さて、1〜3話感想でも書きましたが、今回も
『意地でも和泉 玲奈の両親(人間)を映さない』
という奇妙な演出が入っていましたw
●玲奈の実の両親を映さない理由
「電話で告白されるのは嫌」なんて話がありますが、それは姿が見えないと不誠実な感じがする、信用/信頼できないからです。
よって、玲奈の実の両親が無駄に不審すぎるんですよね。本当に存在するの? 実はファントムやロボットなんじゃないの? みたいな感じでw
何より、玲奈がクラブに入りたいと両親と話し合ったところが、玲奈の口から語られるだけでした。これまでの全てを総合して、多分本当に話し合ったのだろうとは思いますけど、
『本当に両親と話し合ったのか?』
という疑惑が拭いきれません。
ウサギのファントムと別れたあと、家に戻り、真剣な顔をした玲奈が両親に
「あの・・・・お父様、お母様、お話があります」
と言うシーンを入れるだけでも、十〜二十秒くらい割くだけでも、遥かに説得力が増すはずなのに・・・・。
よって、1〜3話感想でも書きましたが、『意図的に』こんな奇妙な演出をしているとしか思えないんですよね。
なら、その演出意図は何なのか・・・・?
まず第一に、玲奈(や舞)の両親、家庭を描かないのは、
『晴彦が玲奈や舞と親しそうにしていて、その実かなり厚い心の壁を持っている(玲奈達を遠くに感じている)、両親ときっちり話をした玲奈と、(後述するように、無意識にだとしても)ルルで寂しさを紛らわせている自分に隔たりを感じている』
演出・・・・の可能性があります。
第二に、
『産みの親(人間)よりファントムの方が良い親になれることもある』
ことを演出している・・・・ように見えます。
●玲奈の両親(人間)
なにせ、上記のように、玲奈の両親(人間)は本当に存在しているのかすら確定できない、非常に不審な描かれ方をしています。
晴彦が玲奈を家まで送った時も、父親が頭ごなしに言いたいことを言っていただけでした。
だから、その前に玲奈が一人で家に戻った時も、玲奈が家に入る時はいつも、門が開くところが(ほとんど)映されず、門が閉まるところだけが強調されていました。
玲奈の家(両親)が、なんだったら薄い本が捗りそうなくらい(笑)、閉ざされた、隔絶された闇のベールに包まれた世界であることの演出です。
●玲奈の両親(ファントム)
逆に、ウサギのファントムは気さくに玲奈と笑い合い、玲奈もファントム達を慕っていました。晴彦が引き止めなければ、ファントム達と一緒にあちら側の世界を選ぼうとしたくらいに。
更に、ファントム達は
「だが無理強いはしない。帰りたいと言うなら私達は止めない」
「いいんだ。玲奈がそう決めた(=人間の両親を選んだ)ならそれでいい」
「短い間だったけど、貴方と家族でいられて楽しかったわ」
「時々でいいから、私達のことも思い出しておくれ」
と玲奈のことを気遣いながら、静かに新しい居場所へと旅立っていきました。
しかも、今回のラストでは・・・・
玲奈が眩しい夕日の抱擁に、階段を登る足を休めます。そして、
「この世界に帰って来れて良かった。それは本当にそう思います。
けれど時々思うんです。もう一つの自分の家が、あの夕焼けの向こうにあるんじゃないか、って。
あのファントムの両親にもう一度会ってみたい。そんな風に思うことも。
・・・・またいつか」
と、そよぐ風に思いを託し、また階段を登っていきました。
なので、玲奈にとってはどう考えてもファントムの方が大切な両親・・・・に見える演出になってるんですよね。
●子供時代の舞
3話でも、表の流れでは川神 舞がおしとやかな女の子だったというのは記憶の捏造ってことになっていました。
でも、本当にそうでしょうか?
遠足に行った小学生が一人で行動していたのです。力比べのファントム(幼女)にどう接したか、以前に、何故一人でファントムと出会うことになったのか? 色々思うところが出てこないでしょうか。
ファントム(幼女)にジャイアニズムで接してしまったのは、その反動、その出会いがあまりに嬉しかったから・・・・って可能性が捨て切れません。
晴彦が(完全に)コピーできたのは「手続き記憶」だけで、「エピソード記憶」の感情、どうしてそう行動したのか? はコピーできていなかった・・・・と思わずにはいられません。
脳の認識能力は曖昧で、ファントムは脳が作り出した幻影という流れになっていますが、それってつまりは、ファントムに限らず、何が本物で、何が幻影かわからないということです。
なので、詳細はまだわかりませんが、そこら辺のことが主題になっているのかな〜、なんて今のところは思ってます。
●ファントムとは?
