さて、今回の主役を一人挙げるとしたら・・・・サブタイトルからも弟を送り出すことになってしまった昭弘・アルトランドでしょうか?
僕は違うと思います。
何故なら「葬送」により最も大きく心が動いたのが三日月・オーガスだったからです。
●三日月とシノ
まず、ブルワーズとの戦闘が終わり、自分の采配で部下を殺してしまったと苦悩するノルバ・シノと話したのが三日月でした。
「自分が死んだ方がよっぽどマシだ」
と後悔の言葉を搾り出したシノに、三日月は
「(駄目だシノ。)そういうのはこいつらに失礼だ」
と言いますが、そこで映されたのはシノの姿です。しかも、その前後で三日月の姿は逆光の影に沈んでいて、台詞を言い終わった後も三日月の顔が見切れています。
「顔=表情≒心」どころか全身が逆光の影に沈み、更にはシノが映され=三日月の姿(≒心)が隠され、最後は「目は口ほどにものを言う」との言葉より「目≒口≒心」が隠されている三日月が、本心を隠している(≒押し込めている)のは明らかです。
だから、「誰か(部下)を死なせてしまった」ことに苦悩するシノの姿を見て、三日月が心の中に押し込めていた本当の思い(「誰かを殺してしまった」後悔?)が胎動し始めた・・・・のだと思います。
●震える心
なので、三日月は葬式の時、ノーマルスーツを着て船外にまで出て行きました。わざわざノーマルスーツを着て船外で見送ったほど、葬式の後もずっと手が震えていたほど、三日月の心は揺れだしていたのです。
●死から生へ
そんな時に三日月は、名瀬・タービンとアミダ・アルカのキスを見てしまいます。
更に、名瀬に
「人死にが多い年には出生率も上がるんだぜ。子孫を残そうって判断するんだろう。そうすっと隣にいる女がメチャクチャ可愛く見えてくる」
こんな話を聞かされた三日月は、その後、クーデリアに会うとしれっとその唇を奪ってしまいました。
・・・・普通に事案とか、アトラが闇落ちしそうって話は置いておいて・・・・w
三日月がこれまで心の中に押し込めてきた「死(誰かを殺した後悔)」がクーデリアを可愛いと思う気持ちに変わった=三日月が心の中の死を受け止め始めたことが暗示されていました。
三日月がずっと心の中に押し込めてきたネガティブな死が、一周回って、ポジティブな生に置き換わろうとしているのです。
心の平静を保つために凍てつかせていた心が、人を殺した痛みを拒絶し続けていた心が、痛いと、苦しいと、温もりを求めて動き出しているのです。
メリビットの言葉、
「お葬式ってね、生きてる人のためにもあるの。大切な人の死をちゃんと受け入れるためにもね」
にあるように・・・・「葬送」を通して、三日月が変わり始めていることが演出されていました。
●三日月のやりたいこと
そもそも三日月は、6話でクーデリアに字を習い
「いつか色々な本を読んで、野菜のこととか勉強したいんだ」
こんなことを言っていたり、12話でも字の練習を続けていました。三日月は仕方なく戦っているだけで、本当は別にやりたいことがあるのです。
だからクーデリアへのキスも、そんな「生き(て何かをし)たい」という気持ちの一部になっていく・・・・のかな〜と思ってみたり。
まあ、いくら「生き(て何かをし)たい」という思いでも、MSの操縦が上手くなったら戦うのが楽しくなってきた・・・・って話が本当なら、どう展開するのかちょっと気になるところですが・・・・。
といったところで、少し気がかりがありつつも、このまま三日月の心が好転することを祈りつつ、
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第14話「希望を運ぶ船」
に続きますw
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