さて、ワンパンマンのサブタイトルにはサイタマを暗示する裏の意味がこめられています。
(その詳細は4話感想をご覧下さい)
なので、今回は「覇者サイタマ」と他の「ヒーロー達」を対照的に描き、互いが互いを浮かび上がらせる良い? 演出になっていました。
●ツンデレのタツマキ
そんな訳で、まずはヒーローを語る上で最もわかり易かった「
タツマキは10話で
「もーいい、私が一人で片付けるわよ!」
なんて言っていたのにサイタマのように一人で敵宇宙船に突撃しませんでした。
『タツマキが口ではツンデレなことを言いつつも、周囲に気を配ることのできる、敵の撃破より、A市を壊滅させた砲撃からみんなを守ることを優先できる、立派なS級ヒーローだったからです』
●覇者、サイタマ
なら、10話でサイタマが敵宇宙船に突入する前に、わざわざ砲撃を受け、わざわざ
「今のでA市を粉々にしたのか・・・・」
と呟くシーンが入れられていた理由は明らかです。
A市を壊滅させた砲撃能力がまだ残っているのがわかった時点で、
『みんなを守り戦うヒーロー』
がすべきことは何だったのか? 勿論、その砲塔を潰して回ることで、(アトミック侍達と違い)能力的にサイタマにはそれができたはずです。
なのに、10話感想で書いたように、サイタマは自分の手柄を焦り、砲塔を無視し敵宇宙船に突っ込んでしまいました。
何故なら、サイタマが「みんなを守るヒーロー」ではなく、
『武力で敵を捻じ伏せることしかできない覇者だったから』
だから、サイタマはボロスに名前を訊かれた時、
「俺は趣味で、じゃなくて、プロのヒーローをやっているサイタマというものだ」
と、うっかり口を滑らせてしまったのです。
6話でサイタマが市民達に言ってしまった
「いいか、俺はテメーらの評価が欲しくてヒーローやってんじゃねーからな。俺がやりたくてやってんだ!」
この言葉に表れていたように。確かにあの流れでこんな台詞を言えば格好良く思われるのでしょうが、これってつまりは、
『好きでやってるだけだから、本気でヒーローの責任を受け止められていない、他人のためではなく、自分がしたようにしているだけ』
ってことなのです。
勿論、圧倒的戦闘力を誇るサイタマなら、それでも十二分に人類に貢献できるのでしょうけど、少なくともヒーローとは言えないでしょう。
アトミック侍やタツマキも十分コミュニケーションが不自由な感じなので、周囲とコミュニケーションを取ろうと踏み出したサイタマを焦らせてしまった責任がない訳ではありません。
しかし、それだけで独断専行してしまったのだから、
『サイタマがまだまだ新米の、戦闘力のみでB級ヒーローの評価を受けているにすぎない見習いヒーローであることを、サイタマ自身がしっかりと受け止めるべきなのだと思います』
●流石はヒーロー!
それに引き換え、流れ弾にニアミスしただけで死んでしまうのに、逃げ遅れた人を探し自転車を走らせた無免ライダー。更に、
「生存者のいそうな場所を教えて欲しい」
と、ヒーロー協会の担当とコミュニケーションを取り、自分一人ができる以上の、みんなでできる最善を尽くそうとした無免ライダーと、それに加わったA級ヒーロー達。
砲撃から街を守るために待機していたタツマキや、一人では倒せないであろうメルザルガルドと、協力し情報交換(但し逃げる提案は受け入れないw)しながら戦ったS級ヒーロー達。
そんな「ヒーロー」達と、ただ圧倒的戦闘力にものを言わせて砲塔の一つも破壊せず、一人の市民も気にかけず、敵宇宙船に突撃してしまった「覇者」が同時に描かれることで、サイタマの未熟さが浮き彫りにされていました。
●最終回なら・・・・
しかし、そんな未熟なサイタマですが、次回のサブタイトルはなんと「最強のヒーロー」です!
1話では「最強の男」と単に『強いだけの男』だったサイタマが、ついに『ヒーロー』になる日がやってきた・・・・のです、多分w
という訳で、次回、最終回ではサイタマが一人前のヒーローになれることを信じつつ、
ワンパンマン第12話「最強のヒーロー」
に続きますw
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