有頂天家族2 第9話「それぞれの二代目」
有頂天家族2 第10話「偽右衛門の決まる日」
【アニメ公式サイト様/ニコニコチャンネル様】
まずは8話の冒頭。下鴨母が早雲の葬儀を見ながら
「"狸"なんて本当にろくでもないものね。しょうもない」
と零します。
この"狸"を種族と取ると、下鴨母も含めた全ての狸を否定することになり変な感じです。
よって、この"狸"は種族を指しているのではありません。
偉大な化け力と大きな阿呆の器によって、世の中を面白く回していく「偽右衛門」に象徴されるような狸の『生き方』なのだと思います。
警察や消防だと身近すぎて、仕事のカテゴリに入ってしまい、これまた祖語があるのですが、冒険家が困難な登山や航海に挑み死んでしまった。その葬儀で、身内が悲しみの余り思わず
「冒険家なんて本当にろくでもないものね。しょうもない」
と口走ってしまった、みたいな感じでしょうか。
冒険家も職業で祖語はいつまでも消えませんが、正義の味方とかだと現実離れしすぎて逆に祖語が広がってしまいますし・・・・w
だから作中の、"天狗・狸・人間"、はそういった偉大な『生き方』という意味で使われることがある・・・・とすると1期8話の赤玉の台詞、
「生きている限り、いずれ落ちるものであるからな。"天狗"でさえも人家の屋根に落ちる時がくる。"狸"の落ちる先が鍋だとて、何の不思議がある。
総一朗は落ちどころを間違えた訳ではないのだ」
も非常に意味深な感じです。
●代わりになんて
その後色々あって、矢一郎と矢三郎が、料亭で矢二郎のことを話します。
そこで矢一郎が弟たちのことを色々心配すると、矢三郎は
「(矢一郎が父上の)代わりになんてなれないんだ。それは思い上がりというものだ!」
と、つい八つ当たりをしてしまいます。
これまでの記事でも書いてきたように、阿呆な生き方をしようとしても父のようにできない、父の代わりになんてなれない、矢三郎の苛立ちが垣間見える貴重なシーンだと思います。そして
「そうか・・・・そうだな」
と静かに返す兄に、何も言えなくなった矢三郎。
更にその後、矢三郎は矢二郎に
「行かないでくれよ、兄さん」
「お前は俺に甘えてるんだよ、矢三郎。そして俺たちはみんな矢一郎に甘えているんだ」
と言われ、拗ねて山籠もりをしてしまいます。
6〜7話感想で書いたように、目先のことに手一杯で、ずっと生半可な"狸"だった矢三郎。だから、早雲の死に際しても、
「叔父さん。こんな終わりを迎えたいとは思わなかったよ。だからといって、自分がどうしたかったか、正直なところわからないんだ」
としか言えませんでした。
赤玉のために、自ら魔王杉の事件を起こせず、弁天の共犯としてその悪名を少しでも軽くすることしかできなかった。
(阿呆に生きるとうそぶきながら)本気で矢一郎と偽右衛門を争うどころか、全てを丸投げし、自ら矢面に立つことができなかった。
矢二郎が海星に恋してるからなんて言い訳で、海星と向き合わないことを正当化していた・・・・。
海星を見て化けの皮が剥がれたのは遠い子供の頃ってことですが、本当にそれを覚えていなかったのでしょうか? もし覚えていたとしたら、矢三郎がうじうじしていたせいで、海星に辛い役目をやらせてしまった訳で・・・・。
更に、もし矢三郎がそれを覚えていたとしたら、総一郎が弁天を見ると化けの皮が剥がれてしまう、その意味をどう思ったでしょう?
矢二郎が
「俺が知ってる二匹のタヌキがいて、そいつらは運命の赤い毛でぐるぐる巻きなんだ。傍から見れば一目瞭然なんだが(そいつら自身にはちっともわからないらしいんだ)」
と語った矢三郎と海星の仲。
もし、総一郎と弁天もそうだとしたら・・・・総一郎が大人しく鍋にされたのは、その疑惑を否定できるから。
もう一つは赤玉関連で「そんな酷い悪女にたぶらかされたのなら仕方ない」と赤玉の悪評を軽くするため。そんな悪役を買って出た弁天の手助けにもなりますし。
弁天が早雲に加担したのも実はそれらのことを察していたからで・・・・?
更に早雲もこれらの思惑を知っていたとしたら・・・・下鴨母を奪っておいてと憎悪を倍増させたか、"狸"として悪役を演じたのか・・・・?
