さて、今回、晴彦が
「久瑠美ちゃんは現実の世界で何か大きなプレッシャーを背負って苦しんでいた。それで、そこから逃げ出そうと心の中の世界に入り込んでしまった」
と言っていましたが、それは晴彦の見立て違いだと思います。
なので、どうしてそう言えるのかを順に見ていきたいと思います。
●1話と3話の久瑠美
まず、久瑠美は1話の前半で、舞達がファントムを倒すのを見て
「はぁ〜、どきどきしたね、アルブレヒト」
とアルブレヒトに囁いていました。
また、3話では、久瑠美の方から駅で偶然見かけた舞達を尾行しています。更に、久瑠美はその後、舞達とファントムの戦いを盗み見て、
「す、凄かったね、アルブレヒト」
と感嘆の声まで上げていました。
これらより、久瑠美は元々、舞達に憧れファントムとの戦いに興味を持っていたと考えられます。確かに舞に誘われたことはプレッシャーでしたが、それは久瑠美の望むところでもあったのです。
よって、久瑠美がぬいぐるみ王国を作り出したのは、ファントムと戦うのが怖くて舞の誘いから逃げ出すため、ではなく、
『ファントムと戦える素敵な自分になりたいから、舞の誘いを受けられるくらい強い心を持つため』
でした。
●久瑠美に対する小糸の評価
今回、小糸も久瑠美のことを
「まだ戦いには慣れてないけど、芯は強いと思う」
「ひと皮剥ければちゃんと戦えるはず」
と評価していますし。
久瑠美のことを「ファントムと戦うのが怖いのに、引っ込み思案で舞の誘いも断れない」なんて解釈すると、芯の強さなんてどこにもないし、ひと皮剥けたくらいでは全然足りません。
なので上記した1、3話のことも合わせて、小糸と晴彦、どっちの評価を信じるかなんて聞くまでもないでしょうw
あと、この時、小糸は手持ちのカップに砂糖を目一杯ふりかけます。5話感想で書いたように、舞と衝突しながらも、仲間と一緒にいられることが嬉しい、甘い思いに満たされている小糸の心が演出されていました。
●サーモン王子が・・・・
しかし、そう考えると、久瑠美が迷い込んだぬいぐるみ王国が本当に久瑠美の心の中にあったのか?、非常に悩ましい感じです。
4話では、玲奈が辛い家庭環境から逃げようと、その弱った心に合致するファントムに出会っていました。
なら今回は、久瑠美がアルブレヒトに頼らなくてもいいくらい心が強くなりかけていたから、その強い心を頼ったファントムが助けを求めてやってきた・・・・ように見えるんですよね。
まず、ゴールデンベアーハンドで魔法少女(?)に変身した久瑠美がサーモン王子を倒しますが、サーモン王子が消滅しません。
もし、サーモン王子が久瑠美の弱い心の投影なら、そのまま消滅する方が自然です。それはED前の久瑠美の決意溢れる表情を見ても明らかでしょう。
なのに、わざわざサーモン王子を消滅させていないのです。
●二人のアルブレヒト
何より! ぬいぐるみ王国のシーンのラストで、久瑠美に抱き締められながら、アルブレヒトが
「久瑠美ちゃん、ありがとう」
と、溢れる思いを伝えていました。
もし、久瑠美が心の弱さ故にぬいぐるみ王国やそこで戦うアルブレヒトを作り出していたなら、わざわざこんなことを言わせる必要がありません。
上記したように、(見立て違いをした)晴彦の指摘により、二人とも王国は久瑠美の弱い心が作り出した世界だと認識していました。なら、そうではないと言い訳するような台詞をアルブレヒトに言わせる意味がないのです。
だから、あの言葉は本当にアルブレヒトの心からの感謝の表れだった・・・・
つまり、ぬいぐるみ王国やアルブレヒトは久瑠美の心に関係なく存在していた異世界で、姫の役を任せ得る久瑠美にリンクして助けを求めてきた・・・・のではないでしょうか。
よって、ぬいぐるみ王国から現実世界に戻ると、アルブレヒトの脇腹の傷が消えていたのも、現実のアルブレヒトと王国のアルブレヒトが別の存在である伏線でした。
だから、4話の産みの両親とファントムの両親のどちらが本当の両親と言えるのか? などと同じく、
『ぬいぐるみ王国は舞達と一緒に戦えるくらい強い心が欲しいと願った、ちょっと弱気な久瑠美の心が作り出した世界なのか、既に一人で戦えるくらい強くなっていた久瑠美に助けを求めてやってきたファントム・アルブレヒトの暮らしていた世界なのか。
つまり、ぬいぐるみ王国は久瑠美の弱い心の投影なのか、久瑠美の強い心の表れなのか』
何が本物で何が偽物なのか確定できない、非常に悩ましい作りになっていました・・・・。
といったところで、
無彩限のファントム・ワールド #07「シュレディンガーの猫屋敷」
に続きますw
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