また、催眠が解けた和泉 玲奈に、ウサギのファントム(父)が、
「玲奈、君が目を覚ました以上、私達はもう行かなければならない。元々君の夢に依存した世界だったからね」
こんなことを言っていました。
更に2話でも、玲奈が
「やっぱり、着替えをしないと出ないんじゃないでしょうか?」
と言って舞と一緒に着替えるまで、UFOファントムが出てきませんでした。
一方で、2話冒頭では晴彦が
「ファントムが元々、人間と無関係に存在していたのか、それとも人間の意識、無意識が作り出したものなのか、それもはっきりしないんだ」
と言っていましたが、これは必ずしも
『ファントムの中には人間の思いを反映して現れるものもいる』
ことを否定している訳ではありません。なので、以降は
『ファントムの中には人間の思いを反映して現れるものもいる』
ことを前提に話していきたいと思います。
●晴彦にとってのルル
そこで、もしルルが誰かの思いを反映しているとしたら? それは
『晴彦の家族がバラバラで寂しい思い≒誰かと一緒に暮らしたい思い』
を受けていると考えるのが妥当でしょう。
だから、ルルは1話のOP明けに、寝坊する晴彦を母親のように起こし(昼間は)ずっと晴彦と一緒にいるのです。
ただ、ルルは夜になるとどこかに飛んで行ってしまいます。
よって、晴彦は(まだ)ルルを完全に家族だとは思っていない、(まだ)ルルが最もプライベートな時と場所、夜の家に入ってくることを許していないのです。
晴彦は、今回の玲奈のように両親を拒絶し(かけ)ているのではなく、両親を恋しく思うからこそ、その代わりを求めている・・・・のだと思います。
つまり、ルルは晴彦にとって
『家族の代わり≒実の家族がバラバラである証』
だったのです。
●晴彦が正気に戻った理由
よって、今回、晴彦だけがファントムの催眠から醒めることができたのは、ルルが一緒にいたからです。
晴彦がルルと一緒にトイレに入りながら、
「家族が揃って本当に、良かった・・・・。
ん・・・・?(ルルが目の前にいる=実の家族はバラバラのままなのに)何が良かったんだ?」
と正気に戻れたのは()に示したような思いが働いたからなのだと思います。
よって、のちに晴彦が
「トイレは、民俗学の世界では、この世界と他の世界を繋ぐ場所と言われているんだ。つまり、ここなら正気に戻り易い」
こんなことを言いますが、トイレは補助的なもので一番の要因ではないはずです。
そうでないなら、その前日、初めてファントムに化かされた時、夕食から翌朝まで半日近くの間、晴彦はトイレに行かなかったのでしょうか?
もしトイレに行っていたなら、その時より多くファントムの料理を食べ、より催眠が強まっていたであろうこのタイミングで、催眠から醒めることができたのは何故でしょうか? それは、
『トイレではなくルルが一番の要因だったから』
・・・・なのだと思います。
●模造家族
よって、今回のサブタイトル「模造家族」は主に玲奈のウサギのファントムを指していますが、実はルルのことも指している・・・・のではないでしょうか。
実はファントムの方が大切な家族になっている(なりかけている)という意味では全く同じことですし。
なので、ウサギのファントムとルルが相乗的にそれを演出していたのです。
●情緒不安定?
あとは細かいことをいくつか・・・・。
OP明けて、多分もう出禁になったであろう(笑)焼肉屋を出た後、玲奈が、
「うう、ごめんなさい、私一人ではしゃいじゃって」
こう言う時、玲奈のバストアップから十メートルくらい一気に視点が引かれます。
玲奈が二人に嫌われてしまったかもと、二人を遠くに感じている、他人の目を気にしすぎている(だから両親にもクラブのことを話せていない)ことが演出されています。
でも晴彦達は、そんなことないと、また来ようと言ってくれて、視点がすぐに玲奈のバストアップに戻ります。晴彦達が好意的に接してくれることに安心した演出・・・・としたいところですが、視点が引いた演出と合わせて、玲奈が(家庭の不和で)情緒不安定になりかけている演出になっていました。
●夕日とヘッドライト
また、今回のラストで、玲奈が言った
「けれど時々思うんです。もう一つの自分の家が、あの夕焼けの向こうにあるんじゃないか、って」
この台詞より、玲奈が初めてファントムバスに遭った時も、玲奈は夕焼けの煌きの中に、もう一つの自分の家を見ていた、家に帰りたくないと思っていたのです。
だから、眩しくて悲しくて、そんな夕日にヘッドライトが重なるようにファントムバスが現れ、ヘッドライトが強調される演出にそれが表れていました。
●支え合って・・・・
翌日、みんなでバス停に来た時、舞に
「チームって家族みたいなものじゃない。支え合ってかなきゃね」
と言われた玲奈は、眉を小さく震わせながら、暗い顔で俯いてしまいます。だって、玲奈の家族は全然支え合えていなかったから・・・・。
●ルルはトラブルメーカー?
その後色々あって、ルルのせいで舞もファントムの料理を食べてしまいます。
でも、舞は一人暮らしをしていて多分寂しい思いをしている、本当は家族と楽しく話をしたいと思っている・・・・はずです。
だから、舞はのちに玲奈が催眠から醒めても、最後までファントムと楽しそうに話していました。
よって、ルルが舞に料理を食べさせたのは、舞が本心ではそれを望んでいたから、人の心を反映するファントムとしてそれを叶えた・・・・のかな〜? と思ってみたり。
●玲奈は晴彦が好き?
あと、玲奈はトイレで晴彦に抱きつかれた時、「ウサギ耳があった=催眠状態だった」にもかかわらず、晴彦を便器に投げ込みます。
しかし、玲奈はパジャマ姿で晴彦に
「なぁなぁ、久しぶりに一緒に寝えへん?」
なんてことを言ってもいました。いくら催眠にかかっているとはいえ、好ましく思っていない相手にこんなことは言わないはずです。
よって、玲奈は単に家庭の不和から、甘えられる兄が欲しかったのではない、晴彦を兄としてではなくちょっと気になる人として見ていて、兄と言うのは単なる口実だった・・・・なんて展開を期待してますw
といったところで、
無彩限のファントム・ワールド #05「特異能力が使えない!」
に続きますw
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