有頂天家族2 第12話「運命の赤い糸」
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さて、1期を振り返り、2期の予想をしてみるで書いたように、二期では天狗についてかなり掘り下げられました。
なので、天狗の力をリアルに当てはめると、富であり権力であり武力であり、天狗はそれらを持っている人のあるべき理想像、なのかな〜? といった感じです。
天狗の、特にその超常の力が役に立っている事例がほとんどないので「?」つきになっていますがw
そんなものがあったところで何の役にも立たない、だから、二代目は赤玉の許を去り、天狗を否定し続けていたのでしょう。
でも、そんな天狗の力が遂に役立つ時が来ました。最終話、12話で、(弁天たちが挑発しまくった結果ではあるのですがw、)二代目が力を解放した時、弁天がその相手をしなければ、大惨事になっていたことは疑いようがありません。天狗は天狗でないと止められないのです。
なら、自分の責任で自分が、力を持つ者だけと戦う、それが天狗の矜持でしょう(天満屋とかには明らかに手加減しているのでノーカンです)。
まあ、二代目はその戦いの余波で借り物の家を燃やすなんて暴挙をしてしまい、自分は天狗なんかではなく英国紳士だという主張が崩れ、泣き崩れてしまいましたが。
だから、リアルでは力持つ者が率先して力ない者を食い物にしたり徴兵し矢面に立たせたりで、それに比べれば文句のつけようもない理想像と言えば理想像・・・・なのか、な?
でも、二百年前、天狗の自覚を促すためとは言え、赤玉が二代目の恋路に横槍を入れ破局させ、現在、恐らく赤玉親子のために骨を折っている弁天に何の言葉もない、それが理想像なのかな〜? と思わなくはないんですけど・・・・。
ついでに言えば、ことある毎に二代目と弁天を衝突させようと画策した狸・矢三郎。その頼みで偽右衛門の式に出てみれば、当の矢三郎がそこに電車を突っ込ませてくる始末。
更に、その叔父・早雲は二代目の銃を悪用したつもりが、天満屋に騙され、二代目の目の前で呆れた茶番を演じていました。
しかも、それを指摘しても、タヌキたちは日和った意見ばかりで、矢一郎は飛び出していくし
「天狗も狸も人間も、なにゆえお前たちはそんなに愚かなのか。見渡す限り阿呆ばかりだ」
と二代目がキレるのも当然でしょう。
おまけに、それでも力を抑え、弁天とだけ戦おうとしているのに、矢三郎が待ってましたとばかりに
「二代目如意ヶ嶽薬師坊様のご降臨なるぞ! 巻き添えを食うな、総員、退避ー!」
と、既成事実を作り上げる・・・・。
赤玉が
「矢三郎よ、この度は格別の働き大義であった」
なんて言っていましたが、それが狸のやり方なんですか? と思わなくもなくもない的なサムシング。
まあ、一通り終わった後、二代目と矢三郎が穏やかに話してましたし、二代目も自分の気性が天狗だと心の中では諦めていたというか受け入れていたのかな?、と。
(力を得た以上、天狗として振舞うべきだと思った、って線はちょっと違和感があります。そう思うからこそ、二代目は天狗を否定し、ずっと出奔していたのでしょうし。
上でも述べたように、天狗の力によって何かが好転することがない、別に天狗の力って不要だよね的な、結局その心とコミュ力が全てみたいな描き方をされているので。
天狗の力(権力、武力)が必要なのは相手も天狗の時だけです。もし天狗がその力をタヌキや人に向けたら、その醜悪さはわざわざ書くまでもないでしょう。なのに、力を持った人はというと・・・・)
そして、二代目の気性を見抜いていたから赤玉も弁天も矢三郎もあれらの行動に出た・・・・と今のところは解釈しておくことにしますw
とすると、こんなフォローを入れないといけないくらい二期は、矢三郎の、"狸の生き方"にネガティブな気配を感じてしまいます。
