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●声が届いた相手は・・・・
さて、二股うんぬんに関しては最後に述べるとしてw、今回のサブタイトル「声」が、冒頭のクーデリアの演説を指していることは間違いありません。
しかし、クーデリアがその声(演説)を心の中にまで届けることができた相手は三日月、昭弘、シノだけでした。
前回の後半から激しい戦いを繰り広げていた三日月達ですが、戦闘ではほとんど汗をかいてません。
でも、クーデリアの、
「(前略)私の発言が間違っていると言うのならば、構いません・・・・今すぐ私の船を撃ち落しなさい!」
という『(死者の)声(の代弁)』を聞いて、三日月、昭弘、シノの三人だけは薄っすらと汗を浮かべます。
ギャラルホルンの大軍を相手に、クーデリアの言葉に冷や汗をかいたということなら、オルガ達だって同じ演出がされていたはずです。でも、汗をかいていたのは三日月達、三人だけでした。
心にさざ波が立つ、などの言葉があるように「水≒汗」は心を強く連想させます。
だから、汗はクーデリアの声に三日月達だけは本当に心から思いが溢れた、クーデリアの声が心の中にまで届いていた演出でした。
●声が届いた理由
ではどうして三日月達にだけクーデリアの声が届いたのか? それは、
『クーデリアの声がフミタン(死者)の遺していった思いの代弁だったから』
です。
13話感想で書いたように、シノは部下を死なせたことをずっと後悔していました。
三日月も、生きるために他人を殺し続け、凍てついてしまった心に、それを後悔する気持ちが芽生え始めています。
勿論、昌弘を目の前で亡くした昭弘も・・・・三人とも死者への思いを抱えて戦い続けていました。
だから、三人にだけは、同じくフミタン(死者)への思いに揺り動かされていたクーデリアの声が、心の中にまで届いたのです。
後にシノが死なせてしまった部下達への思いを振り切るためにMSで戦う方がいいと言えたのも、昭弘がそれに頷けたのも、クーデリアの声が二人の心に届いたからです。
●クーデリアは何と勝負していたのか?
よって、クーデリアは言ってしまえば、フミタンの仇討ちとして感情的に戦っているだけなんですよね・・・・。
前回、演説前にクーデリアはフミタンの形見のペンダントを首にかけていました。フミタンの思い、クーデリアに革命の乙女(希望)になって欲しいという思いを受け取って話していたことの暗示です。
また、演説が終わり、オルガとクーデリアが
「とんだ博打だ。だが、あんたはそれに勝った」
「勝った、のでしょうか。私は『今まで』一体、何の勝負をしていたというのでしょうか・・・・?」
と話した時、周囲を漂う、労働者達が乗っていたモビルスーツの残骸が映されます。
ナボナ(死者)のために戦った者達の亡骸が、フミタン(死者)のために戦っていたクーデリアの問いに、沈黙の答えを返していました。
だから、激情に駆られた復讐の末路がネガティブに演出されていて、クーデリアがこのままフミタンの復讐のために戦い続けるかどうかは微妙な感じです。
演説の後、クーデリアがフミタンのペンダントを首から外していたことからも、クーデリア本人の考えは別にある、本当の答えを見つけて行くことになる・・・・演出が入っているような気がしますし・・・・。
あと、クーデリアの言う『今まで』とは「火星を出てから今まで」ではなく「演説を始めてから今まで」という意味です。
「火星を出てから今まで」とするとその勝利条件はアーブラウ政府との交渉成功(に類するもの)で、ギャラルホルンを一時的に黙らせただけの演説で勝ったなんて言えません。
そもそも、クーデリア自身が言っていたように、フミタンが殺されるまでクーデリアはずっと逃げ続けていて戦ってなんていませんでしたし・・・・。
●届かない声
そんな訳で、演説が終わり、
「いやー、これぞ報道だよ。素晴らしかった」
なんていうTV局のモブの言葉が空々しいばかりです。
考えているのは視聴率を取れるスクープが撮れたってことだけで、クーデリアの訴え、虐げられている人々の問題なんて眼中にありません。クーデリアの声が届いていないのです。
(葬式にすら否定的で)汗一つかかなかったオルガや、クーデリアの演説を「期待以上の見世物だった」と言ったマクギリス、鉄華団に毒吐いていたトドに届いてないのも明らかでしょう。
クーデリア達にマクワードがノブリスと手を結んだことを黙っていた名瀬も(勿論マクワードやノブリスも)、マクギリスの父や一緒に話していた議員?も、蒔苗 東護ノ介も、クーデリアをどう利用するかしか考えておらず、その声が全く届いていないのは同じです。
●サブタイトルの意味
また、久しぶりにクランクの中の人にギャラが発生していて(笑)、アインがクランク(死者)の『声』で動き続けていることが重ねて描かれていました・・・・が、いくら死者の声で動いていても、アインにクーデリアの声が届く訳ないのは明らかでしょう・・・・。
ただ、アイン(クランク)まで含めると、今回のサブタイトル「声」の本当の意味は、クーデリアの演説ではなく、
『死者が遺した声』
と解釈した方がいいのかな、と思ってみたり。
●流石主人公w
そんなこんなで、アトラと三日月に励まされたクーデリアが泣き出してしまい、三日月がクーデリアをアトラの目の前でハグする訳ですが・・・・
修羅場になるどころか、クーデリアに貰い泣きしてしまったアトラまで一緒にハグし、躊躇いなくハーレムルートに突入した三日月が流石の主人公でしたw
上記したように「涙≒水」も溢れる思いの演出で、二股をかけつつ二人に思いを吐き出させた三日月さんがマジで天然ジゴロすぎですw
13話では、アトラが泣いている少年兵をあやそうとするも、フミタンの方がいいと言われてしまいます。だから、フミタンもオルフェンズ(孤児)の一員なのですが、母性を持つ大人の女性としても描かれていました。クーデリアにとっても姉、母親代わりなのは明らかですし。
また、そのフミタンのハグを見て、クーデリアが
「先ほどフミタンが小さな子達をこうしていて、それでちょっと落ち着いていたので」
と、三日月にハグしていました。
よって、そんな13話を受けて、今回もアトラは(アトラ視点では)上手くクーデリアを慰めることができず、(物語的に)13話と同じく母性として認められませんでした。
アトラは(おそらく)ずっと一人前に振る舞おうと頑張ってきましたが、その手応えを感じられていないのです。
だから、13話では(きっと)フミタンにあやされる少年兵を羨ましいと思ってしまっていたはずです。
よって、13話でフミタンを真似たクーデリアにされたハグを三日月がするということは、13話でアトラが言い出せなかった思いを三日月が叶えてくれたということです。
勿論クーデリアに対しても、三日月がフミタンから(クーデリアを通して)受け継いだハグをフミタンの代わりにしているということで、凄い意味深なシーンなんですよね。
・・・・汚れた大人はすぐ二股とかハーレムルートとか思ってしまいけどw
あと、ラフタと昭弘にもフラグが立っているように見えるし、(多分)オルフェンズのキーワードの一つになっている「家族」にどの程度繋がっていくことになるのか、ちょっと気になってしまいますw
このままだと、男所帯の鉄華団が(子孫を残せず)滅びる運命にあるのは明らかで、(持続可能な)「家族」は夫婦ができたところから始まる訳ですし・・・・w
といったところで、
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第19話「願いの重力」
に続きますw
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