そして、そられを全て察した上で、赤玉は何も言わず総一郎を見送って、矢三郎はどうすることもできず阿呆の道を模索し続けている(と言いつつ海星を避け続けていた)・・・・みたいな?
上記の何割が当たってるのかはわかりませんが・・・・
総一郎が大人しく鍋になった理由。赤玉・弁天・二代目が体面を保ちつつ決して全面衝突しない理由。何かしら裏の理由があるのは間違いないので、ここら辺の妄想も無駄ではない・・・・といいなw
●9話のあれこれ
まあ、総一郎、弁天関連の話はわかりませんが、矢三郎関連の話は上記の流れで、浮ついていた矢三郎が遂に腹を決める展開になっています。
9話でOP明け、矢三郎が
「いつでも波風立てるよー。ずんずん立てるよー。いつでも平和を乱すよー。がんがん乱すよー」
なんて鼻歌を歌っているのもその表れです。
更に、矢三郎は偽右衛門の立会人を二代目に頼もうと言い出し
「全て俺が企んだことにすればいいよ。責任は取る!」
と言い切ります。
上記したような心境の変化がないと、面白きことは良きことなり、を言い訳にするように、真面目な話をしなかったこれまでの矢三郎では違和感のある台詞です。
だから、色々あって、弁天が辻風を吹かし他の狸たちの化けの皮が剥がれる中、矢三郎だけは堂々と、自ら矢面に立って弁天に申し開きを続けました。
その様子から弁天も矢三郎の覚悟を察したから・・・・
●いつでも優し『かった』弁天
10話冒頭、弁天が
「お前は何もわかってないのね矢三郎。私はいつでも優し『かった』わ」
と言ったのでしょう。
今までは、矢三郎では役者不足だからと"狸"として扱わな『かった』。でも"狸"となる覚悟があるのなら、相応の苦難を超えて貰いましょう、と。
まあ、天狗はツンデレなのでどこまで本気なのかはわかりませんけどw
赤玉が矢三郎を破門したのもその覚悟を察したからです。更に、矢三郎を処罰すれば体面が守られ二代目との衝突を避けられるから、もしくは二代目が土俵に上がらないから巻き込まれた矢三郎が破門されたのだと直接対決への圧力にしたか・・・・。
まあ、"天狗"の喧嘩に"狸"として関わると暗に言ったのだからこうなるのは当然でしょう。
●矢二郎さんマジ・・・・
そんな風に、真面目な話が続きましたが、四国に渡った矢二郎がどうなったかというと・・・・
そのシーン開始から五十秒足らずで即、ロリっ娘・星瀾に遭遇するとか、やっぱり矢二郎さんマジパないw
更に、その娘にくんかくんかされて
「貴方下鴨のタヌキね。偽叡山電車に乗せてくれたでしょう、覚えてないの?」
と言われたり、もう矢二郎さんはさん呼び不可避ですよw
天狗は人家の屋根に、狸は鍋に、矢二郎さんは星瀾の穴に落ちる、何の不思議があろうか(意味深)、みたいなw
まあ、そんなほのぼの(?)シーンだったのですが、長老に会うと隣の部屋から何やら聞き覚えのある声が聞こえてきて・・・・じゃあ、あっちのCV中村さんは誰なんだ、みたいなサムシング。
●化けの皮と毛玉
そうすると、天満屋のカルマが一気に減るね、やったね天満屋ちゃん! と思った矢先・・・・。
天満屋が密会していた海星と矢三郎を(麻酔?)銃で撃ち、弁天によるお仕置きが確定(?)したりw
因みに、矢三郎と駆け落ちすると家を飛び出して来たという海星ですが、何か違和感を覚えます。
ただ、タヌキの姿は、化けの皮が剥がれた、構えない、素の心の表れなので、矢三郎も海星に
「はぁ〜。はいはい、ちっちゃい男よね」
と言われるような有様ですw
だから、海星の駆け落ちしてもいいくらいの恋心が覗いているだけかもしれないし、なかなか難しいところなのですけど・・・・。
あと、作中でタヌキをよく"毛玉"と呼んでいますが、さまざまな思いの糸が絡まってすぐに混線する、でもだからこそ温かい、そんな心の比喩になっていました。
といったところで、
有頂天家族2 第11話「天狗の血、阿呆の血」
に続きますw
スポンサード リンク
スポンサード リンク