【物語シリーズ 終物語SP(2日目)】花物語は誰に手向ける花なのか?【感想・考察】


さて、A子が街でゴロツキに絡まれていると、偶然通りかかったB男が、A子を助けてくれました。A子がお礼を言うと、B男は、当然ことをしたまでですと爽やかに返します。なんて素敵な人でしょう。

・・・・本当に? 人間、口では簡単に嘘を吐けます。刹那的な空気、場の雰囲気など簡単に、いくらでも捏造できるのです。B男がゴロツキを金で雇い、A子を口説く口実にしていない保証がどこにあるでしょう?

だから、B男が本当にいい人なのかは、その行動を長期間観察するしかありません。日頃からそんな人助けを繰り返しているのか、そこに利害が絡んでないのか、などなど。

では、今回、忍野メメが戻って来たのはどうしてでしょうか?

羽川翼の頭脳、翼が寝る度に記憶をリセットされるなんてペナルティを負うことと引き換えに、阿良々木君を助ける『ズル』をすると約束したからです。

そんな条件でもつけないと『バランサー』としてはとても承服できない『ズル』をするために。

ひたぎクラブで、自ら罪を認められたひたぎには、ただで治してもいいくらいの勢いだったのに、ですよ。

どうして?

勿論、自分の罪が認められない『終わるべき』化物は、あのまま扇ともども、くらやみに飲まれて終わるべきだったから、です。
(羽川翼の本体は、障り猫の方だった!、で書いたように翼も十二分な化物です。阿良々木君が扇を生み出したのも、翼の悪しき前例を、より狡猾で卑しい『ズル』の仕方を知ってしまったためです。このまま二匹を一緒に放置していたら、どんどん泥沼に堕ちていくだけです。

そんな翼だから、メメへの依頼内容も酷いものだったのでしょう。

阿良々木君はむしろ被害者だとか、阿良々木君を助けるためなら翼が死んでもいいとか、とにかく、阿良々木君の罪に言及することなく、その方法が不当な『ズル』だとわかっていながら、それでも助けて欲しいと。

でも、最後まで翼自身の罪も、阿良々木君の罪も認めることができなかったけど、自分がペナルティを負ってでも他人を助けたいと言えた翼。

罪に向き合い、心の根本解決には至らなかったけれど、寝る度に記憶をリセットするなんて歪な手段でならギリギリ、ニンゲンとして暮らしていけるはず・・・・。

だからメメは、阿良々木君を助けるために翼がその力を手放すと言うのなら、専門家として本意ではない方法だけれど、阿良々木君を不当に助けることと、翼の力の封印を秤に乗せて、それでバランスを取る苦渋の決断をしたのです。

上記したように、ひたぎ(や駿河や撫子)との対応の差を見れば、今回がどれほどアレなアレなのか、「悪い意味で」特別な事情がないと説明のしようがないでしょう?)

もしメメが助けなければ、阿良々木君は扇ともどもくらやみに飲まれていたはずです。化物はそれが自分=扇を大切にすることだ、なんて失笑しかでない、とびきりのジョークをかましてくれていましたが。

自分を大切にした結果? どこが?

しかも扇は、伊豆湖が執拗に『退治』しろと繰り返した悪なのです。

世界の誰が無責任に許してやろうなんて言っても、生み出した阿良々木君だけは責任持ってその罪を裁かなくてはいけません。『退治』しないのなら、責任持ってその汚れた心を更生させなくてはいけません。でも、化物はそれらの責任を放り投げ、お涙頂戴の雰囲気で全てを煙に巻いた(つもりな)のです。

そんな茶番に誤魔化されずに、扇のこれまでの行いを客観的に評価してみて下さい。

扇は「囮」物語で、目的のために、撫子を扇動し神に貶めました。忍を神にしたくないから、撫子を「囮」にしたのです。お札を飲み込む、神に貶められる瞬間ですら、

「て、手遅れなことくらい・・・・私が一番わかってるよーー!」

と、自分の罪を認められていた、扇=阿良々木君の姦計がなければ、自ら怪異に堕ちることなどなかった撫子を。

更に扇は、そんな撫子を助け、阿良々木君に

「今度は間違うなよ、これを使うべき相手を」

とお札を渡してくれた貝木を、更には余弦までをも害しました。

しかも、それらの罪を認めるどころか開き直る有様です。

阿良々木君ともども、これらの罪を認めた上で、阿良々木君たちはこんな○○○○の○○○○だから、見苦しく扇の命乞いまでする○○○○です、と言うならまだしも、扇どころか阿良々木君のことまでも反吐の出る欺瞞で擁護した、化物たち。

まあ、阿良々木君のニンゲンに戻るための戦いは『終』わりました、これはそんな『物語』。

後日談の花物語では駿河が

「どんな不幸な状況にあっても、そいつが平気な顔をしているなら手を出すべきじゃないだろう。わざわざ声をかけて、『お前は不幸なんだよ』と教えることに、どんな意味があるんだ? そいつ自身が不幸を楽しんでいるなら、周りの人間に何かができるはずがない・・・・」

と、その屍(阿良々木君)に(無力感に苛まれながら)弔いの『花』を供えていましたし・・・・。

暦物語にあった、公園の底が抜けた砂場と同じ、魂の底が抜け、何度治しても鬼の形に崩れ落ちるスクラップ。

それでも、ひたぎが、翼が、真宵が、駿河が、メメが、貝木が、余弦が、伊豆湖が、みんなが助けようとした阿良々木君。

物語シリーズは、それでも、なんとかして化物を赦したいって物語なのだから。こんな感想しか書けない、器の小さな自分を省みられる物語。

だからせめて、ひたぎたちの努力が実る続編が出るといいなぁ・・・・なんて祈りつつ、ひとまず、終物語の記事を終わりたいと思います。
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2017年08月14日 00:14 by 元会長
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