さて、今回のサブタイトル「最強のヒーロー」の意味を考えるために、まずは「ヒーロー」とは何かを定義したいと思います。
ワンパンマンの世界で世間的にヒーローと認識されるのは、
『一般から募金を募り設立されたヒーロー協会にヒーローと認定された者』
です。
世間的には、サイタマが5話までヒーローだと認められていなかったように。
なら、ヒーローにとって最も重視すべきことが
『一般人からの支持=人気、世論』
なのは説明するまでもないでしょう。
●最強のヒーローは・・・・
そしてその人気を作中で一番意識している、ワンパンマンの世界では最もヒーローらしいヒーローとして行動しているのが「イケメン仮面アマイマスク」であるのは間違いありません。
よって、サブタイトル「最強のヒーロー(ヒーローの中では最強)」とはアマイマスクのことなのだと思います。
一応、表の表面的な意味ではサイタマのことを指しているのでしょうけど・・・・。
ヒーローの定義を考えれば、少なくともサイタマがそうでないのは明らかです。確かに『視聴者は』ボロスを倒し人類に最も貢献した者がサイタマだと知っていますが、作中キャラでそれを認識しているのはせいぜいジェノスとシルバーファングくらいでしょう。
今回の事件に関する一般からのサイタマへの評価は0であり、そんな有様では、とてもサイタマをこの世界のヒーローだと評価することなどできません。
●サイタマが独断専行した理由
そもそも、10話感想で書いたように、サイタマが独断専行しボロスと戦ったのは
『タツマキやアトミック侍にサイタマの力を認めて貰うため』
で、正義心やヒーローとしての責任は二の次でした。
アマイマスクがアトミック侍達に
「A市を守れていないじゃないか」
「だからどうした。そう言えば、メディアが許してくれるとでも思ってるのか」
と言っていたように、ヒーローが最も気にすべきなのは、戦果、敵の撃破ではなく『一般人を守る』ことであり、一般からの評価、世論です。
戦果0+被害0>>>敵殲滅+市民壊滅
なのは明らかでしょう。戦果で喜ぶのは軍人さんだけなので。
まあ、アマイマスクのように計算でそれをやるのは嫌らしいですが、ヒーローならタツマキのように敵宇宙船の砲塔を最優先で破壊すべきだったのは確かです。
そしてサイタマにはそれをやれる力と、敵船に砲撃能力が残っていてそれを潰すべきだと認識できる機会がありました。
なのに、周囲に認めて貰い、コミュニケーションを取るためだったとはいえ、サイタマは手柄の方を優先してしまったのです。
ボロスを倒した後、さっさと飛び降りればいいだけなのに、サイタマがわざわざ敵宇宙船の中からタツマキのいるところに出てきたのも、敵将を倒したとサイタマの力をアピールするためだった訳ですし。
そういった意味でも、サイタマが(今はまだ)「最強のヒーロー」に相応しくないのは明らかだと思います。
●サイタマとアマイマスク
ただ、確かにアマイマスクはこの世界のヒーローらしいといえばそうなのですが・・・・サイタマを正当に評価できない、外聞ばかり重視して中身が腐敗し実がなくなっている(ように見える)ヒーロー協会のことも合わせると、
「宇宙人の襲来とA市の消滅は、(想定外の災害であり、ヒーローやヒーロー協会が最善を尽くしても防ぎようのなかった)歴史的大事件として(ヒーロー協会から多額の金が流れたマスコミにより)連日報道されたが、しばらくすると(アマイマスクなどが全力でフォロー、話題逸らしをし、上手くフェードアウトできるよう細心の注意が払われながら)報道は収まり、誰も消えた都市の話はしなくなった」
ジェノスのこのモノローグもこんな意味に聞こえてしまいます。
だから、サイタマがまだまだヒーローになりきれてないのも確かですが、アマイマスクのように、無免ライダーのような志、正義心を度外視し、計算でまやかしの偶像を作り出すことばかりに腐心するのも、かなりアレな感じです。
まあ、職人肌で、研鑽を重ねヒーローとしての資質を磨くより、求められる数字だけ、表面上の体裁だけ整えられる者の方が上にいけるのは、リアルでも同じな気もしますが・・・・。
でも、だからこそ、一度は人付き合いから逃げ出してしまったけれど、再び、自分なりの真摯な思いでそれに向き合おうとしているサイタマなら、いつかヒーローの頂に辿り着けると信じたいところです。
なので、そんな未来が訪れることを祈りつつ、これにて一旦、ワンパンマンの感想・考察を終わりたいと思いますw
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