無駄なのと同様に、話がわかる相手なら、ジェノスや無免ライダーやシルバーファングのように愚民達と泥仕合を演じてもちゃんとわかってくれますし。
それに、サイタマは面接を受けたりヒーロー協会とコミュニケーションを取ろうと動き始めてもいます。だから、少しずつでもその繋がりを増やしていくことになるのかな〜なんて思ってみたり。
Bパートのラストで、無免ライダーにおでんを奢って貰えた、もう一度認めて貰えた時のサイタマの報われた様子を見れば、サイタマが本当に求めているものが何であるかは明らかですしw
といったところで、
ワンパンマン第10話「かつてない程の危機」
に続きますw
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