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スペシャル・エディシヨン版は、昨年ネット配信されていたものの特別編集版です。よって、この記事はWEB版の感想をまとめ直したもので、ネタバレ満載です、ご注意下さい。
初視聴での感想の方が宜しければ、昨年の感想をご覧下さい。
WEB版13話感想
WEB版14話感想
●サブタイトルの意味
さて、白鳥は死ぬ間際に歌を歌って逝くとの伝承より、サブタイトルの「スワン・ソング」とは「遺作」のことです。
また「フェイデッド・クロウ」を直訳すると「衰えたカラス」という意味になります。
ただ、その前が定冠詞の「ザ」だったら「ザ・フェイデッド・クロウ=その衰えたカラス=カギ(シルバーカラス)」で問題ありませんでした。
しかし、不定冠詞「ア」がついているので「ア・フェイデッド・クロウ=(不特定の)ある衰えたカラス」となり、それをカギと解釈すると変な感じです。
(去年の)アニメ・ニンジャスレイヤー26話中、サブタイトルに「ア」が使われたのは二つだけで、「ザ」が圧倒的に多いです。だから意図的に使い分けられているのは間違いありません。
この時点でヤモトはショーゴーが死んだと思っていたはずなので、「ア・フェイデッド・クロウ=ショーゴーとカギ」だと解釈する。
「ア・フェイデッド・クロウ=(不特定の)ある衰えたカラス=(魂、精神の衰えた)ニンジャ」とするなら、「(魂、精神の衰えた)ニンジャ」でも「スワン・ソング=(優れた)遺作≒ヤモト」を遺せることがあると解釈する。
などなど、お好みで解釈されればいいのではないでしょうか。
よって、そんな中、ソードダンサー=サンが珍しくハイク(≒遺作)を最後まで詠めたのは中々に面白い演出だったと思います。
(カギの遺したヤモトに比べ、何と無意味な遺作だろう的な)
といったところで、以降は本編を追っていきたいと思います。
●ナムアミダブツ、ブッダ殿
冒頭、シルバーカラスがヤク中毒のモヒカンと、そこに通りかかったマイコをツジギリします。
しかし、そこがフラッシュ演出ではなく、普通の絵で描かれました。1話感想で書いたように、フラッシュ演出は「(ニンジャソウルの邪悪な心に侵食され)精神的に未熟な戦いをしている演出」です。
なのでシルバーカラスはニンジャに堕ちても、殺人の快楽に囚われていませんでした。
原作では上記のモヒカンだけでなく、マイコや、このあとツジギリするカラテカを殺したあとも、カギは必ず「ナムアミダブツ」と言っています。
その後のヤクザはフラッシュ演出で殺していて、原作でも「ナムアミダブツ」と地の文が言っている(多分カギは言ってない)ので、元々ヤクザは対象外か、余命宣告されて心が荒み始めていた暗示か、悩ましいところですが。
ただ、その後、屋形船から出てきたサラリマンをツジギリした時、カギは再び「ナムアミダブツ」と言っています。カギはブッタを「ブッダ殿」と呼んでいますし、カギの心が完全に堕ちてはいないことが繰り返し描かれていました。・・・・だからといってそのカルマが帳消しになる訳でもありませんけど。
●コインランドリーの暗示
話を戻して、そんなある日、カギは(心の洗濯の暗示である)コインランドリーでヤモト=サンと出会います。(心を洗濯した)カギがヤモトを助けることになる暗示です。
●ヤモトが雑誌を読み続けた理由
このシーンで、カギにはピンクのハイライトが入っています。そしてヤモトはカギがコインランドリーに入ってからずっと、カギに注意を向け続けていました。
また、カギがヤモトに声をかけ二人で雑誌を読むシーンで、カギはずっとヤモトの方を盗み見ています。
最初は、カギの後ろ頭越しに雑誌を読むヤモトが重点され、ゆっくり視点が近づきます。カギがヤモトの様子を窺っている演出です。