人を"『化かす』狸の生き方"、仮に他人の気持ちを深く察し、思い遣っていたとしても、真摯に誠意を以て当たりはしない。
もし8〜10話感想で書いたように、総一郎が弁天に一目惚れしていたとしたら。
「弁天とは一目視線を交わしただけだし、あれ以来一度として会っていない。化けの皮が剥がれるのは単なる生理現象で、やましい気持ちは一切ない」
と自ら公言するのが誠意ある対応でしょう。
でも、狸である総一郎はみんなを化かし何一つ本当のことを話さなかった・・・・。
まあ、これについては狸の生き方のネガティブ要素を説明し易いから挙げただけで、本当にそうだったかはかなり微妙なところですけど・・・・。
でも、矢三郎が真摯に二代目を説得することなく、気のいい第三者を装いながら、(二代目の言葉は表面的なものだとフォローしないといけないくらいその気持ちを無視し)二代目を天狗に仕立て上げたのは事実です。
まあ、正面からぶつかればいいってことばかりでもないし、化かす狸の生き方が悪いと言い切れる訳でもありませんが、でも、ポジティブ百パーセントって訳でもない、ように感じています、今のところは。
9話のOP明けに矢三郎が歌った
「いつでも波風立てるよー。ずんずん立てるよー。いつでも平和を乱すよー。がんがん乱すよー」
にネガティブな気配が漂っていたのもその演出です。
よって、最後に一期〜二期を大まかにまとめると・・・・
まず、赤玉が天狗の座に固執するちゃんとした理由がないと、非常に変な感じです。
もし、赤玉が意地で頑固に言い張っているだけなら、矢三郎や弁天は真摯に引退を促すのが正道でしょう。
もし、魔王杉の罪悪感から、赤玉の我儘を聞いているだけなら、ダメ師匠にダメ弟子がダメにダメを重ねた泥沼です。「格別の働き大義であった」なんて茶番もいいところでしょう。
また、8〜10話感想で書いたように、二期では矢三郎の成長が描かれましたが、弁天の成長は見当たりません。つまり、一期の段階で、弁天は二代目より余程ちゃんとした天狗になっていたはずです。
なら、魔王杉の事件や、総一郎を食べたことにも何かしらの事情がないと、話が矛盾だらけになってしまいます。
だから全てを繋げて説明しようとすると、表の流れなんかではとても説明がつきません。
よって、二百年前、赤玉は二代目に天狗の自覚をさせようと、怒り狂い暴れさせるためにその恋路に横槍を入れました。
でも、二代目は更に天狗を否定しヨーロッパに出奔してしまいました、赤玉は後継者育成に失敗してしまったのです。
だから、赤玉は二代目を天狗にしないことには引退できません。なのに(老衰で?)力を失いもう天狗として振舞うのは危険極まりない状況になっています。
そこで、弁天(と矢三郎)が魔王杉の事件を起こし、弟子にした悪女に誑かされたと、赤玉が(半)隠居するための理由を仕立て上げました。
あわよくば、それを耳にした二代目が帰ってくるのも期待して。
でも、二代目は帰って来ず、弁天が会いに行ってみれば、かつての恋人に瓜二つだからと邪険にされた・・・・のか、赤玉から攫った理由が二代目の恋人にそっくりだったと聞いていたのか、とにかくそんな天狗親子の都合に振り回されたことを知り・・・・。
それでもそんな天狗たちのために奔走した結果があの扱いで、本当に可哀想・・・・。
とすると赤玉親子があまりにもアレすぎなので、髪を燃やしたあの炎が天狗の二人を繋ぐ赤い糸だった・・・・実は弁天様はドMでしたとネタにできるくらい明るい展開が三期に繋がるといいな〜、みたいなw
そんなこんなで、相変わらず奥深かった二期を噛み締めつつ、素敵な三期を待ちたいなといったところで、有頂天家族2 二代目の帰朝の感想を終わりたいと思いますw
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