なら、その次に、ヤモトの後ろ頭越しに雑誌を読むカギが重点され、一気に視点が近づくのは何故でしょう? もしこれがカギ視点だとすると、ここでヤモトのニンジャ気配を確信し、一気にニンジャアドレナリンが増えた演出ということになります。
しかし、再びカギの後ろ頭越しのヤモト重点視点に戻ると、また視点がゆっくり近づいていきます。ニンジャ気配を感じたのは勘違いで、ヤモトは家出少女か何かだろうとカギが思った演出、ということになってしまいます。
しかし、原作でもカギがヤモトのニンジャ気配に気づいてから気を緩める描写なんてありません。
よって、ヤモトの後ろ頭越しの視点はヤモトの心の演出です。ヤモトを窺うカギにニンジャ気配を感じ、体を強張らせるヤモトの演出でした。どんどん大きくなる洗濯機やテレビの音も、(二人の)心のざわめきがどんどん大きくなっている演出です。
原作では、ヤモトがナッツクラッカーの(ような雑魚でさえ)入って来る前からその気配を感じ取り身構えていたことが明示されていますし。
ヤモトがカギのニンジャ気配に気づかなかったとは考え難い状況です。
では、いつカギにアンブッシュされてもおかしくない状況で、心を強張らせつつ、それでもヤモトが雑誌を読むフリをしていたのは何故でしょうか?
●ヤモトがコインランドリーを出なかった理由
また、ヤモトはナッツクラッカーと対峙した時、折り紙ミサイルを使おうとして使えないことに気づいた訳ではありません。最初から使おうとさえしなかった、予め使えないことがわかっていたのです。勿論、ヤモトにカラテがないことも。
なのに、ナッツクラッカーの気配を感じた時、どうして真っ先にコインランドリーを飛び出し地の利を確保しようとしなかったのでしょう?
●覗き窓が砕けた理由
ヤモトがナッツクラッカーに挨拶する時、「心の洗濯を暗示する洗濯機」の中から「覗き窓=心の壁」越しに挨拶する二人が映されます。
でも、ナッツクラッカーに蹴り飛ばされたヤモトが激突し、その覗き窓は砕け、部屋(洗濯してない汚れたままのヤモトの心)と繋がってしまいます。
懸命に心を洗濯し戦おうとしたけど、ヤモトのそんな思いは一瞬で砕けてしまったことが演出されていました。
●カギ=サンは普通に動く!w
ナッツクラッカーはヤモトを追い詰めますが、カギのアンブッシュでしめやかに爆発四散させられました。インガオホー。
その時、カギがフラッシュ演出ではなく普通の絵で描かれます。邪悪なニンジャソウルの影響ではなく、カギがヤモトを助けるために戦っていた演出です。
●長く伸びる煙
その後、カギとノナコのベッドシーンが映されます。ノナコは一緒に暮らしたい(意訳)とカギを誘いますが、カギは
「まあ、また会えたら会おうぜ・・・・死ななきゃな」
と、部屋を出て行ってしまいます。
ノナコの吸うタバコの煙が長く伸び、ニンジャスレイヤーのマフラーと同じく、ノナコの未練を演出していました。
●ヤモトとカギだけが・・・・
その後、カギはドージョーでヤモトにカラテのインストラクションを行います。
この時、カギからピンクのハイライトが消えています。今のところ作中でただ二人、ヤモトとカギだけが邪悪なニンジャソウルを意識的に抑え込めることが演出されていました。
●ヤモトが泣いてしまった理由
「実際お前さん、俺が気紛れを起こさなきゃあそこで死んでたろ。恩に着せてるんじゃない。責めてるんでもない」
そこでカギがこう言うと、ヤモトはぽろぽろと泣き出してしまいます。
でも、どうしてヤモトは泣き出したのでしょう? 絶対に逃げ延びてみせると誓ったのに、簡単にやられてしまったからでしょうか?
しかしヤモトは、ナッツクラッカーとの戦いに割って入ったカギを見て、
「あ、貴方・・・・ニンジャ・・・・」
と自分で上体を起こして話せる程度のダメージしかなかったはずです。なのに、反撃しようと立ち上がることさえできませんでした。その程度の思いだったのにカギに一言触れられただけで涙まで流すのは不自然ではないでしょうか?
なので、2話感想で書いたように、アサリ達から離れて、大切なものを手放して、巻き込まないようにしてしまったら、もう自殺の誘惑を撥ね退ける気力なんて残ってなかったのだと、僕は思ってます。
●原作と比べて
そしてBパート。カギがドージョーでヤモトにインストラクションを続けます。
「これが最後のワザマエだ。ゼンめいたイアイだ。俺自身ロクに使っちゃいない。だがこのワザマエの感覚を忘れないようにしろ。
『お前がこれを覚え、忘れずにいれば、俺のセンセイは浮かばれる。俺もな』
お前自身が倒すんだ。敵を。……あー、涙を拭け」
ただ、原作では『』に書いたような台詞がありますが、わざわざ削られています。また、カギは冒頭のマイコを斬った時、綺麗なイアイで死ねたのなら、ツジギリの銃で死ぬよりは余程いい的なことも言っています。
なので、カギのイアイに対する特別な気持ちが臭わされていますが、どっち道、じゃあどうしてそこからヤモトを助けたのかは明示されません。
それまで必死に努力し研鑽していたイアイの領域を、ニンジャの力で遥かに凌駕し空しくなってしまった、もしくは慢心してしまった。
「これで終わりじゃない。ここから始めるんだ。お前自身がカラテのドー(道)を知った。ただそれだけで慢心すればそこまでだ」
だからカギはこんな自分の後悔をヤモトに語っていた、のかな〜? と思わなくもありませんが・・・・。
●カギの頼み
「お前自身が倒すんだ。敵を」
あと、カギがこう言う時、特別な思いを籠めているような感じでした。「敵=カギ」で、ヤモトもそれを感じ取っていたから、また泣いてしまったのだと思います。
その晩、ヤモトはカギの傍で雑煮を食べます。長く伸び粘着力のある餅は、ヤモトのカギに対する未練の演出です。だから、そんな雑煮を食べながら、テレビを見て弱々しく笑うヤモト=サンが切なすぎます・・・・。
そこで笑い爺=サンからヤモト抹殺の依頼が入り、カギはもう部屋を出た方がいいとヤモトを促します。
「(俺の介錯を)頼んだぜ」
別れ際、カギがこう声をかけてもヤモトは応えずそのまま部屋を出て行きました。
(頼まれて、くれたかね・・・・)
ヤモトを見送りカギはこう独白するので、少なくともこの時点でヤモトもカギの真意を察していたはずです。
●インガオホー
さて、ヤモトはコインランドリーでショーゴーやアサリ達に報いるためにも逃げ延びなければと思いつつ、一方でカギのアンブッシュを期待してしまいました。
かつてショーゴーを助けなければ思いつつ、もしくはショーゴーを避けなければと思いつつ、(自ら)ショーゴーの自殺に巻き込まれて死ぬことを期待してしまったように。
そんな卑怯なヤモトが、今度は餅を長く伸ばすほど一緒に暮らしたいと思えたカギに介錯(≒自殺の手助け)を頼まれる、まさにインガオホーな展開になっていました。
●ヤモトの涙
色々あって、ヤモトはタマ・リバーの川原でシルバーカラスと対峙します。
ヤモトがシルバーカラスの蹴りで川へ飛ばされた時、桜の涙が零れました。2話でアサリと別れた時にも流した、ニンジャソウルが混じり心がタフになったから、流すことができた涙。
でも今回は、ヤモト自身の涙がぽろぽろとそれに続きます。ヤモトの家庭環境を考えると、親のように守ってくれる、一緒に生きていきたい、そんな相手とやっと出会うことができたから・・・・その相手に殺してくれと頼まれて、ヤモトにもやっと自分の罪と命の重さがわかったから・・・・。
2話でブッダファックのソニックブームさえいなければ、ショーゴー=サンともそれに近い関係を築けたはずなのに・・・・。
といったところで、
ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン スペシャル・エディシヨン 8話「スシ・ナイト・アット・ザ・バリケード」「アット・ザ・トリーズナーズヴィル」
に続きます。
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